家計
【2021年】初心者におすすめの投資信託とは?賢い選び方を徹底解説
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「投資信託はNISAかiDeCo、どちらで始めるべきかわからない」
投資信託に興味はあるものの、上記のような疑問を抱えたまま中断している方は多いのではないでしょうか。
たしかに投資信託は設定ファンド数が多いうえに、NISAやiDeCoといった節税制度も複数あります。混乱してしまうのは無理もないでしょう。
そこで当記事では、投資信託のファンドと制度の選び方をわかりやすく解説します。
「2021年こそ投資信託を始めたい方」や「どのファンドをどの制度で購入するか悩んでいる方」は、判断の参考にしてください。
■投資信託とは
投資信託とは、
ファンドの中に入る資産(銘柄)選びや資産の運用は、ファンドを設定する運用会社が行います。
<投資信託の仕組み>
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※上記仕組み図は筆者作成
上記のとおり、投資家がするのはファンドを選んで投資(購入)することだけです。
ファンドの運用は、投資のプロである運用会社がすべて行ってくれます。
よって、投資信託の運用に特別なスキルや経験は必要ありません。
初心者でも手軽にプロ(運用会社)の資産運用成果を享受できるのが、投資信託の魅力なのです。
このように資産運用を運用会社に託せる=信託できる特徴から、「投資信託は初心者向き」といわれることがあります。
しかし初心者向きとはいっても、
「どのファンドに投資をするのか」
「NISAやiDeCoといった制度をどう利用するのか」
といった判断は、投資家自身がしなければなりません。
2021年5月現在、日本国内の投資信託設定ファンドは約6,000本。
ファンドを購入できる節税制度はiDeCoに一般NISA、つみたてNISAなど複数あります。
ファンドや制度選びでつまずいてしまい、なかなか始められない方もいるでしょう。
そこで、次項では投資信託を始めるにあたり知っておきたいiDeCoやNISAといった節税制度について解説していきます。
投資信託をお得に購入・運用するためにも、制度のポイントは必ず押さえておきましょう。
※2021年5月18日時点の設定本数(5914件)を参照。
参照先は「投信総合検索ライブラリー」(一般社団法人 投資信託協会)
■投資信託ができる節税制度は4つ
投資信託を始めるなら、iDeCoやNISAといった節税制度の活用をおすすめします。
なぜなら、投資信託の運用には税金がかかるからです。
通常、投資信託のファンドを購入して運用益が出たら、約20%の税金が課せられます。10万円の利益が出ても、そのうち約2万円は税金として差し引かれてしまうのです。運用益が増えれば増えるほどかかる税金も高くなるため、トータルリターンに大きな影響を与えてしまいます。
しかしiDeCoやNISAの制度内でファンドを購入すれば、約20%の税金はかかりません。つまりiDeCoやNISAを使えば、より多くの利益を受け取れるのです。
2021年5月現在、投資信託のファンドを購入できる節税制度は以下の4つあります。
<【2021年版】投資信託ができる節税制度>
制度(利用可能年齢) | 【NISA】2024年の新制度変更ポイント | 節税ポイント | こんな方におすすめ | 資金の引き出し |
---|---|---|---|---|
一般NISA(20歳以上) | 2024年以降も制度存続。2階建ての新制度に刷新され、 2028年まで口座開設可能になる | 年間120万円までの 投資に対する運用益が 5年間非課税になる | ・国内外の株式・投資信託など 幅広い商品に投資したい方・短期間で積極的な 投資をしたい方 | いつでも自由に 引き出せる |
つみたてNISA(20歳以上) | 2024年以降も制度存続。大きな内容変更はないが、 2042年まで口座開設可能になる | 年間40万円までの 投資に対する運用益が 20年間非課税になる | ・投資信託やETFに 投資したい方・コツコツ長く 投資したい方・投資初心者 | |
ジュニアNISA(0歳-19歳) | 2023年末で制度終了 | 年間80万円までの 投資に対する運用益が 5年間非課税になる | ・子どもの教育資金を 株式や投資信託で 準備したい方 | 原則、18歳まで 引き出せない※2024年以降は 資金の引き出しが 自由になる |
iDeCo (20歳-59歳) | ― | ・年間最大81.6万円*までの 投資に対する 運用期間中はずっと 運用益が非課税になる・掛金(投資した金額)全額が 所得控除の対象になる・受取時に 税制優遇がある | ・高い節税効果を求めており、 所得税・住民税の負担を 軽減したい方・老後資金の 積み立てをしたい方 | 原則、60歳まで 引き出せない |
※NISAは税制改正により、2024年に制度内容が見直しされる予定です(上記制度は2021年5月現在の制度内容です)
NISAもiDeCoも「投資信託の運用益を非課税にできる」点は同じです。
一方で、口座開設年齢や運用期間、投資できる金額は制度によって異なります。
投資目的に適した制度を選ばなければ、せっかく運用した資金を必要なときに活用できないので気をつけましょう。
例えばiDeCoは老後の資産形成を目的としているため、60歳まで資金の引き出しはできません。「子どもの教育費が足りないから投資信託の運用資金を使いたい」と思っても、親である加入者が60歳になるまでは資金を使えないのです。
表中の「こんな方におすすめ」欄を参考に、あなたの目的にあった制度を選ぶようにしてください。
特に気を付けておきたいのは、2024年に行われる各NISA制度の改正です。
2024年以降、一般NISAは2階建ての制度になり、つみたてNISAは運用期間が5年間延長されます。
子どもの教育費を準備できるジュニアNISAは、2023年末で制度終了です。今から始めても3年程度しか非課税投資できない点には、注意が必要です。
3年以上の非課税投資を考えているのなら、一般NISAかつみたてNISAを利用したほうがよいでしょう。
つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に適していると認めた投資信託・ETFが167本(2020年12月23日時点)厳選されています。
国内にあるファンド約6,000本のうち、金融庁があらかじめおすすめファンドを167本に絞ってくれているのです。
ファンド選びに悩んでいる初心者でも、安心して投資を始められるのではないでしょうか。
とはいえ、167本から自分にあったファンドを選ぶのも大変でしょう。
次項では、投資信託のファンドを賢く選ぶポイントを紹介していきます。
■【2021年】初心者向け・投資信託を賢く選ぶポイント6つ
ここでは実際に、投資初心者が投資信託のファンドを選ぶ際の重要ポイントを解説します。
<初心者が投資信託のファンドを賢く選ぶポイント6つとおすすめの理由>
- ① インデックス型であること→低コスト・低リスク運用できるから
- ② 国内外の資産に投資できるバランスファンドであること→ファンドの組み合わせを考える手間が省ける。ファンド1本への投資で分散投資が完結するから
- ③ 資金流入が順調に続いており、純資産総額は100億円を超えている→ファンドの資金流入や純資産総額は、健全な運営を示す重要な指標だから
- ④ 分配金を極力出さないファンドであること→分配金を出すとその分基準価額(ファンドの価値を示す指標)が下がる。投資のリターンを最大化するためには、分配金は極力出さないファンドがおすすめ
- ⑤ 低コスト(信託報酬は年0.5%以下)であること→投資信託は保有するだけで永続的にコスト(信託報酬)がかかる。コストを抑えるとそれだけリターンが大きくなるから
- ⑥ つみたてNISAに対応していること→投資の運用益にかかる税金約20%を非課税にできるから
上記のポイントはすべて、投資信託の紹介ページか投資信託の説明書(交付目論見書)に書かれています。
説明書の見方を解説していきましょう。
投資信託説明書でファンドのポイントを確認する
ファンド選びで投資信託説明書(交付目論見書)を見る際、どの部分を確認すればいいのか悩むと思います。
ここでは以下の説明書を参考に、説明書で見るべきポイントを解説していきましょう。
▼参考:投資信託説明書(交付目論見書)▼
<表紙>
<「ファンドの目的・特色ページ」>
上記はあるバランスファンドの投資信託説明書の表紙と、ファンドの内容が記載されたページの抜粋です。
このように、ほとんどのファンドは説明書の表紙にファンドの分類が細かく記載されています。例えば①のインデックス型かどうかは、表紙の「補足分類」を見ればわかります。
ファンドによって説明書の構成は異なりますが、以下のような言葉で記載されているのが一般的です。ファンドの内容を確認する際の参考にしてください。
<説明書で見るべきポイント>
- ① インデックス型→説明書の「商品分類」「補足説明」を確認。「○○の値動きに連動する投資成果を目指します」という記述が入っていることが多い
- ② 国内外の資産に投資できるバランスファンド→説明書の「投資対象地域」「投資対象資産」と、各資産の構成割合を確認。添付図のように、国内外の株式・債券にバランスよく投資しているファンドがよい
- ③ 資金流入が順調に続いていて、純資産総額は100億円を超えている→説明書の「運用実績」で「純資産の推移」と「純資産総額」を参照。2020年3月はコロナショックで資産が低下したファンドが多いので、コロナショック以降の資産推移を見ること
- ④ 分配金を極力出さないファンド→説明書の「収益分配」や「分配金」を確認。分配金を設定していないか、「分配金は原則抑制する」方針があるものを選ぶ
- ⑤ 低コスト(信託報酬は年0.5%以下)→説明書の「ファンドの費用」「信託報酬」を確認。
- ⑥ つみたてNISAに対応していること→投資信託の販売ページか金融庁ウェブサイトを確認
▼金融庁ウェブサイト「つみたてNISAの対象商品」▼
インデックス型のバランスファンドなら、ファンド一本で世界中の資産に分散投資できます。
「これ一本さえ持っておけばOK」という手軽さに加えて低リスクなので、初心者でも気軽に続けられるでしょう。
また、つみたてNISAを利用すれば運用益にかかる税金約20%を非課税にできます。
少しでも投資のリターンを大きくするためにも、つみたてNISA内でファンドを購入するようにしてください。
■まとめ
2021年から投資信託を始めるときは、初心者でも使いやすい「つみたてNISA」の利用をおすすめします。
つみたてNISAでファンドを選ぶ際は、以下6つのポイントを重視してください。
- インデックス型である
- バランスファンドである
- 資金流入が順調に続いていて、純資産総額は100億円を超えている
- 分配金は極力出さない
- 低コスト(信託報酬は年0.5%以下)である
- つみたてNISAに対応している
インデックス型のバランスファンドなら、一本購入するだけで世界中へ分散投資できます。ファンドの組み合わせに悩むことがないので、手軽に投資を継続できるでしょう。
初心者が投資信託を始めるうえで大切なポイントは、「無理なく続けられるかどうか」です。
始めから気合いを入れて複数本のファンドに投資すると管理が大変ですし、利益重視でコストもリスクも高いファンドを選べば、資産価値の変動に一喜一憂することになるでしょう。
まずはリスクを抑えられるインデックス型のバランスファンドを購入し、投資で成功体験を得ることから始めてみてください。
※この記事は2021年5月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
出典
「iDeCo(イデコ)の特徴」(国民年金基金連合会)
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
「NISAとは?」(金融庁)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
「つみたてNISAの対象商品」(金融庁)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 投資信託説明書」(三菱UFJ国際投信株式会社)
https://emaxis.jp/pdf/koumokuromi/252760/252760_20200723.pdf
執筆者
服部 椿
プロフィール:FP分野専門のフリーランスライター。
子育て中のママFPとして、子育て世帯に役立つ家計や投資、お金に関する情報を発信中。
保有資格:2級FP技能士