家計
貯蓄とは?具体的な定義と貯金や預金との違いを解説
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「貯金」と「貯蓄」は混同されがちな言葉ですが、両者には違いがあります。
今回は、貯蓄の基本的な定義や貯金や預金などの用語との違いをまとめました。
これらの違いや性質を知っておくことで、貯蓄・貯金への理解が深まり、お金や資産を増やすために役立つでしょう。
貯蓄とは
「貯蓄」とは、現金を含む金融資産を総称する用語です。また、金融資産を蓄える行為も「貯蓄」と呼びます。
現金の貯金をはじめ株式や各種保険など、金銭以外の形式を持った金融資産もすべて指す言葉だと捉えると良いでしょう。
貯蓄に含まれる金融資産は、具体的に以下のものを指します。
- 預金
- 貯金(タンス貯金やヘソクリなど含む)
- 国債
- 社債
- 株券
- 投資信託
- 不動産投資
- 各種保険(生命保険・養老保険など)
- 金(ゴールド)
貯蓄と貯金の違い
「貯金」とは、目標や将来に向けて現金を貯める行為全般を指す用語です。
お金を金融機関へ預けることをはじめ、貯金箱に貯めたりヘソクリとして貯めたりする行為も「貯金」となります。
対する貯蓄は金融資産全般を指す言葉ですので、貯金は貯蓄の一部だといえるのです。
ちなみに、貯金という言葉の由来はゆうちょ銀行の前身「郵便貯金」にあります。
これを踏まえ、ゆうちょ銀行やJAバンクなどの金融機関へお金を預ける・貯める行為をより厳密に「貯金」と呼ぶケースもあります。
万が一預け先の金融機関が破綻した場合、貯金では「貯金保険制度」が適用されるのが特徴。これは、1つの金融機関につき1人あたり、1金融機関ごとに合算され元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保証・保護してもらえる制度のことです。
貯蓄と預金の違い
「預金」とは、都市銀行や地方銀行、労働金庫など金融機関へお金を預ける行為のこと。
貯金と混同されるケースがありますが、タンス預金やヘソクリ、貯金箱を使ってお金を貯める行為は預金に含まれません。
いわゆる普通預金や積立預金、定期預金などが預金に該当します。貯金と同じく、預金も貯蓄の一部であり、金融財産のひとつです。
諸説ありますが、預金の起源は明治時代にまでさかのぼるといわれます。
当時の銀行が企業や商人からお金を預かり、そのお金を融資などで活用したことから預金という概念が生まれたと考えられます。
預金の保護制度は「預金保険制度」と呼ばれ、金融機関が破綻した際は貯金保険制度と同じく元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護してもらえる制度となっています。
「貯蓄」の大切さはお金を増やすことにある
十分な預貯金があれば、将来は安心と考える方は多いのではないでしょうか。預貯金が多くあることは、確かに心強いことです。
しかし預貯金の本来の目的は、「お金を貯め、留めておく」ということにあります。現在、基本的に預貯金の金利は低く、「さらに効率よくお金を増やす」、「大きな資産を形成する」という運用には不向きです。
くわえて、近年は医療の進歩による長寿化で「老後」が長い傾向にあります。
せっかく貯めたお金も、いざリタイアとなったときに「老後の生活を安心して過ごせるのに十分か」と不安になってしまう可能性もあるのです。
さらに、インフレによって現金そのものの価値が変わってしまう可能性もゼロではありません。
心細い思いをしないためにも、預貯金だけでなく総合的な金融資産を視野に入れて「貯蓄」することが大切なのです。
債券や株式投資など複数の金融資産を保持・運用することでリスクの分散になり、将来の選択肢も増やせます。
貯蓄の第一歩・資産運用とは
預貯金を保持しておくだけでなく、さまざまな金融商品に対してのリテラシーを持つことが重要です。
貯蓄の一環としてあげられるのが、各種の資産運用。
複雑でリスキーなものと思われがちな資産運用ですが、実際の種類はさまざまです。
そのなかから、初心者でも挑戦しやすい資産運用の種類をまとめました。
投資信託
投資信託とはファンドマネージャーと呼ばれる運用専門家へ資金を預け、債権や株式などの分散投資をしてもらう金融商品のことです。
ファンドマネージャーは投資家から集めた資金を元に資産運用を行い、成果が出たら投資額に応じた分配金を投資家へ分配します。お金の専門家に運用を任せられるため安心感があり、投資先も複数あるため効果的にリスク分散できるのが特徴です。
また商品によって異なるものの、投資信託では100円単位の少額で投資できるのも魅力。
少額で投資を始められるため、「大きな金額を投入するのは不安」という方でも安心して挑戦できます。
個人向け国債
個人向け国債とは、国が個人を対象として発券する債券のことです。国が個人投資家に対し、借金をする債券だと捉えると良いでしょう。
個人投資家は個人向け国債を購入することで国へお金を貸し出し、国は個人投資家から借り入れたお金を満期になったら利子とともに償還します。
個人向け国債は1万円から購入でき、投資信託と同じく投資のハードルが低いのが魅力。
くわえて国が発行している債券であるため安全性が高く、国が破綻しない限り元本割れ(リターンが投資金額を下回ってしまうこと)のリスクがありません。
低金利であるためリターンを劇的に増やしたい方には向きませんが、ローリスクな資産運用から始めたい初心者でも挑戦しやすい手法です。
貯蓄型保険
貯蓄型生命保険とは、毎月保険料を支払うことで死亡保障などを備えられることはもちろん、解約時には解約返戻金、満期時には満期保険金が受け取れる商品の通称です。
「学資保険」や「個人年金保険」のように、ライフイベントの資金づくりを目的とした貯蓄型保険もあります。
ライフプランに合わせて必要な保障を備えることと貯蓄を一緒に準備することができるのが大きな魅力です。
外貨預金
外貨預金とは、円以外の外国通貨を預金することです。円高・円安の情勢にもよりますが、一般的に外国通貨のほうが円より高金利であるケースが多いのが特徴。したがって受け取れる利息が高くなり、円預金のマイナス金利が続くなかで注目されています。
貯蓄のための資産運用をするうえで大切なこと
資産運用と聞くと、投資などリスクのある手法を想像する方もいるのではないでしょうか。
しかし、一言で資産運用といってもその種類はさまざまです。
お金をコツコツ積み立てたり、投資の側面を利用して効率よくお金を増やしたりするものなどがあり、貯蓄や資産形成の一環として十分成り立ちます。
そんな資産運用を始めるうえで、大切なポイントをいくつかまとめました。
長期・分散投資が基本
資産運用は投資の側面を持っているものです。リスクを最小限に抑えたいのであれば、長期投資・分散投資を意識しましょう。
長期投資は、その名のとおり長期間の資産運用を行うこと。長期投資は運用期間が長い分収益率が安定しやすく、大きな値動きに左右されないのが特徴です。
分散投資は複数の投資先へお金を分散させ、資産運用を行うのが特徴。投資先が複数あれば、1つの投資先で損をしてもほかの投資先で得た収益でダメージをカバーできます。
初心者は少額投資から
資産運用のなかには、少額から始められるものもあります。
たとえば個人向け国債や投資信託、純金積み立てなどの金融商品は、数千円~1万円弱から購入できるのが魅力。
初心者のうちは、元本割れなどのリスクを抑えるためにもこうした少額投資から始めるのがおすすめです。
自身のライフスタイルや目的に合った商品を選ぶ
金融商品にはそれぞれ一長一短があるもの。万能な収益性を持つ資産運用方法は、基本的にないものと考えましょう。
金融商品そのものの性質にこだわるよりも、自身のライフスタイルや目的、性格に合った金融商品を選ぶのが得策です。
貯蓄の主な手法3つ
積立定期預金やiDeCOなど、資産運用と合わせて始めたい貯蓄手法を3つピックアップ。
手法ごとの概要や特徴をご紹介します。
積立定期預金
貯蓄といえば、積立式の定期預金を想像する方も多いのではないでしょうか。
積立定期預金とは、毎月指定した金額を積立用の口座へ自動的に入金できるサービスです。
一度申し込めば、あとは毎月決まった日に決まったお金が自動的に口座へ入金されるため、貯金する分をわざわざ入金する手間を省けます。
「お金はあればあるだけ使ってしまう」、「残ったお金を貯金しようと思ってもなかなかうまくいかない」という方は、積立定期預金で先取貯蓄のシステムを作ることが大切です。
毎月コツコツお金を積み立てられるほか、ボーナス支給時には積立金を増額できるのも積立定期預金の強みだといえます。
iDeCO(イデコ)
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の別称。
これは自分で決めた掛け金(毎月積み立てたり支払ったりするお金のこと)を元に資産運用を行い、満期に掛け金の合計額と運用収益の合計額を受け取れる制度です。
個人で自身の老後年金を積み立てる制度と捉えるとわかりやすいでしょう。
iDeCOの金融商品はさまざまで、定期預金や投資信託、保険商品などから選べます。
iDeCOには20歳以上60歳未満の方なら誰でも加入でき、主婦や会社員、自営業者や公務員など職種による加入制限もありません。
ただし受取は原則として60歳以降になり、貯まったらいつでも受給できるわけではありません。
また、iDeCOを始めるうえで重要なのが「どの金融機関を選ぶか」ということ。iDeCOを取り扱う金融機関は現在約160あり、金融機関によって取りそろえている運用商品も異なります。「自身のプランに合った運用商品があるか」、「運営管理機関手数料がかからないか」などの点に注目して金融機関を選びましょう。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、長期・分散投資を目的とした非課税制度(NISA)のこと。2018年からスタートした、比較的新しい制度です。
つみたてNISAでは毎月数千円単位の積立金で投資信託を行い、そこから得た利益(譲渡利益や分配金など)を非課税の状態で受け取れます。コツコツ積み立て、長期運用したいという方に適した制度だといえるでしょう。
また、通常の投資利益には20.315%の税金が課税されますが、つみたてNISAを介すことで非課税の状態で利益を受け取れるのが魅力です。
つみたてNISAには、20歳以上かつ日本国内在住の方であれば誰でも加入できます。加入の際は、iDeCOと同じくつみたてNISAを取り扱う金融機関へ加入を申し込み、口座を開設する必要があります。
また、一般NISAとつみたてNISAは併用して運用することができません。一般NISAに加入中の方は、つみたてNISAへの切り替え手続きを行う必要があります。
切り替えのタイミングや条件などは、事前に金融機関へ確認しておきましょう。
貯蓄や資産運用のことで迷ったときのおすすめの手段は?
初心者向けの貯蓄方法や資産運用が増えているとはいえ、お金の知識に対して苦手意識を持っている方はまだまだ多いはずです。
また、貯蓄や資産運用は長期にわたって行うのがベスト。
少しでも長く安全に貯蓄を続けるためには、専門家の助言をあおぐのがおすすめです。
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※この記事は2022年1月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。