シニア世代(50代) 万一の介護に備える民間介護保険の選び方

これからシニア世代に差しかかる50代。シニアという言葉には年長者という意味がありますが、仕事でも家庭でも年長者としての役割や責任がますます強くなる時期です。

 

一方、子育てがひと段落して生活にゆとりが出てくる時期でもあるので、老後の人生について思いをめぐらせる時間も増えてくるのではないでしょうか。

 

老後の人生を快適に過ごすためには、適度な資産と健康的な身体が不可欠です。しかし、健康に関してはいくら気をつけていても加齢による体の衰えを避けることはできず、今後起こりうる自身やパートナーの介護に不安が募るものです。

 

将来の介護に不安を感じるシニア世代におすすめしたいのは、民間の介護保険です。特に、50代はどんどん介護保険料が高くなっていく年代ですので、早めに加入しておきましょう。

 

保険料が跳ね上がる前に加入しておきたい民間介護保険の選び方をご案内します。

シニア世代(50代)に必要な民間介護保険の保障とは

50代のシニア世代に必要な保障を考えるためには、まず公的介護保険と民間介護保険の違いを知っておくことが大切です。

 

<公的介護保険と民間介護保険の違い>
公的介護保険 民間介護保険
加入条件 40歳から強制加入 20代から任意加入
※加入年齢は保険会社により異なる
保障内容 介護にかかった費用の9割負担(現物給付)
※1割部分の自己負担額が一定額を超えると高額介護サービス費として払い戻される公的制度がある
年金・一時金どちらかの形式で現金給付
給付条件 要介護(要支援)認定を受けたとき
65歳以上は要介護原因を問わないが、40歳~64歳の年齢の場合要介護の原因が特定疾病でないと認定されない
保険会社所定の認定基準もしくは公的介護保険に連動した認定基準

 

公的介護保険は介護に関する費用の現物給付が特徴の公的制度であり、高齢者の介護保障に重きがおかれています。実際、公的介護保険のサービス利用者の大半は75歳以上の後期高齢者です。(参照:厚生労働省「平成27年度 介護保険事業状況報告」)
そのため、年金受給開始前に自身やパートナーが要介護状態になってしまった場合は仕事をしながら介護を続けられるのか、もし公的介護保険の認定基準に該当しなかったら介護費をどう捻出するのかといったさまざまな問題が出てきてしまいます。

 

そんなときに民間の介護保険でまとまった給付金を受け取ることができれば、日常的に発生する介護用品(おむつや流動食など)代や仕事と介護の両立を助ける家事代行サービス代などに充てることができます。民間の介護保険を選ぶときは介護度が低くても給付されるなど給付条件ができるだけ広いものを選ぶと安心です。

 

ただ、実際の介護に必要な費用は各家庭の状況によって大きく異なります。万一の際に介護に捻出できる費用はどれくらいあるのかといった経済的な面ももちろんですが、在宅介護を希望するのか、施設での介護を希望するのかといった価値観によっても必要な介護費用は変わります。

 

まずは介護に対する家族の考え方を明らかにしてから、介護保険を選ぶようにしましょう。

シニア世代(50代)介護保険の選び方

50代シニア世代の介護保険の選び方で大切なポイントは、【家族全員が納得できる介護の形を決めておく】ことです。介護はする側もされる側も肉体的・精神的な苦痛がつきものですので、家族全員ができる限り笑顔でいられる介護とは何かを事前に話し合っておくことが大切です。

 

在宅介護にするのか、施設介護にするのか。もし仕事をしながら介護するなら一番やりやすい方法はどのようなものかなど、徹底的に話し合っておきましょう。
家族皆が納得できる介護の形を決めておけば、あとは公的介護保険の不足分を補える民間介護保険を選ぶだけです。もちろん、老後資金の形成も必要な50代ですので、保障と保険料との兼ね合いを見て、無理なく支払える保険料のものを選ぶのも大切です。
※この記事は2018年7月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。(2018年7月31日)

 

まとめ

【シニア世代(50代)の介護保険の選び方:FPのおすすめポイント 】

・保険の目的:家族全員が納得できる介護を保障するために加入しよう
・必要な保障:公的介護保険の不足分を補うため、給付条件が広いものを選ぼう(ただし保険料は無理なく支払える範囲にしよう)
・保険の期間:50代以降は一気に保険料が跳ね上がるため、早めに終身型を選んでおくようにしよう