住宅ローンの団体信用生命保険は特約付きにする?

住宅ローンの特約付き団体信用生命保険の保障内容が広がりつつあります。特約付きにするかどうか選択する際の判断のポイントを整理してみましょう。

団体信用生命保険とは?

住宅ローンを借りる際には、通常、団体信用生命保険への加入が要件となっています。これにより、住宅ローンの契約者が、返済中に亡くなる、または高度障害状態になってしまったときには、保険金が下りて住宅ローンの残額を完済できる仕組みになっています。

 

つまり、団体信用生命保険に入っていれば、万が一のときには、家族に住宅ローンを残すことなく、マイホームを家族に残すことができるのです。金融機関の側から考えれば、お金を貸した相手にもしものことがあったときでも債権を回収でき、リスク回避策にもなっているのです。

 

なお、一般的な死亡保障型の団体信用生命保険については、保険料は通常、金融機関が負担する(金利に含まれる)ため、個人の負担はありません。

増える特約付き団体信用生命保険

最近は、団体信用生命保険に付加できる、さまざまな特約が登場しています。一般的な死亡保障型の団体信用生命保険は無料ですが、特約付き団体信用生命保険については多くの場合、有料です。具体的には、所定の金利上乗せがあります(無料の商品もあり)。

特約で保障される主なものを挙げてみましょう。

 

●がん保障
がんと診断されると、団体信用生命保険から保険金がおりて住宅ローンが完済されます。100%完済されるタイプのほか、50%だけ完済されるタイプもあります。

 

●3大疾病保障
がんと診断確定された場合や、脳卒中や急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合に、保険金がおりて住宅ローンが完済されます。一定期間は毎月の住宅ローン返済分が保険で払われ、それ以上、症状が続くと住宅ローンが完済されるタイプもあります。また、3大疾病保障に要介護2以上になると住宅ローンが完済される介護保障付きの商品もあります。

 

●8大疾病就業不能保障
がんと診断確定された場合や、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合に加え、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎で働けなくなったときに、一定期間は毎月の住宅ローン返済が保険金で支払われ、さらに就業不能状態が続いたときに住宅ローンが完済されます。無料で利用できる住宅ローンもあります。

 

●全疾病就業不能保障
病気やけがで就業不能状態になったときに、一定期間は住宅ローンの返済分が保険でまかなわれ、一定期間を超えると保険金で住宅ローンが完済されます(精神疾患は除く)。がんのみ確定診断で完済です。8疾病以外は入院が条件となっている住宅ローンもあります。無料で利用できる住宅ローンもあります。

 

※この記事は2018年10月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

 

まとめ

【団体信用生命保険は特約付きにする?】

団体信用生命保険は住宅ローンとセットになっているため、実際には「特約を選ぶ」というより、絞り込んだ住宅ローンの団体信用生命保険を「特約付きにするかどうか」です。これを判断するポイントは2点あります。

まず1点がコスト。特約付き団体信用生命保険の多くは有料ですが、前述のように無料のものもあります。無料であれば迷わず付ければいいですが、問題は有料の場合です。コストは「金利に〇%上乗せ(0.1~0.4%程度)」などと設定されているので、上乗せしたらどれくらいのコストになるのか試算してみましょう。返済期間30年、35年では数十万円になりますが、それだけ払って付けたい保障かどうかよく検討を!

2点目は、現在自身で入っている保険との保障のダブりがないかどうかです。例えば、就業不能保険に入っていて、さらに就業不能保障付きの団体信用生命保険に入る場合は、いずれか一方に集約できます。特約が無料なら住宅ローンの保障を優先し、有料の場合は、保障内容を見比べて選択しましょう。