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【FPが解説】共働きの住宅ローン団信は、保障内容に気をつけよう

【FPが解説】共働きの住宅ローン団信は、保障内容に気をつけよう

共働きが一般的になり、夫婦で収入を合わせて住宅ローンを組む家庭が増えています。
夫婦だと単独では組めない住宅ローンを組めるので、購入住宅の選択肢が増えてありがたいですよね。

しかし夫婦で共働きを前提に住宅ローンを組む場合は、団信保障に気をつけなければなりません。

同じ共働きでも、住宅ローンの組み方によって団信の保障内容は異なるからです。

そこで当記事では、共働きで住宅ローンを組むときの団信について重要なポイントを、FPの視点でわかりやすくご案内していきます。

「共働きの団信選びで悩んでいる」

という方は、参考になさってください。

■共働きの住宅ローンは3パターン


共働き前提で住宅ローンを組む方法は3パターンあり、契約パターンごとに団信保障も異なります。

以下の表に住宅ローン契約パターン別の違いをまとめましたので、ご覧ください。

<共働き夫婦で住宅ローンを組む方法は3つ>
①連帯債務型

団信保障は夫婦で分け合う形になる

②連帯保証型

団信保障は主たる債務者につく

③ペアローン

団信保障は夫婦それぞれの契約につく

団信
※1×※2
債務者
×
返済方法夫婦で1本のローンを返済夫あるいは妻(主たる債務者)が 1本のローンを返済夫婦別々で2本のローン契約を組み、各自でローンを返済
※1 住宅ローンによっては、主たる債務者しか団信加入できない場合がある※2 妻が主たる債務者の場合は、主たる債務者の妻に団信保障がつく
契約パターンごとの団信保障内容について、くわしく見ていきましょう。

①連帯債務型の団信保障


①の連帯債務型は夫婦でひとつの団信保障を分け合うもので、保障の割合は債務の割合と同じになるのが一般的です。
たとえば夫:60%・妻:40%の債務割合で住宅ローンを組み、3,000万円の残債があるとします。このとき夫に万一のことがあれば、住宅ローン残債の60%、1,800万円が保障されます。その一方で妻は、住宅ローン残債のうち40%の1,200万円分を返済していかなければなりません。

つまり夫と妻、いずれが亡くなっても、一定の住宅ローンが残ります。
遺された家族が仕事をしながら家事・育児も1人でこなすことを考えると、住宅ローンの返済は大きな負担です。そのためお互いの団信保障の割合にあわせて、適切なそなえを用意するようにしましょう。

また連帯債務型の場合は、契約する住宅ローンによって団信保障の割合が異なるため、とくに注意が必要です。

①連帯債務型の保障割合は要注意


連帯債務型で住宅ローンを契約する場合の団信保障は、金融機関によって取り扱いが異なります。

<連帯債務型の団信保障>

  • ①保障の割合は、債務の割合と同じになる
  • ②保障の割合と債務の割合が異なる
  • ②主たる債務者しか団信保障に入れない

連帯債務型で一般的なのは、先述した①のケースです。
債務割合と保障割合が同じだと、亡くなったときの保障のイメージも付きやすいですよね。

しかしまれに、債務割合は60%:40%なのに団信保障は50%:50%になる②や、債務割合は60%:40%なのに団信保障は100%:0%になる、③のケースもあります。
この場合は実際の収入の実態(債務割合)と団信の保障割合が違うことになるため、適切な保障を準備しにくいです。
また税務署の見解によっては、課税を問われる可能性もあります。

連帯債務型で住宅ローンを契約する場合は、団信保障の割合がどうなるかを必ず金融機関に確認しておきましょう。

②連帯保証型の団信保障


②の連帯保証型は主たる債務者しか団信に加入できないため、主たる債務者にのみ100%の団信保障がつきます。

たとえば夫が主たる債務者の場合、夫に万一のことがあれば住宅ローン残債は全額保障されます。
一方で連帯保証人の妻には団信保障がありません。
そのため妻に万一のことがあっても、住宅ローン返済は今までどおり続きます。

たとえ妻の仕事がパートやアルバイトなどで収入が低い場合でも、収入合算をしているぶん単独の住宅ローンより返済負担は大きいはずです。また妻が育児や家事のほとんどをしている場合は、それらの負担が家計を圧迫する要因になるでしょう。

そのため連帯保証型で団信保障が付かない家族でも、何らかのそなえを用意しておく必要があります。

③ペアローンの団信保障


③のペアローンは夫婦で別々に住宅ローンを組む方法なので、団信保障も別々です。

たとえば住宅ローンの残債が夫1,500万円、妻1,500万円あるとします。
この場合、夫に万一のことがあれば夫の住宅ローン1,500万円は無くなりますが、妻は自分自身の住宅ローン1,500万円を引き続き支払う必要があります。

夫婦のいずれかが亡くなっても住宅ローンが残るのは、連帯債務型と同じです。
そのため夫婦それぞれに適した保障を、別途そなえておくようにしましょう。

■共働きにオススメの夫婦連生団信とは



共働きで住宅ローンを組む場合、どんな方法であっても団信の保障には不足が生じます。
そこでオススメの団信が、「夫婦連生(れんせい)団信」です。

夫婦連生(れんせい)団信とは、夫婦のどちらかに万一のことがあったとき、100%の保障を受けられる団信です。夫婦の債務割合に関わらず残りの住宅ローンが全額無くなるため、遺された家族が返済を続ける必要はありません。

夫婦連生団信なら、共働きでも安心して住宅ローンを契約できるでしょう。

ただし夫婦連生団信には、以下の注意点があります。

  • 連帯債務型でないと契約できない
  • 取り扱っている金融機関が限られている
  • 住宅ローン金利に上乗せが必要
  • 働けなくなったときの保障はない

夫婦連生団信は共働きにオススメの団信ですが、使える方が限られているのが難点です。
そのため夫婦連生団信を使えない方は、民間の保険を活用して保障にそなえるようにしてください。

■夫婦連生団信が契約できない場合は、民間の保険でそなえよう



夫婦連生団信が利用できない方や、夫婦連生団信にはない保障にそなえたい方は、民間の保険を活用しましょう。

民間の保険なら死亡・高度障害時の保障から働けなくなったときの保障まで、多様な保障をそなえられます。

夫と妻に万一のことがあったときに不安なのは、住宅ローン返済だけではありません。
家事の負担が増えれば、家事代行サービスなどの利用コストがかかります。
また子供が小さい場合は、保育園の送迎などに配慮して仕事の時間を短くしたり、転職したりする可能性もあるでしょう。
さまざまな場面で大きくなる家計の負担にそなえられるのが、民間の保険の魅力です。

■まとめ



共働きで夫婦の収入をあわせて住宅ローンを組めば、そのぶん大きな金額を借り入れできます。
しかしその一方で団信の保障には不足が生じるため、住宅ローンの契約方法にあわせた保障をそなえなければなりません。

共働きにオススメの保障は、夫婦連生団信と民間の保険です。
夫婦連生団信は加入できる方が限られているため、加入できない方はうまく民間の保険を利用し、足りない団信保障を補うようにしてください。

 
※この記事は2020年10月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

執筆者

服部 椿

服部 椿

プロフィール:FP分野専門のフリーランスライター。
子育て中のママFPとして、子育て世帯に役立つ家計や投資、お金に関する情報を発信中。
保有資格:2級FP技能士

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