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新築・中古以外の選択肢、リノベーションとは

新築・中古以外の選択肢、リノベーションとは

結婚して子どもが生まれた頃、マイホームの検討をはじめる人も多いですよね。

新築戸建住宅に憧れがあるとはいえ、「新築は予算的に高いし、かといって中古もちょっと」といった複雑な気持ちを抱いている方も少なくありません。

そんな悩みを抱えている人にぜひ一度検討して欲しいのが、「リノベーション」です。

そこで今回の記事では、中古住宅のリノベーションに焦点を充て、概要やメリットなどについてまとめてみました。

■リノベーションとは



リノベーションとは、現在ある家の間取りから内装や配管などをすべて見直し、これから住む人たちが暮らしやすいように作り変えることを指します。

そのため、すまい全体を一新し、新しい価値を生み出すための改修工事と言い表せるかもしれません。

たとえば、和室を撤去して洋室にしたり、壁を壊して広々としたリビングを確保したりといったことがあげられるでしょう。

また、中古マンションを購入したのちにリノベーションをする場合、配線や配管といった経年劣化の影響を受けやすいインフラを刷新できるといったメリットもあります。

リフォームとの違い


リフォームはリノベーションと異なり、一般的には老朽化した設備を建築当初の状態に戻すことを指します。

クロスの張替え、畳の交換などが挙げられるでしょう。

部屋全体の改修工事を行うリノベーションに対し、部分的・表面的な改修工事となります。

■中古住宅を購入してリノベーションをするメリット



中古住宅を購入してリノベーションをする主なメリットを3つ、ご紹介します。

  • 住宅購入費用を抑えられる
  • 好きな間取りを自由に設計できる
  • 物件の選択肢が増える

住宅購入費用を抑えられる


一般的に戸建は新築から年数が経過すればするほど、その価値が下がっていきます。

その傾向は、国土交通省が実施している住宅市場動向調査からも明らかです。

令和元年度に実施された調査によれば、中古戸建住宅の購入費用は2,585万円。これが新築となると、建売分譲住宅で3,851万円、注文住宅では4,615万円にも達します。(※すべて土地代込みの価格)

また、築20年以上経過した中古物件であればほぼ土地代だけで購入できるともいわれており、土地代+リノベーション費用があれば新築とほぼ変わらない家を手に入れられることになるでしょう。

中古住宅を購入することで、将来資産価値が急激に下がるリスクも回避できます。

好きな間取りを自由に設計できる


先にお伝えしたように、リノベーションではリフォームと異なり、間取りや配管の改修工事をはじめとしてさまざまな付加価値を追加できます。

表面的なものではなく、設備機器や構造部分から刷新できるため、自分好みの家を作り上げられるといっても過言ではありません。

もちろん、注文住宅も自分好みに設計できますが、中古住宅をリノベーションする場合と比べると予算がかさみます。

そのため、なるべく費用を抑えて自由に設計したいという方にオススメです。

物件の選択肢が増える


建て替えなどでない限り、新築住宅を建てる際は土地を見つけなければなりません。

とはいえ、駅の周りを思い浮かべて頂ければわかるように、とくに都心では駅チカで新築を建てられるような土地はほとんど手に入らないでしょう。

アクセスがよいエリアや再開発が進んでいるエリアでは、なかなか土地を見つけられず、やっと見つかったのが不便な郊外であったというケースも珍しくないのです。

対する中古住宅では、新築に比べて条件のよい土地を見つけやすいといったメリットがあります。

また、新築よりも費用が安く済むことから、新築であれば手が届かない立地の良い物件も視野に入れられるかもしれません。


■中古住宅をリノベーションする際の注意点



中古住宅をリノベーションするメリットについて、いくつかお伝えしましたが注意点も把握しておくことが大切です。

ここでは注意点をいくつかご紹介します。

工事内容によってはそれなりの期間がかかる


どこまでの工事をするのかによりますが、区画を変えるなど大がかりな工事をする場合には数カ月単位での施工期間がかかります。

注文住宅を新築で建てる場合も長い期間が必要とはなりますが、リノベーションの場合も同様に時間を要する場合があるので、その期間の過ごし方を事前にきちんと考えておくようにしましょう。

また、リノベーションが終わるまでの間、賃貸住宅で暮らすとなると家賃にプラスして住宅ローンが発生する点にも注意が必要です。

望みどおりの工事ができない場合がある


中古住宅の場合、建物の構造によっては柱や壁が撤去できないことがあり、希望どおりの区画に変えられない場合があります。

また、リノベーションの工事をする中で基礎や土台に傷みが生じていた場合、それらを補強するのに想定外の費用がかかってしまうケースも。

そのため、希望する間取りが工事で叶うのかどうか、予算はどの程度かかるのか、着工する前によく相談することをオススメします。

リノベーションするときも火災保険は必要なのか



リノベーションを目的として中古住宅を購入した場合でも、火災保険に加入するようにしましょう。

実際、住宅ローンを借りるときに火災保険の加入を義務付けている金融機関がほとんどです。

火災保険に加入することで得られる主なメリットは次のとおり。

・自然災害等による損害に備えられる

万が一、火災が起きてしまった場合、場合によっては自宅がすべて焼失することはもちろん、再建するための費用や他の住宅を購入する費用が発生します。

火災保険に加入しておくことで、予期せぬトラブルによる損失に対応できます。

・もらい火の火事に備えられる

火災保険を検討するうえで、切っても切れない関係にあるのが「失火責任法」です。

「失火責任法」は明治時代に定められた法律で、自宅の火災で隣の家を巻き込んでしまったとしても、重大な過失がなければ損害賠償責任を負わない旨が記されています。

しかし逆にいえば、隣の家のもらい火で火事の被害にあったとしても、そこに重大な過失が認められなければ賠償してもらえない可能性があることになります。

この際、火災保険に加入しておけばこうした類焼被害に対しても補償が可能です。

また、逆に自分が他人の家を巻き込んでしまった場合、法律上は賠償の責任がなくとも関係性を壊さないために賠償をしたいと考える方もいるかもしれません。

そうした際、類焼損害特約があれば被害を与えてしまった近隣の住宅や家財に対し、補償ができます。

なお、火災保険は保険会社によって内容も費用も異なることから、加入前は複数の保険会社に見積もりを依頼し、比較検討することも忘れないようにしましょう。

■まとめ



今回はリノベーションの概要と、メリットや注意点についてお伝えしました。

新築戸建住宅を購入するよりも安価とされる中古住宅ですが、リノベーションの内容や希望条件によっては思った以上の金額になることもあります。そのため、予算設定はゆとりをもってするようにしましょう。

心配な方は一度、現状の把握と今後の住居計画もあわせてお金の専門家でもあるFPに相談することをオススメします。

ニッセンライフが運営するFPナビでは、相談実績並びに専門性の高いファイナンシャル・プランナーが多数在籍しているので、困りごとがあればお気軽にご相談ください。



※この記事は2020年11月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

執筆者

織瀬ゆり

織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。
宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。
プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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