家計
「貯金がない」人は意外にいる?調査でわかった貯金ゼロ世帯の割合

貯金があると、突然のケガや病気、転職時などに安心して行動できるもの。
しかし貯金の大切さを頭でわかっていても、やりくりするのに精一杯で「貯金がゼロ」という人も少なくありません。
今回は、実際の調査でわかった「貯金ゼロ世帯」のデータをご紹介。
同時に、「貯金がない」とお悩みの方へ向けた貯金の基本テクニックも解説します。
単身世帯の20世帯に1世帯は「貯金ゼロ」
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」では、貯金ゼロの「金融資産を全く保有していない」と回答した世帯は2人以上世帯で1.5%、単身世帯では5.1%という結果が報告されています。
調査データをもとに計算すると、単身世帯では20世帯に1世帯が貯金ゼロとなっています。
2人以上世帯・単身世帯にみる違い
2人以上世帯と単身世帯では、生活スタイルに大きな違いが出るもの。
自由に使えるお金の多さや貯蓄額を鑑みると、単身世帯は自由に使えるお金が多い反面貯蓄額が少ない傾向にあることが読み取れるのです。
単身世帯がより厳しい状況に置かれていることがわかる
前述のとおり、2人以上世帯と単身世帯の貯金ゼロ率を比較すると、単身世帯の貯金ゼロ率がより多いという結果が分かります。
この違いは、単身世帯と2人以上世帯のライフスタイルからくるものと考えられます。
2人以上世帯は子供の養育費や教育資金、マイホームの購入費など、「必要に迫られてお金が必要になるタイミング」が比較的早くやってきます。
一方単身世帯の場合は、比較的自由に使えるお金が多いのがポイント。とくに、若ければ若いほど将来のことはなかなかイメージしにくいものです。
「何とかなるだろう」とつい楽観視してしまい、たとえ十分な収入があってもお金を使いすぎてしまうという単身世帯の方も少なくないはずです。
しかし今は若く健康であっても、その状態が10年も20年も続くわけではありません。突然の病気やケガで収入が大きく減ってしまうことも十分に考えられますし、年齢とともに体力の衰えや病気のリスクは高まっていきます。
その状況を踏まえると、貯金がないまま過ごすのは大きな不安が付きまとうものです。若く健康なうちこそ、貯蓄に対して積極的になる必要があります。
一般的な貯金額はいくら?
「家計の金融行動に関する世論調査」では、貯金の平均金額のデータも出ています。それによると、金融資産の保有額の平均は、2人以上世帯で1,436万円、単身世帯は653万円という結果に。
ここでも、2人以上世帯と単身世帯との間に大きな違いがあることがわかります。
貯金ゼロはライフイベントで大ダメージを負うことも
「毎日の生活は成り立っているからまだ大丈夫」と、貯金がないことを楽観視するのは良くありません。
突然のケガや病気、転職などライフスタイルの変化が突然起こる可能性があるからです。そのうえ結婚や出産、マイホームの購入など大きなライフイベントで苦労することも考えられます。
主なライフイベントで必要となる費用は、以下のとおりです。
結婚費用
指輪代や挙式費用など、結婚は何かとお金がかかるもの。
たとえば、ブライダル総研の調査によると結婚式や披露宴にかかる費用総額は292.3万円というデータが報告されています。
ここに指輪代や新生活にかかる費用、ハネムーン費を含めると、その出費は決して小さくありません。
ご祝儀や両親の援助などで多少負担が軽減できても、自己負担でカバーしなければならない費目もあるでしょう。
結婚資金で苦労しないためにも、できるだけ早く貯金ゼロの状態を脱することが大切です。
マイホームの購入費用
住宅金融支援機構の調査によると、土地付注文住宅の全国平均費用は4,397万円という結果がわかっています。
新築マンションは4,545万円、建売住宅は3,495万円という結果も出ています。
住宅ローンでいくら借入するかによっても状況は変わりますが、貯金ゼロからではマイホーム購入も長い道のりになってしまうでしょう。
教育資金
平成30年度に行われた文部科学省の調査では、幼稚園から高校まで全て公立の学校へ進学したとしても子供1人あたり540万円以上の教育資金がかかるとされています。ここに、大学や専門学校などへの進学などが加算されることを考えると、合計は数千万円単位になるでしょう。
それを踏まえると、貯金ゼロの状態は非常に心許ないのです。
介護費用
将来、自分や家族に介護が必要となるときがやってきます。
生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用は一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など)の合計が平均約74.4万円、月々の費用が平均約8.3万円でした。
介護は一生涯続くものなので、一度介護状態になれば出費が続くことになるのです。介護の平均期間は約5年1か月というデータもあるため、単純にかけあわせると約581万円となります。
あくまでも平均費用と平均期間から算出したひとつの目安のため、介護期間によっても大きく左右されるでしょう。
介護サービスの充実した施設入所を希望するなら、より多くの貯金・貯蓄が必要です。
年金収入でやりくりするのは困難だということがわかります。
遠い将来のことと思っていても、思わぬケガで突然始まることもある介護。そのときに貯金がゼロだと、一気に生活が苦しくなってしまうでしょう。
貯金を始める前に知っておきたい「貯金」と「貯蓄」の違い
「貯金」と「貯蓄」は、どちらも似た言葉です。何となく同じ意味だと思われていますが、両者には微妙な違いがあります。
たとえば貯蓄は、現金を含めた金融資産を蓄えることです。つまり現金にくわえ株式や有価証券、債券などの金融商品を蓄えることを「貯蓄」と呼び、範囲としては「貯金」よりも大きなものとなります。
一方「貯金」は、現金を貯める行動全般を指す言葉です。郵便局のゆうちょ銀行にお金を預ける場合に「貯金」という言葉が使われます。また、貯金箱でお金を貯める方法やヘソクリ、タンス預金も「貯金」です。
もう一つ貯金と似た言葉として「預金」がありますが、預金は都市銀行や地方銀行、労働金庫などゆうちょ銀行以外の金融機関へお金を預ける行為を指します。
今からでも遅くない、貯金の始め方
貯金は、目標や危機感を持ったときが始め時です。
以下では、貯金ゼロの状態からでもスタートできる基本的な貯金テクニックをいくつかまとめました。
明確な目標・ゴールを決める
貯金をしようと思い立ったら、まず明確な目標やゴールを決めましょう。ここが曖昧なまま貯金を始めても、終わりがみえず挫折する可能性があるからです。
「結婚資金の足しにする」、「休職・転職中の生活費として」など、貯金する目的を具体的に決め、いくら貯めるかも決めましょう。
目標の立て方に迷っているのであれば、まずは「生活費3か月分」を目安金額として貯金するのがおすすめです。
家計簿をつける
まずは家計簿をつけて、毎月の支出をしっかり把握しましょう。
そもそも貯金が苦手な方は、「毎月何となくお金を使ってしまっている」という方が少なくありません。家計簿をつけることで、「総額でどれだけお金を使っているのか」、「どの部分に無駄遣いをしてしまっているのか」という点を洗い出せます。改めて記録をつけてみることで、「思ったより無駄遣いをしていた」、「この部分を削れれば何とかなりそう」という気づきも得られるでしょう。
また、家計簿をつけることで「使途不明金」も洗い出せます。使途不明金とは、何に使ったのかハッキリとわからないお金のこと。
「何に使ったのか思い出せないのにすでに金欠」という方は、この使途不明金の存在を把握できていないことが多いのです。使途不明金を洗い出せば、「こんなところに無駄遣いをしていた」という気づきにつながり、結果として節約にもつながります。
家計簿は、既製品のノートを使ってもアプリを使ってもOK。
「まめに記録するのが苦にならない」という方は前者、「なるべく簡単にスピーディーに記録したい」という方には後者がおすすめです。
先取貯蓄のシステムを作る
「生活費や雑費に使って、余ったお金を貯金する」という方法だと、お金はなかなか貯まりません。
お給料が入ったらまず貯金するお金を差し引き、残った分を生活費へ充てる「先取貯蓄」のシステムを作りましょう。
銀行の定額自動入金サービスを活用するのが確実。毎月一定の金額が貯金用口座へ振り込まれるため、手間がかかりません。
ただし、入金する金額を高く設定しすぎないようにしましょう。生活費が圧迫されては元も子もありません。
大きな固定費を適宜見直す
固定費とは、毎月の支払額が決まっている費用のこと。
具体的には、通信費や各種月額サービスなどがあげられます。大きな固定費を見直すことで、毎月の負担も大きく減らせるでしょう。
たとえば今使っているスマホを格安スマホへ変えたり、十分使えていない月額サービスを解約したりすれば、その分の費用を浮かせられます。
余裕があるのであれば、思い切って家賃が安い物件へ引っ越すのも手です。
変動費の見直しも効果的
食費や娯楽費などの「変動費」もしっかり見直しましょう。
たとえば衝動買いが多い方は、買い物のレシートを見て「役に立った商品」「役に立たなかった商品」の記録を取っていくのがおすすめ。この記録をつけることで、「自分はどんなものを衝動買いしやすいのか」、「自分が『役に立たなかった』と感じるアイテムはどんなものが多いのか」という情報を振り返ることができます。その結果、無駄遣いや衝動買いにブレーキをかけるクセが身につくのです。
できる範囲で自炊する
外食やコンビニ弁当で食事を済ませがちな方は、できる範囲で自炊をしましょう。
「ランチは手作りのお弁当にする」、「夕食だけは自炊する」というように、まずは1日1食の自炊でもOKです。
自炊を習慣にするうちに作り置きレシピや節約レシピなどの知識が身について、自然と貯金体質に近づくことも期待できます。
あわせて、マイボトルを持ち歩くのもおすすめ。小さなことですが、こうした地道な節約を重ねることが大切なのです。
短いスパンで目標を立ててみる
貯金初心者の方は、まず「短期目標」を立てるのがおすすめ。
最初から数年・数十年単位の目標を立てると、ゴールがみえづらくなり挫折しがちなためです。
「3か月~半年で〇万円貯める」、「1~2年で〇万円貯める」という風に、まずは短期かつ少額の貯金目標を立ててみることをおすすめします。うまくいったら、貯金期間と貯金額を徐々に増やしていくと良いでしょう。
貯金・家計管理はプロへ相談するのも手
貯金はコツコツと続けることが大切。とはいえ、貯金がない状態からやみくもに貯金をスタートさせても挫折の可能性が高くなります。職業や収入、ライフプランによって、適切な貯金額や貯金期間が異なるためです。
人によってマッチする貯金方法もさまざまですので、貯金の方法やポイント、家計の見直し方に迷ったらファイナンシャル・プランナー(FP)へ相談しましょう。
「FPナビ」は、家計管理をはじめ教育資金のことや老後資金のこと、資産運用のことなどさまざまなファイナンシャルプランニングのご相談に対応しています。家計やライフプランなどを丁寧にヒアリングしたうえで、お客さまに合った解決策をご提案させていただきます。
FP検索機能を使えば、所属するFPの性別や年齢、得意分野から検索ができます。お悩みに合わせてFPを選ぶことで、ミスマッチを防ぐことやお悩み解決への近道になります。
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※この記事は2021年12月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
出典
「家計の金融行動に関する世論調査(2020)のポイント」(金融広報中央委員会)
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/pdf/point2020.pdf
「ゼクシィ結婚トレンド調査2021調べ」(株式会社リクルート)
https://souken.zexy.net/research_news/trend.html
「2020年度 フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)
https://www.jhf.go.jp/files/400357456.pdf
「平成30年度子供の学習費調査の結果について」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00035.html
「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf