住まい

住宅購入の費用は土地・建物だけではないの?住宅購入にかかる諸費用とは?

住宅購入の費用は土地・建物だけではないの?住宅購入にかかる諸費用とは?

住宅を購入する際には、住宅そのものにかかる代金のほかにも、手数料や税金などの諸費用も支払う必要があります。
諸費用の支払は住宅ローンに含めることができず、必要に応じて現金で支払います。
そのため、諸費用のための資金を別に用意しておかなくてはなりません。

では、住宅購入時にかかる諸費用には、どのようなものがあって、いくらかかるのでしょうか。
今回は、住宅購入にかかる諸費用について解説します。

住宅購入にかかる諸費用にはどのようなものがある?

住宅を購入する際には土地代や建物代以外に登録免許税や手付金などの諸費用がかかります。
登録免許税や登記費用など住宅の種類に左右されない費用もありますが、不動産の売買契約時には「手付金」として物件価格の5~10%程を支払う必要があり、売買契約時の手付金がもっとも高額です。

登記手続きの費用や手付金に加えて、注文住宅では地鎮祭費用、新築マンションでは修繕費積立金など、住宅の種類に応じて必要になる費用が異なります。中古物件であれば購入後にリフォーム費用が生じることもあります。

物件の条件にもよりますが、物件価格に対してかかる諸費用の割合は、新築マンションは3~5%程、中古マンションは5~13%程、建売住宅は5~10%程、注文住宅10~12%程、中古住宅は6~10%程を見積もっておくとよいでしょう。

印紙税

印紙税とは、税金や手数料を納付する目的で契約書に貼る証票のことです。印紙税法によって定められた20種類の文書を作成したとき、支払う金額に応じた税金を支払います。
住宅購入時には、売買契約書や住宅ローン契約時に印紙税を納付することになります。

住宅ローンについては、契約の内容によって印紙税の額が変わります。
たとえば、1人で契約した場合や金利を固定・変動いずれかに定めている場合は契約書1枚で済みますが、固定金利と変動金利を組み合わせるミックスローンを選択していたり、夫婦や親子など2人でペアローンを契約していたりした場合は、契約書が2通になるため、印紙税も2通分かかります。

<契約金額と印紙税額>

契約金額印紙税額
(1通または1冊につき)
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下10,000円
1千万円を超え5千万円以下20,000円
5千万円を超え1億円以下60,000円
1億円を超え5億円以下100,000円

登記費用

不動産の登記とは、住宅や土地といった不動産の所有権を証明するための手続きです。
義務ではありませんが、登記を行わないと所有権・抵当権の主張ができなくなるため、売主が不動産を二重に譲渡したり、第三者に所有権を主張されたりした場合に不動産を奪われてしまうというトラブルを招きかねません。トラブルを未然に防ぐという意味でも、登記はきちんと行いましょう。
登記費用は、土地や家屋などの評価を定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村(東京23区は各区)により決められた「固定資産税評価額」によって差が生じます。住宅や土地を購入する際に関わった不動産会社に相談すれば、物件が引き渡される前には費用がわかります。

司法書士への報酬

購入した土地・建物の登記を行うため、専門家である司法書士に支払う報酬です。
自分で登記を行うことも可能ですが、法律に則って厳格に進められるため、ほとんどの場合、複雑かつ面倒な手続きになります。
登記は不動産の所有権・抵当権といった「権利」に関わる重要な手続きなので、不動産登記は司法書士に依頼することをおすすめします。
司法書士は不動産会社に紹介してもらえます。また、各都道府県にある司法書士会からの紹介やインターネットを通じて探すこともできます。司法書士の報酬額は比較的自由に設定できるため、依頼する司法書士によって報酬額には差異がでます。複数の司法書士の報酬額を比較して検討するとよいでしょう。

住宅ローン借入費用

住宅ローンを借りるときにも、月々支払う返済金とは別で諸費用が発生します。
たとえば、銀行で借入する際には「事務取扱手数料」がかかります。
また、注文住宅を購入する場合は、住宅が完成するまでに土地代金、着工金、上棟金などの費用が必要です。
住宅完成までに必要な資金を一次的に立て替えるためのローンもあり、それを「つなぎ融資」と呼びます。
注文住宅を購入する際に、つなぎ融資を利用するとその手数料・利息が発生します。
住宅ローン借入の際にかかる諸費用は、住宅の購入価格やどこの銀行から借りるのか金融機関によって差がでてきます。

不動産取得税

不動産取得税とは、文字どおり土地や建物といった不動産の「取得」にかかる税金です。
不動産の「保有」にかかる固定資産税とは違って1度支払うだけで済みます。
入居した後に納税通知書が送られてくるので、お住まいの都道府県にある税事務所で納税手続きが可能です。

<新築住宅の不動産取得税の計算方法>

取得条件土地建物
通常不動産の価格(課税標準額)×4%不動産の価格(課税標準額)×4%
2024年3月31日までに取得した場合不動産の価格(課税標準額)×3%不動産の価格(課税標準額)×3%
一定の条件(※1)を満たして税金が軽減される場合  不動産の価格(課税標準額) ×1/2×3% -軽減額(※2)(不動産の価格(課税標準額)1,200万円(※3)×3%
※1「特例適用住宅を建築した場合」など、土地や建物の種類ごとに適用される条件が決まっています。
※2軽減額は以下のいずれか高い方
  1. 45,000円
  2. 土地1平方メートル当たりの価格(※)×(住宅の床面積×2(限度200平方メートル))×3%
    ※宅地評価土地の場合は、評価額を2分の1に調整した後の価格で計算します。

※3長期優良住宅の場合については、令和4年3月31日までの間に取得した場合に限り1,300万円が控除されます。

固定資産税・都市計画税の精算

「固定資産税・都市計画税の精算」は、売主と買主の間で慣例的に行われている取引です。
土地や建物を1月1日時点で所有している場合は、固定資産税や都市計画税の納税義務者となります。しかし、固定資産税や都市計画税は、翌年の1月1日まで納税義務者の変更ができません。そのため、売主・買主が相談して各々が負担するべき固定資産税を決め、不動産の売買金額に含めるのが一般的です。
本当に固定資産税・都市計画税を清算するわけではありませんが、土地・建物の代金とは別で、自分が支払うべき固定資産税等相当額が含まれていることは把握しておきましょう。

仲介手数料

「仲介手数料」とは、不動産会社に支払う報酬です。
相談を受けた不動産会社は、物件の紹介、各種登記の実行、売主との交渉など物件購入のサポートをしてくれるため、その報酬として支払います。
基本的に成功報酬であり、売買契約が成立しなかった場合には仲介手数料を支払う必要はありません。

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、以下のようになっています。

  • 200万円以下:売買価格の5%以内+消費税
  • 200万円超400万円以下:売買価格の4%以内+消費税
  • 400万円超:売買価格の3%以内+消費税

また、仲介手数料は一気に支払うのではなく、契約時に半分、物件の引き渡し時に半分を支払うのが一般的です。

修繕積立基金

新築マンションを購入した場合は、引き渡し時に修繕積立基金を支払う必要があります。
修繕積立基金とは、一般的に10~15年に1度行われる大規模修繕費に使われるお金です。相場としては数十万円と高額であり、とくに首都圏では修繕積立基金が高めに設定される傾向があるため、事前に把握しておきたい諸費用といえます。

マンションでは毎月「修繕積立金」として修繕費用にあてる金額を積み立てますが、エレベーターの修繕や給水管・排水管の修繕、外壁の修繕などには多額の費用がかかります。
以前は修繕計画の見通しが甘く、修繕積立金だけでは大規模修繕の費用が賄えないという状況に陥るマンションがたくさんありました。もし大規模修繕費が不足した場合は、足りない分を各世帯から補わなくてはならなくなり、急に高額な請求が来ることも考えられます。そのため、新築マンションでは最初に「修繕積立基金」を払って、大規模修繕に備えるようになったのです。

住宅購入後のことも考えよう!


住宅購入時の諸費用を考えるのも大切ですが、意外と見落としがちなのが住宅購入後の「維持費」です。
たとえば、毎年「固定資産税」や「都市計画税」が発生するほか、火災保険・地震保険といった月々の「保険料」も見逃せません。
また、築年数が経つと必要になる外壁塗装やリフォームといった修繕費用を、日々積み立てておく必要もあります。

1年間にかかる住宅維持費は、一戸建てでは20~40万円程、マンションでは40~70万円程になるといわれています。
目先の住宅購入資金を用意するので手一杯になり、維持費で家計が逼迫するという事態は避けたいものです。
固定資産税・火災保険・修繕積立金などランニングコストが大きくなることも踏まえて、計画的に住宅購入を検討しましょう。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課せられる地方税です。
毎年4~6月頃に納税通知書が送られてきて、納税通知書に記載されている期日までに納付します。
基本的には一括で納めますが、年4回の分納も選択できます。

なお、新築住宅は軽減措置の対象です。
新築一戸建ての購入や新築、あるいは新築5年以内のマンションを購入すると、新築一戸建てで3年間、新築マンションで5年間は建物部分の固定資産税が半額になります。また、長期優良住宅であれば軽減措置の期間が2年間プラスされます。
ただし、軽減措置を受けるためには自ら申告しなければなりません。

固定資産税は入居した後で考えられがちですが、住宅次第で入居後の固定資産税を低く抑えることもできるため、購入時点で固定資産税の軽減措置が受けられるかどうか考えておくとよいでしょう。

火災保険料・地震保険料

住宅購入時には、万が一のことを考えて火災保険や地震保険に加入します。とくに、住宅ローンを使った住宅の購入を考えている場合、火災保険は必須です。
住宅ローンの支払い期間は一般的に30~35年と非常に長期間であり、住宅が損害を受ける可能性は否定できません。
もし住宅ローンが残っている状態で家に何らかの損害が発生しても、住宅ローンの支払いがなくなるわけではありません。ローンと修繕費の両方を支払う必要があり、かなり負担が大きくなってしまいます。自然災害や火災などで住宅が損害を受けたときでも、保険に入っていれば自己負担額を抑えられます。

火災保険の相場を知るのは難しく、一概にいくらくらいかかるとはいえません。なぜなら、建物の構造や所在地によって火災保険料の金額が変わるからです。
たとえば、同じ所在地であっても、木造建てであることが多い一戸建てのほうが、鉄筋・コンクリート建てのマンションよりも保険料が高くなります。
また、川や海が近いなど自然災害を受けやすい地域は保険料が高く設定されるのが一般的です。

火災保険料・地震保険料も住宅を購入するタイミングで考えておくことで、入居後のマネープランを立てやすくなるでしょう。

修繕費

マンションの場合は管理費・修繕積立金を毎月支払って修繕に備えています。しかし、戸建ての場合はマンションと違って管理組合がないため、修繕積立金を納める必要はありませんが、一戸建てであれマンションであれ、いずれは修繕が必要です。
一戸建てであってもマンションと同様に、自分たちで修繕費を積み立てておかなくてはならないのです。

修繕費の準備に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。修繕内容は雨漏りやシロアリ被害など、すぐに対処したほうがいい内容も多く、このことからも修繕費の積み立てはコツコツ貯めるのがよいでしょう。


諸費用・維持費を考慮した資金計画が大切

上記で紹介してきたように、住宅購入にかかる諸費用はさまざまで、まとまった金額が必要になることもあります。
住宅購入の頭金を用意することも大事ですが、諸費用の目安を不動産会社に聞き、諸費用を支払えるだけの現金は残しておくようにしましょう。
また、住宅を維持する費用も家計を圧迫する要因になるため、住宅購入時には、維持まで見据えた資金計画が大切です。

マイホームは多額の資金が必要であるうえ、一度購入してしまうと簡単に変えることはできません。住宅購入に漠然とした不安を感じるのは無理もないことです。
なんとなく感じる不安は「知らない」ことから生まれます。要因を1つひとつ明らかにして解決していくことが、不安解消の第一歩です。
そうはいっても、どこから手を付けていいのかわからない……という方は、家庭のお金管理のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみることをおすすめします。

FPナビでは、住宅購入相談が得意なFPによる無料相談も行っています。また、FPの得意分野だけではなく、お客さまのご希望に合わせてFPの性別、年齢を選択することもできます。
FP検索機能であなたにぴったりのFPを探してみませんか?

相談場所は、ご自宅はもちろん、FP事務所やカフェも選べます。「住宅購入にはどれくらいのお金が必要なのか」、「住宅購入したら生活が苦しくならないか」など、漠然とした不安を感じている方はぜひお気軽にご相談ください。


※この記事は2022年3月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

出典

「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

「令和3年度税制改正の大綱」(財務省)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/03taikou_02.htm#02_05

「不動産取得税の軽減措置」(京都府)
http://www.pref.kyoto.jp/zeimu/11600014.html

「不動産取得税」(大阪府)
https://www.pref.osaka.lg.jp/zei/alacarte/fudousan.html

「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001307056.pdf

「新築住宅に係る税額の減額措置」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html

「認定長期優良住宅に関する特例措置」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000022.html

share
  • x
  • facebook
  • line

ファイナンシャル・プランナーが
あなたの家計を診断します

ファイナンシャル・プランナーは、現在の家計の状況・これからの予定(ライフプラン)をお聞きしたうえで、「お金のプロ」として、今後のライフプランを実現するための家計のやりくりや貯蓄方法を提案します。

相談相談