家計

貯金の目標金額はどうやって決める?目標や目安となる金額を解説!

貯金の目標金額はどうやって決める?目標や目安となる金額を解説!

将来に備えて貯金をしておくのは大切です。しかし、貯金の目標を定めずに貯めていると、漠然とした不安感を拭い去ることはできません。どれだけ生活を切り詰めても、貯金額が十分か不十分か判断できなければ、満足することはできないでしょう。今回は、目標金額を決める際の注意点や、目安となる目標金額、目標の立て方を解説します。これから貯金を始めてみたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。 

貯金を続けるための3つの条件


貯金を続けるための前提条件は3つあります。1つ目が「無理のない目標設定をする」、2つ目が「計画的に貯金する」、3つ目が「自分の貯金能力を知る」です。 

無理のない目標設定をする

最初から無理な貯金目標を立ててしまうと、生活がままならなくなるおそれがあります。節約生活に固執するあまり、心に余裕がなくなって、家庭内環境が悪くなるかもしれません。あるいは、交際費を出し渋った結果、親戚や友人との関係が壊れてしまうことも考えられます。このような事態を防ぐためにも、まずは「収入の10%を貯金に回す」といった、無理のない設定からスタートしましょう。 
 
収入の10%は低すぎる、という印象をお持ちの方もいるかもしれません。しかし、今まで貯金をしない生活を送ってきた方がいきなり高い目標を設定すると、不自由な生活になるおそれがあります。無理のない範囲で少しずつ貯金額を上げていくことで、貯金が苦にならなくなり、挫折もしにくくなります。 

計画的に貯金する

無理のない金額を積み立て、貯金をする習慣が身についてきたら、スケジュールを立てて計画的な貯金を目指します。月収の10%をコツコツ貯めるという方法も、計画的な貯金の1つ。マイホームや出産・子育てといったライフプランを立てているのなら、住宅購入や子育てなど、お金が必要になるタイミングに合わせて目標金額を決めるという方法もあります。毎月いくら貯めるのか、将来お金を使うタイミングがあれば、いつまでに貯めるべきかを明確にして、計画的に貯金を進めましょう。 

自分の貯金能力を知る

無駄な出費を抑えることができれば、1か月にどれくらいの貯金ができるか見えてきます。人は、あればあるだけお金を使ってしまいます。「余った分を貯金しよう」と思っても、お金はなかなか残ってくれません。家計の収支を把握し、ほかに節約できる項目を探してみましょう。「外食が多いので減らしてみよう」、「スマホ料金のプランを見直してみよう」といった気づきが生まれるはずです。 

貯金の目標金額の決め方


では、貯金の目標金額はどのように決めたらよいのでしょうか。目標金額を決める目安にしたいのは、「年収」「年齢」「ライフプラン」の3つです。 

年収から決定


総務省統計局による「家計調査 2021年(令和3年)」の二人以上の勤労世帯の可処分所得と消費支出から、年収別の貯蓄率を見てみましょう。全体の貯蓄率の平均は、37.2%です。しかし、貯蓄率が37.2%を超えるのは、年収が650万円以上になってから。つまり、年収の高い世帯の貯蓄率が、平均貯蓄率を押し上げているのです。 

<二人以上の勤労世帯 年間収入別・1か月あたりの収入・支出> 

収入可処分所得消費支出貯蓄可能額(黒字)貯蓄率(黒字率)
平均492,681 円309,469 円183,213 円37.2%
200万円未満171,860 円158,474 円13,387 円7.8%
200~250万円213,441 円194,884 円18,556 円8.7%
250~300万円254,171 円224,833 円29,338 円11.5%
300~350万円269,212 円212,737 円56,475 円21.0%
350~400万円308,917 円226,709 円82,208 円26.6%
400~450万円335,530 円233,530 円101,999 円30.4%
450~500万円356,139 円239,354 円116,784 円32.8%
500~550万円360,228 円255,173 円105,055 円29.2%
550~600万円407,499 円268,964 円138,535 円34.0%
600~650万円425,373 円274,959 円150,414 円35.4%
650~700万円464,153 円290,884 円173,269 円37.3%
700~750万円474,095 円295,615 円178,480 円37.6%
750~800万円501,916 円315,662 円186,254 円37.1%
800~900万円557,801 円340,805 円216,996 円38.9%
900~1,000万円607,000 円376,282 円230,718 円38.0%
1,000~1,250万円697,680 円403,359 円294,321 円42.2%
1,250~1,500万円802,786 円457,557 円345,229 円43.0%
1,500万円以上1,075,267 円546,586 円528,681 円49.2%


年収が250~300万円に至るまでは、収入の10~20%を貯蓄に回すことを第一に考え、貯金の習慣が身についてきたら割合を増やしてみましょう。年収が高くなるほど消費支出も高くなりますが、年収が高い=消費支出が高いというわけではありません。たとえば、300~350万円未満の世帯は、250~300万円未満の世帯よりも消費支出が12,096円低く、貯蓄率が9.4%上がっています。年収が増えても必要以上の消費を増やさないことが、貯金を増やす第一歩となるでしょう。 
 

年齢から決定

「家計調査」では、世帯主の年齢別に、貯蓄状況について発表しています。下記は、二人以上の勤労世帯を対象にしたデータです。最も貯蓄率が高いのは29歳以下の45.8%、次に30代の44.3%が続き、若い世代ほど貯蓄率が高くなっていることがわかります。 
 
<二人以上の勤労世帯 世帯主の年齢別・1か月あたりの貯蓄状況> 

年齢(世帯主)手取り収入(可処分所得)消費支出貯蓄率(黒字率)
29歳以下435,680円236,243円45.8%
30代476,698円265,640円44.3%
40代527,972円315,517円40.2%
50代548,100円347,987円36.5%
60代406,790円304,639円25.1%
70歳以上340,221円246,579円27.5%


20~30代の二人以上世帯は、夫婦もしくは子供が小さく、教育費がかかりにくい世帯です。そのため、生活費の支出が抑えやすく、貯蓄率も高くなっていると考えられます。 
 
40~50代は子育て中の世帯が多く、支出がかさみやすいものの、30~40%前後と高い貯蓄率を維持しています。この年代は、働き盛りということもあって手取り収入がほかの年代よりも高いため、「今のうちにお金を貯めておきたい」と考えて節約をする世帯も多いのかもしれません。 
 
60代は定年退職の時期と重なるため、手取り収入も貯蓄率も一気に下がっています。 
 
貯金は毎月コツコツと行うものなので、始めるタイミングが早いほど複利で貯金が増え、目標金額への到達が早くなります。もし、貯金の目標が決まらないというのであれば、ご自身の年齢と平均貯金額を照らし合わせながら、まずは平均値を目指してみましょう。 

ライフプランから決定

大きな支出が予想される教育・マイホーム購入・介護といった将来に備えるため、今のうちに貯金しておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。各ライフイベントにどれくらいのお金がかかるのか、目安となる金額を紹介します。金額の目安を把握することで「とにかくお金がない」という漠然とした不安が軽くなり、心の余裕にもつながるでしょう。 

<ライフイベント別費用の目安> 

ライフイベント 費用の目安 概要
出産費用 46万217円 出産費用の総額平均(※1)
教育資金 1,002万6,535円 子供1人あたり
幼稚園~高校まで公立(※2)、大学のみ私立(※3)
住宅購入資金 2,614~4,528万円 新築マンション・土地付き注文住宅・注文住宅・建売住宅・中古マンション・中古戸建 全国平均所要資金(※4)
老後の生活費 月24.1万円 65歳以上の世帯(二人)の月ごとの消費支出(※5)
介護費用 581.1万円 介護にかかる一時的な費用は平均74万円、介護費用は平均8.3万円/月。介護を始めてからの期間は平均5年1か月(※6)


どんな人生を歩むかは人それぞれ。上記で挙げた以外にも、さまざまなライフイベントがあります。ライフプラン(人生設計)を具体的に立てれば、将来にかかるお金も把握でき、いつまでにいくら貯めるべきかがはっきりするでしょう。「どのライフイベントに備えるべきか」「ライフイベントにかかる費用を抑えられないか」と悩むことも多いかもしれません。そんなときには、家計管理のプロであるFPにアドバイスをもらうのも手です。 
 
FPナビでは、何度でもFPへ無料相談できるサービスを行っております。ご自身のライフイベントに備えて貯金を始めたい、とお考えの方は、こちらの「ライフプラン(人生設計)を立ててお金の悩みをすっきり解決!」より、FPナビへの相談をぜひご検討ください。 

年代別貯金額の目安

「家計調査」の「貯蓄・負債編(2020年)」を基に、勤労世帯の1世帯あたり平均貯蓄額と負債額を年代別に紹介します。30代以降は貯蓄額がぐんと伸びています。一方30~40代では、マイホーム購入を検討する時期であることが推測されるため、1世帯あたりの負債額もかなり増えていることがわかります。 

<世帯主の年齢別 貯蓄・負債状況> 

年齢(世帯主)1世帯あたり平均貯蓄額1世帯あたり平均負債額
29歳以下377万円693万円
30~39歳750万円1,337万円
40~49歳1,071万円1,200万円
50~59歳1,681万円692万円
60~69歳2,094万円214万円
70歳以上1,962万円138万円


貯金ゼロから平均に追いつくためのシミュレーション

では、ここで平均貯蓄額を貯めるために必要な「1か月あたりの貯金額」をシミュレーションしてみましょう。 
 
たとえば、貯金ゼロの25歳世帯・35歳世帯・45歳世帯が10年間で「平均」に追いつくためには、月額いくら貯金するべきでしょうか。25歳世帯が750万円(30代の平均貯蓄額)、35歳世帯が1,071万円(40代の平均貯蓄額)、45歳世帯が1,681万円(50代の平均貯蓄額)を10年間で貯める場合の、必要な貯蓄額を逆算してみましょう。 

10年間で平均貯蓄額に到達するための貯蓄率

年齢(世帯主)手取り月収(可処分所得)10年後の平均貯蓄額貯蓄率
25歳435,680円(29歳以下)750万円(30~39歳)14.3%
35歳476,698円(30代)1,071万円(40~49歳)18.7%
45歳527,972円(40代)1,681万円(50~59歳)26.5%


上記「家計調査」のデータによると、貯金ゼロの状態から平均に追いつく場合、25歳世帯は月62,500円程、35歳世帯は月89,250円程、45歳世帯は月14万円程を10年間貯める必要があります。45歳になると、貯蓄率が26.5%になり、35歳のときに比べて7.8%も上昇していることから、20~30歳代から資産運用をしてコツコツ貯めてきた世帯と、そうでない世帯では、貯蓄額の差が大きく開いています。 
 
資産運用は確実とはいえないものの、長期積立を行うことで、元本割れのリスクを下げられます。20年保有した場合のリターンが4~6%になる可能性は5割強です。25歳から20年間、月に3万円ずつ貯金すると720万円貯まりますが、毎月3万円を投資に回すと、運用利回り4%の場合でも1,100万円程になり、20年間でおよそ380万円も増えます。もちろん、預貯金だけであっても、毎月コツコツ貯金を続けることで、多額のお金を貯めることは不可能ではありません。 
 
若いうちに貯金を始めるほど、時間を味方につけてお金を増やすことができます。とはいえ、45歳であっても、貯蓄率26.5%という生活に支障の出にくい割合であることからも、スタートが遅すぎるということはありません。まだ貯金の習慣が身についていないという方は、上記で紹介した年収・ライフプラン・年齢別の貯金目標の目安を参考に、ご自身の生活に合った無理のない範囲で貯金をスタートさせてみてはいかがでしょうか。 

貯金目標を達成する方法


貯金の基本は、「目標金額」を決めて、コツコツと計画的に貯めることです。たとえば、ダイエットも「いつまでに何キロ痩せる」という目標を達成するために、運動・食事制限を行います。貯金も同じようなもので、月々の目標を決めたほうが継続しやすくなります。 
 
また、ダイエットでは体重という数値で成否を判断し、体重が減っていることをモチベーションにしてダイエットを続けることができます。達成の見える化は、貯金でも大切です。貯金用口座を別に作っておくと、コツコツ貯めた金額が目に見えてわかるようになり、貯金のモチベーションを保てるでしょう。 
 
「月5万円は貯める」といった金額ベースで貯金目標を立てる方は多いですが、貯金目標は金額ではなく「割合(パーセント)」で決めることをおすすめします。なぜなら、収入に応じた無理のない貯蓄額に設定できるからです。手取り収入が30万円と15万円の世帯では、「5万円」の負担額の重さが違います。手取り収入15万円の世帯で5万円ずつ貯金しようと思っても、生活費が10万円しか残らず、手取り収入が30万円の世帯と比べると厳しい生活を強いられるでしょう。 
 

家計にあった貯金目標を立てよう! 

貯蓄率の平均は、年収の高い世帯に引き上げられて高く見積もられますが、年収が200万~400万円でも10~20%の範囲内に収まっています。貯金ができていないと焦るのではなく、まずは収入の10%を着実に貯金する習慣を身につけるところから始めてみましょう。 
 
貯金を増やすためには収支の見直しがカギとなりますが、「どこから手をつけたらいいのかわからない」という方もいるかもしれません。貯蓄計画にお困りの方は、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してライフプランを立ててみるのも1つの手です。 
 
「FPナビ」では、お金のプロであるFPへ無料で何度でも相談できるサービスを実施しております。ご自宅への訪問相談も承っており、忙しくてなかなか来店できない方でもお気軽にご利用いただけます。本腰を入れて貯蓄計画を立てたいとお考えの方は、こちらの「家計のお悩みはFPにご相談ください」から、FPナビへどうぞお気軽にご相談ください。 

出典

「家計調査(2021年(令和3年)家計収支編 二人以上の世帯」総務省統計局
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330005&result_back=1&tclass4val=0
※1「第136回 社会保障審議会医療保険部会 議事次第」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000729683.pdf
※2「平成30年度子供の学習費調査の結果について」文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf
※3「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00002.htm
※4「2021年度フラット35利用者調査」住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf
※5「家計調査 2020年(令和2年)家計収支編 二人以上の世帯」総務省統計局
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330006&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle&tclass4val=0
※6「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」生命保険文化センター
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html

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