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大学の学費はいくら必要?国公立と私立の平均をもとに学費の準備方法を解説

大学の学費はいくら必要?国公立と私立の平均をもとに学費の準備方法を解説

大学に進学するといっても、国立・公立・私立だけではなく学部や学科によっても必要になる金額が異なります。

また、教科書代や交通費、一人暮らしをするなら家賃や食費などの生活費も必要になり、学費以外の出費もあります。

学費を貯め始めるのは早ければ早いほどいいですが、いつまでに・どれくらいのお金を準備しなければならないのかを知ることも大切です。

このコラムでは、国公立と私立、学部や学科ごとの学費の平均額と学費以外にかかる費用の目安をもとに、準備方法について解説します。

大学進学にかかる費用の全貌

国公立大学の学費は、私立大学と比較すると一般的に安い傾向があります。
例えば、比較的学費が安い国立大学の4年間の学費と、学費が高くなりやすい私立大学理科系学部を比べると、差額は約299万円になります。

国立大学の学費は4年間で242.5万円

国立大学の入学料・授業料は、標準額が決められており、入学金が282,000円、授業料は年間535,800円です。

ただし、特別な事情があるときは標準額の120%を上限に各大学で設定できるため、標準額を超える入学金や授業料を設定している大学もあります。
例えば、東京大学では2025年4月入学者から授業料を642,960円に引き上げられました。

標準額で計算した場合、4年間で必要な費用は約242.5万円です。このほかに学校や学部により費用がかかる場合があります。

公立大学の学費は4年間で平均253.4万円

文部科学省の調査によると、地方公共団体が設置・管理する公立大学の授業料は国立大学に準じているところが多いようです。

ただし、入学料は多くの大学で地元地域内から進学する学生とそれ以外(地域外)の学生で差をつけています。
2024年度の平均額は入学料が地域内225,808円/地域外388,561円、授業料が536,340円となっています。
地域外の公立大学に進学した場合の4年間の学費を計算すると約253.4万円です。

このほかに学校や学部によって施設設備費や実験実習費などの費用がかかる場合があります。

私立大学文科系学部の学費は4年間で平均410.8万円

私立大学は国公立大学に比べて学費が高い傾向にあります。

文部科学省の調査によると、文科系学部の場合、1年間の授業料が平均で827,135円、理学部や薬学部などの理科系学部が1,162,738円、授業料のほかに施設設備費が毎年かかります。
学部や専攻により異なりますが、文科系学部で143,838円、理科系学部で132,956円が毎年かかります。

入学金が文科系学部で223,867円、理科系学部で234,756円かかるため、私立大学の4年間の学費総額は文科系学部で約410.8万円、理科系学部では約541.8万円となっています。

私立大学の場合、学部や専攻によって費用のばらつきが大きいため、進学前にしっかりと費用の詳細を確認することが重要です。

【まとめ】大学種別・学部学科別の学費(平均)

学校種別

入学金

授業料

施設設備費

4年間合計

国立大学

28.2万円

53.6万円

-

242.5万円

公立大学

地域内

22.6万円

53.6万円

-

237.1万円

地域外

38.9万円

53.6万円

-

253.4万円

私立大学

文科系学部

22.4万円

82.7万円

14.4万円

410.8万円

理科系学部

23.5万円

116.3万円

13.3万円

541.8万円


大学によって異なる付随費用とは?

大学に通うためには、学費以外にもさまざまな付随費用が発生します。
例えば、教科書や教材費、課外活動費などがあります。
これらの費用は大学や学部ごとに異なり、年間で数万円から十数万円になる場合もあります。

また、専門性の高い学部では実験や実習が必須となり、それに関連する支出も発生します。
さらに、一部の大学では、留学プログラムや研修プログラムが必修となっている場合があり、これらの費用も事前に確認しておく必要があります。

こうした付随費用も大学進学における重要な要素であるため、計画的な資金準備が欠かせません。 

仕送りや生活費も考慮しよう

自宅から遠い大学に進学するために一人暮らしや下宿をする場合、食費や家賃、水道光熱費など生活費の「仕送り」が必要になるため、学費以上に大きな負担となることがあります。

日本政策金融公庫によると、年間仕送り額は平均95.8万円、アパートの敷金や家具、家電の購入など自宅外通学を始めるための費用は平均38.7万円となっています。

また、クラブやサークル活動をする場合は、会費や合宿・遠征費などの活動費が必要になる場合があります。

学費の準備方法3選とメリット・デメリット

学費を準備する方法として、積立定期預金、NISA、学資保険・変額保険などの貯蓄型保険があります。
それぞれメリット・デメリットがあるため、貯蓄計画に合わせて準備方法を選ぶようにしましょう。

積立定期預金は低リスクで元本割れせずにお金を貯められることが最大のメリット

大学進学に向けた学費を計画的に準備する方法として、積立定期預金は多くの世帯で利用されています。
この方法は、毎月一定額を銀行の積立定期預金口座に預けることで、効率的に資金を貯蓄する仕組みです。

毎月自動で定期預金に振り替えられ、引き出し(解約)のハードルが普通預金よりも高いため、貯金が苦手な人でも続けやすいので、計画的かつ確実にお金を貯められます。

デメリットとして、金利が低いため長期間積み立てても資産が増えることがないところです。
また、積み立てている途中で親に万が一のことがあったりなどで積み立てができなくなった場合に、学資を準備できないというケースも考えられます。

NISAなら運用で増やしながら学費を準備できる

NISAとは少額投資非課税制度のことで、株式や投資信託などの運用益には通常20.315%の税金がかかりますが、NISAは運用益が非課税になります。
運用次第では効率的に資産を増やせる可能性があり、任意のタイミングで売却・現金化できるため、学費以外の用途にも利用できるところが最大のメリットです。

学費目的でNISAを利用する場合は、つみたて投資枠を利用することをおすすめします。
つみたて投資枠とは、対象となる投資先が長期・積立・分散に適している金融庁が認めた投資信託です。
一度設定すれば自動で買付されるため、投資のタイミングに悩むことがありません。

デメリットとして、学費として使いたいときに運用状況が悪いと学費不足や元本割れするリスクや、積立定期預金と同様に、積み立てている途中で親に万が一のことがあったりなどで積み立てができなくなった場合に、学費を準備できないリスクがあります。
また、自由に投資先を決めたい人にとっては、NISA対象の金融商品しか利用できないところは不自由に感じるかもしれません。

学資保険や変額保険などの貯蓄型保険は親に万が一のことがあったときにも備えられる

学資保険は、毎月保険料を払い込むことで、子供の進学時や満期時に祝金(保険金)が受け取れる保険です。
商品によっては、子供が病気やケガで入院や手術をしたときに保障される医療保障が特約として付加されているものがあります。

学資保険の最大のメリットは、学費を貯められるだけではなく、親に万が一のことがあった場合、以後の保険料支払いは免除され、祝金(保険金)を受け取れる保障があることです。

デメリットは、商品やプランによっては元本割れすることや、加入できる子供の年齢や祝金を受け取るタイミングが自由に選べないところです。

最近では、学資保険の代用として変額保険も活用されています。
変額保険は支払った保険料を保険会社が株式や債券などで運用し、実績に応じて満期保険金や死亡保険金が変動する保険です。

万が一のことがあったときに死亡保険金を学費を確保できますし、保障が不要であれば解約して解約返戻金を学費に活用することも可能です。
変額保険は運用成果がよければ保険金や解約返戻金が増加するので、インフレ対策にもなります。
活用例として、変額保険を有期型の22年などで契約し、大学入学前や在学中など必要なタイミングで解約し、解約返戻金を学費として活用します。

デメリットとして、NISAと同様に学費として使いたいときに運用状況が悪いと学費不足や元本割れするリスクがあります。
NISAなら運用状況が良化するまで据え置き続けることができますが、有期型の変額保険の場合は、契約期間を超えて据え置くことができないため、運用状況が悪くても満期保険金を受け取らなければならないという状況が発生する可能性があります。
また、死亡保障には最低保証がありますが、解約返戻金と満期保険金には最低保証がないので注意が必要です。

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いつまでに・どれくらいお金を準備しなければならないのか計画を立てよう

国公立大学と私立大学、学部や学科、自宅通学か一人暮らしかによって、大学進学に必要なお金は変わります。
将来子供がどんな進路を選択するかは未知数ですが、だいたいどれくらい必要になるかの目星はつけておきましょう。

例えば、私立大学文科系学部で一人暮らしをする場合、平均をもとに算出すると4年間の総額は832.7万円必要になります。
1年目は入学金や家具・家電の購入、引っ越し費用などがかかるため、ほかの年度と比べると金額が高くなるので、まとまったお金が準備できていると安心です。

【例】私立大学文科系学部に進学し一人暮らしをした場合にかかる費用内訳

1年目

2年目

3年目

4年目

入学金

22.4万円

-

-

-

授業料

82.7万円

82.7万円

82.7万円

82.7万円

施設設備費

14.4万円

14.4万円

14.4万円

14.4万円

仕送り

134.5万円
※引っ越し費用等含む

95.8万円

95.8万円

95.8万円

合計

254万円

192.9万円

192.9万円

192.9万円

学費の貯蓄計画を立てるときは、どの費用を・いつまでに準備するのかを決めましょう。

  • 4年間総額832.7万円を大学入学前である17~18歳までに貯める
  • まとまったお金が必要になる1年目の254万円分を17~18歳までに準備して、2年目以降は家計から捻出する
  • 17~18歳までに500万円程度貯めて、貯蓄は継続しつつ1年目に一部を使い、残りは運用をして増やす

など、子供の年齢や貯蓄目標額、貯蓄できる期間にあわせて計画を立て、計画にあった準備方法を選択することが大切です。

学費が家計に影響しないようにする方法

大学進学時の学費を貯めている期間も日々の生活費や子供の教育費はかかります。
そのため、家計の収支バランスを維持しながら教育費を確保する方法を考えることが必要です。

家計を圧迫しすぎると他の生活費に影響が及び、予期せぬ出費に対応しづらくなるため、現実的な目標設定を心がけましょう。
方法として、固定費の見直しや無駄な支出を削減し、学費に充てるお金を捻出することや、児童手当のような公的支援を貯蓄に充てることもいいでしょう。

貯蓄のみで学費を準備するのが難しい場合、他の資金源を検討することも重要です。
例えば、奨学金制度は学費の大きな助けとなります。
日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金や無利子貸与型奨学金は、多くの学生に利用されています。
さらに、自治体や大学独自の奨学金制度、国・民間金融機関が提供する教育ローンを活用する選択肢もあります。

ただし、奨学金や教育ローンを活用する場合、卒業後の返済計画を早めに考えておくことが重要です。
奨学金を借りた場合、返していくのは原則借りた子供本人です。
奨学金を利用する場合は、卒業後の収入と返済金額の割合や返済期間が無理のない範囲になっているか、お子さまとしっかり相談して利用するかどうかを検討するようにしましょう。

学費を準備し始める前にFPに相談がおすすめ

高額になる学費の貯蓄をゼロから始めるには時間がかかるので、無理をして学費を捻出することで日々の生活費を圧迫したり、予期せぬ出費に対応できず学費のための貯蓄を取り崩したとなれば本末転倒です。
子供が産まれたら早い段階でFP(ファイナンシャル・プランナー)にライフプラン表・キャッシュフロー表の作成を依頼することをおすすめします。

ライフプラン表は、将来の夢や目標、結婚や出産、子どもの進学などといったライフイベント(人生における出来事)を軸に作成します。これによってどのタイミングでお金が必要かを整理することができます。

キャッシュフロー表とは、10年、20年などの長いスパンで入るお金と出て行くお金、それによる貯蓄残高の推移を見る事で、具体的に必要なお金の数字をシミュレーションできます。

FPはお金に関する専門家なので、家計に無駄がないか、ライフスタイルに応じた収入に対する適切な貯蓄割合やおすすめの貯蓄方法のアドバイスも可能です。

FPナビでは、FPへ何回でも無料で相談できるサービスを行っており、平日、土日祝問わず9時から20時スタートの範囲でご予約いただけます。

相談場所はご自宅への訪問やご自宅近くのFP事務所、カフェでも相談ができ、とくに小さなお子さまがいるご家庭には「自宅に来てくれるので外出する手間が省けて良かった」というお声をいただいています。

学費の貯蓄計画のために、家計の見直しをお考えの方は、ぜひFPナビへご相談ください。

※この記事の内容は2025年6月1日時点の税制・制度によるものです。

出典

東京大学「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成十六年文部科学省令第十六号)東京大学「授業料改定及び学生支援の拡充について」」
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z1304_00101.html
文部科学省「2024年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kouritsu/detail/1284429.htm
文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00005.htm 
日本政策金融公庫「令和3年度「教育費負担の実態調査結果」」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/kyoiku_kekka_m_index.html

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