家計
日本でも進むキャッシュレス化! 電子マネー、クレジットカード…「現金を使わない支払い」のメリット、上手な使い方は?

近年、北欧諸国を始めとした諸外国で“現金を使わずにモノやサービスの支払いを行う”=“キャッシュレス決済”が進んでいるといわれています。「現金をほとんど使用しない国もある」「現金使用お断わりの店も多い」なんて話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
日本でも、経済産業省が2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた環境整備の一つとして、「キャッシュレス化に向けた方策」を2014年に発表し、政府主導でキャッシュレス決済を推し進める動きを見せています。
既に、コンビニやスーパー、飲食店で、各種電子マネーやクレジットカードで生活費の多くの支払いをしている方がいるかもしれません。とはいえ、キャッシュレス化が進む北欧諸国に比べると、日本ではまだまだ現金払いの機会が多いのも事実。
そこで今回は、キャッシュレス先進国・スウェーデンの支払い事情をご紹介します。キャッシュレス支払いのメリットや上手に使うためのポイントを考えていきましょう。
■キャッシュレス先進国、スウェーデン。キャッシュレス化によって変化したこととは?
国民のキャッシュレス化が著しく進んでいる国のひとつが、北欧のスウェーデン。
スウェーデンの街中には、「現金払いお断り」という貼り紙をしている店がめずらしくないほど。「クレジットカードお断り」の店が多い日本とは、まったくの逆といえます。
そんなスウェーデンでは、お金を使うときはスマホを出すのが当たり前の光景といわれています。電車に乗るときには乗車券を購入できるアプリを、レストランやスーパーマーケットでの支払時には電子マネーアプリを利用します。また、異なる銀行間でも簡単に送金ができるアプリがあり、例えば友達同士でのお金の貸し借りもスマホでピッとワンタッチで済ませます。
このようにキャッシュレス化が進んだことで、スウェーデンの社会には大きな変化があったといいます。それは、強盗事件が激減したこと。現金を持ち歩かない人が多く、お店にも現金が置かれていない、そしてタクシーやバスも現金では乗車できないという状況、さらには大手銀行でも半分以上の支店で窓口に現金を準備しておらず、顧客から現金を受け取らない体制を取っているため、「盗むお金の現物」そのものが存在しないのです。しかし、キャッシュレス化によって治安が良くなった半面、インターネットを利用したセキュリティに関する犯罪自体はいまだ無くなりません。国内ではこうしたセキュリティ犯罪のデメリットを懸念する声もあるようです。
■キャッシュレスのメリットは?
日本社会でも、スウェーデンほどではないものの、ここ数年でクレジットカードや電子マネーを利用したキャッシュレス決済のシステムが整いつつあり、ポイントが付く等各種特典も充実していることから、利用者が増えています。
ここで、クレジットカードや電子マネーを使ったキャッシュレス決済のメリットをみてみましょう。
・お金を下ろさなくて済む
ATMでお金を下ろすのは、なかなか面倒なもの。ATMがない場所もあるので、お金を下ろせなくて困った経験がある方も多いのではないでしょうか。また、利用時間によっては手数料がかかることも。特に平日フルタイム勤務の会社員の方は、平日に銀行が開いている時間に行くことができず時間外手数料ばかり支払っているという方は多いでしょう。しかし、キャッシュレス決済であれば、これらのわずらわしさから解放されます。
・ポイントが貯まる、特典や付帯サービスが利用できる
クレジットカード決済や電子マネー決済では、利用するたびに発行会社のポイントが貯まります。そして、貯まったポイントは好きなアイテムと交換できたり、支払代金に充てたりすることが可能です。これが、現金支払いとの最も大きな違いかもしれません。また、クレジットカードの場合では、付帯サービスとして海外旅行保険がついていたり、提携施設を格安で利用できたりといった特典もあります。
・アプリを使って支出管理が簡単に
クレジットカード決済や電子マネー決済なら、各種アプリで支出一覧をひと目で確認することができます。そのため、レシートをいちいち取っておかなくても簡単に家計の管理が可能に。アプリの中には、各金融機関と連携して一つのアプリで各種決済の情報が管理できるものもあるので、家計簿を管理するのが苦手という人にとっては、非常に便利です。毎日の支出を可視化することで何気ない無駄遣いを防ぎ、節約の助けにもなります。
・紛失時の補償がある
通常、現金を落としてしまった際、紛失した際の補償はありません。現金を入れていた財布を誰かが届けてくれるか、自分で見つけなければ失ったお金は返ってこないことになります。
しかし、多くのクレジットカードや電子マネー決済(チャージ型と後払い型)では、発行会社によって紛失時にカード利用をすぐに停止したり、チャージした残高の使用を停止したりして、紛失した際にもある程度の補償が付いていることがほとんどですので、もしもの際も安心です。
■キャッシュレスの注意点は?上手に取り入れるポイントは?
このように、キャッシュレス支払いによるメリットはたくさん。ただし、注意点もあります。
それは、クレジットカード決済や後払い方式の電子マネー決済では「お金を使った」という実感が乏しくなりがちだということです。現金支払いであれば、財布にお金がなければ「買えない」、だから「買わない」となりますが、クレジットカードや後払い方式の電子マネーだと、いつでも買えてしまうのが怖いところ。家計簿アプリなどで常時支出の把握と管理をしておくことが大切になります。
また、日本では、まだまだ現金のみの扱いしかしていない店も多いのが事実。キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、多少は現金を持ち歩かないと何かあった際に心配です。スウェーデンのように「現金は持たずに生活する」というのは、すぐには難しいかもしれません。
上述したメリット・デメリットをふまえたうえで、キャッシュレス決済をうまく日々の生活で利用するためにはどうすればいいのでしょうか。
それは、支出の項目ごとに後払い方式と先払い方式の決済をうまくわけることが重要です。
【賢い利用例】
・毎月必ず一定額発生する電気代・ガス代・通信費などの固定費の支払い→後払い方式の電子マネーやクレジットカードを利用する
・月によって使用額が変動する食費・交際費・衣服費など変動費の支払い→先払い方式(チャージ型)の電子マネーや、デビッドカードを利用する
日常のお買い物は「今あるお金」である、チャージ型(先払い方式)の電子マネーやデビッドカードで支払うことで、残高分しか使えないようにしましょう。残高分でやりくりするのは、現金でやりくりするのと同じことになり、無駄使いを抑制する効果があるといえます。ただし、チャージする際にクレジットカードを利用すると、「未来のお金」を使ってしまうことになります。あくまで、銀行の預金などからチャージするようにし、変動費は毎月決めた残高(今あるお金)の中でやりくりするという癖を身につけましょう。
そして、毎月必ず発生する固定費こそ、クレジットカードを利用しましょう。クレジットカードは、「未来のお金」であり、いわば「借金」です。突発的な衝動でクレジットカードを利用することは後々の家計に響くだけでなく、無駄使いを助長する要因になります。
日常的な買い物は「今あるお金」、固定費は「未来のお金」と、用途に応じて利用カードを変えることで使いすぎを防ぐことができます。
メリットばかりではない、キャッシュレス決済。
現金支払いとキャッシュレス決済を上手に使い分けて、お得に買い物しましょう。
※この記事は2017年4月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。