住まい
住宅ローンの借り換えは今のうち? 借り換えで得する基準・借り換えポイントをご紹介!

日本銀行がマイナス金利の導入を決定して以来、住宅ローンの金利は非常に低い水準になっています。現在住宅ローンを返済中の方は、「このタイミングで借り換えするべきかどうか」と悩んでいることでしょう。しかしながら、住宅ローンの借り換えタイミングによっては、損をしてしまうケースもあるのです。
ここでは、住宅ローンの借り換えのポイント、また借り換えによって得する基準などを解説していきます。
■住宅ローンの借り換えで得をする基準とは
住宅ローンの借り換えは、利息を軽減できる魅力的な手段です。しかしながら、借り換えのケースによっては、逆に損をしてしまう場合や、借り換え自体ができない場合もあります。
そもそも、住宅ローンの借り換えで得する基準とはどのようなものなのでしょうか。借り換えできない場合の例とあわせて、簡単にお話します。
<住宅ローンの借り換えで得する、一般的な基準>
※あくまで一般例です。詳しくは各金融機関にお問合せください
・借入残高が1,000万円以上ある
・ローン残存年数(残りの返済期間)が10年以上ある
・借り換えによるローンの金利差が1%以上ある※
※金利差が1%以内でも、借入残高と返済期間によっては利息軽減効果がある場合もあります。
<住宅ローンの借り換えができないケース>
※あくまで一般例です。詳しくは各金融機関にお問合せください
住宅ローンの借り換えは、新規で借り入れる際と同様、各金融機関で審査が行われます。審査の要件は複数ありますが、多くの金融期間で借り換え不可とされている要件で代表的な例をあげてみましょう。
・現在支払い中の住宅ローン、そのほかのローンなどの返済状態が良好でない場合(個人信用条件)
・希望融資金額よりも物件の評価額が低く、担保割れ状態の場合(住宅要件)
・団体信用生命保険に加入できない場合(健康要件)
・申込時の年齢が70歳以上(年齢要件)
・同一の金融機関内での借り換えの場合
・親子二世代(親子リレー方式)等連帯債務の住宅ローン契約の場合
借り換えで得する基準に該当する方でも、そもそも金融機関の審査に通らなければ借り換え特需を受けることはできません。ご自身の状態がそもそも「審査に通る状態なのか」を確認し、借り換えを検討するようにしましょう。
■住宅ローンを借り換えする際のポイント
前述したとおり、住宅ローンの借り換えで得する一般的な基準は、1%以上の金利差です。住宅ローンを借り換えする際のポイントとしても、
①現在の契約との金利差がどの程度か
②借り換えに必要な諸費用はどのくらいか
この2点が非常に重要なポイントになります。簡単にご説明しましょう。
①借り換え元契約との金利差がどの程度か
住宅ローンを借り換える最大のメリットは、「ローンの金利差によって利息額を軽減できる」という点です。したがって、現在の契約と借り換え後の契約に金利差がない場合、利息額軽減の効果があまり得られません。ただし、必ずしも「得する基準」で示した1%以上の金利差が必要なわけではなく、住宅ローン残高が多く残存年数(残りの返済期間)が長い契約ほど、少ない金利差でも大きな借り換え効果を得ることができるのです。
例として、金利1.5%の住宅ローンから金利1.2%の住宅ローンへ借り換えを行った場合のシミュレーションを比較してみましょう。住宅ローンの当初残高は2500万円、返済期間は30年で試算を行います。
※元利均等返済方式、全期間固定金利型の場合
※シミュレーション結果は1円以下を切捨てした簡易結果になります
<金利差0.3%の場合の借り換えシミュレーション>
【現在、金利1.5%の住宅ローンを借り入れ中で、ローンの借り換えをせず借り入れを継続した場合】
・住宅ローン残高 25,000,000円
・完済までの利息総額 6,060,610円
・毎月の返済額 86,280円
・返済総額 31,060,610円
【上記の住宅ローンから、金利1.2%の住宅ローンへ借り換えした場合】
・住宅ローン残高 25,000,000円
・完済までの利息総額 4,781,720円
・毎月の返済額 82,727円
・返済総額 29,781,585円
【シミュレーション結果】
金利1.5%の住宅ローンを契約して5年後、金利1.2%の住宅ローンへ借り換えしたことにより、利息総額を1,279,025円軽減することができました。借り換え時の諸費用として借入総額の1~3%の金額が必要になると想定しても、利息軽減のメリットを得ることができます。
このように、小さな金利差でも、ローンの残存年数(残りの返済期間)が長く、ローン残高も多い場合には借り換えのメリットを得られるケースもあるのです。
②借り換えに必要な諸費用はどのくらいか
住宅ローンの借り換え時に必要な諸費用としては、
・保証料※金融機関によっては無い場合も有ります
・事務取扱手数料
・団体信用生命保険料
・印紙税
・登録免許税(抵当権設定費用、抵当権抹消費用)
などがあり、これらの諸費用は金融機関によって大きく異なります。
住宅ローンの借り換えは、無料ではできません。現在の借り入れ先と借り換えを予定している各種手数料・諸費用を確認し、借り換えの際に生じる諸費用以上に利息軽減効果があるかどうか、事前にシミュレーションをおこなって、しっかり確認をすることが大切です。
このように、住宅ローンの借り換えは一概にメリットが得られるというものではありませんし、ケースによってメリットの大きさは異なります。住宅ローンを借り換えする際の各金融機関の審査要件を確認し、そもそも審査が通るのかどうかを事前に確認したうえで、諸費用を含めたシミュレーションを行い、しっかり比較検討するようにしましょう。
※この記事は2017年8月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。