家計
4月から入院時の食事代が値上げ!値上げ内容と自己負担を軽くする方法を解説

病気・ケガで入院すると、治療をしてもらえるのは当然ですが、食事も提供してもらえます。その食事代負担のしくみは、一部を患者が負担し、残りを「入院時食事療養費」として、公的健康保険が負担しています。2018年4月から、患者の一部負担が値上げされました。すると、医療費の自己負担が増えることに!
一部負担の値上げ事情と値上げへの備え方を見ておきましょう
■食事代の自己負担は1食460円に値上がり!
入院時の食事代は1994年9月までは、検査や手術などの治療と同じように「療養の給付」として公的健康保険(健保)から給付されていました。ところが、同年10月に「療養の給付」から切り離され、患者の一部負担が導入されるようになりました。
同じ病気・ケガで自宅療養している人は食事代を自分で出しているのだから、入院中の人からも食事代を出してもらって公平を図るべきだという意見があったからだそうです。ただ、病院から提供される食事は患者の症状に合わせて栄養管理されている治療の範疇なので、全額が自己負担ではありません。現状では1食640円(国が決めている基準額)で、これを患者と健保で負担しています。。
患者の一部負担は、徐々に値上げされていて、2018年3月までは1食360円(1日3食1,080円)でしたが、4月から、1食460円(1日3食1,380円)になりました。基準額の1食640円は変わらないので、一部負担を1食460円に増やして、健保負担を1食180円に減らしたということです。
もし、30日間、入院して毎日3食きちんと提供されたら、食事代の自己負担だけで460円×3回×30日=4万1,400円になります。3月までと比べて、30日で9,000円も増えることになるのです。これって、バカにできないと思いませんか?
ちなみに、手術の前後で食事を抜く必要があった、絶食治療で食事が出されなかった場合は、その回数分は請求されません。あくまで、提供された回数分を負担するということです。食欲がなかった、まずくて食べられなかった場合は、それは患者の都合なので、請求されます。
なお、住民税非課税世帯などの低所得者には配慮されていて、1食100円~210円に据え置かれています。
■生命保険で医療費の自己負担に備える必要性が高まった!?
入院時の食事代は、健保の「療養の給付」から切り離されて約25年たちます。その間、自己負担額は値上がりし続けています。今後、さらなる値上げ、あるいは健保負担をゼロにして全額自己負担という改正が行われるかもしれません。
また、食事代以外の改正が行われる可能性も考えられます。例えば、一般病棟に入院した場合の室料は「療養の給付」に含まれているので、自己負担割合は年齢・所得に応じて1割~3割です。自己負担額が高額になれば、高額療養費制度が適用されて負担は軽減されます。この室料が食事代と同じように「療養の給付」から切り離されて自己負担が発生すると、最終的な負担額は増えます。
さらに、自己負担割合の1割~3割も聖域ではなく、改正の対象になるかもしれません。高額療養費制度は、高所得者の負担を増やす改正が行われましたが、さらなる改正が行われないとはいえません。やはり、今後も少子高齢化と医療費の高額化で健保財政は厳しい状況が続くと思われるからです。
つまり、入院をしたときの医療費の自己負担がどんどん増えていきそうということ。そうなっても、お金がなくて入院治療を受けられない事態は避けたいものです。生命保険、具体的には医療保険・医療特約で入院時の自己負担に備える必要性がますます高まったといえそうです。
※この記事は2018年5月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。