家計
遺言のルールが変わり、自筆遺言が書きやすくなる!

自分が亡くなった後、財産の行先を書面に書いておくのが「遺言」です。
その遺言のルールが変わり、遺言の形式の1つである自筆遺言が書きやすくなります。
自分たちはもちろんですが、ご両親や祖父母の相続への備えとして、どうルールが変わるかを知っておきましょう。
■遺言には主に3種類あり、自筆証書遺言が手軽に書ける
人が亡くなると、相続が発生します。相続とは、亡くなった人の財産(遺産)を、配偶者や子どもなどの親族に受け継がせることで、遺言がなければ、法定相続人が話し合って決めることになります。
法定相続人以外の人や団体・法人などに遺産を受け継がせたい場合は、遺言が必要です。
遺言には、主に下記の3種類あります。
- 自筆証書遺言
本人が全文を自分で書き、日付を入れて署名・押印する。本人が保管する - 公正証書遺言
本人の意思を公証人が聞き取って作成し、本人と公証役場で保管する。証人が2人以上必要
秘密証書遺言
本人が作成(パソコン書きでも可)して封印し、公証人が確認して本人が保管する。証人が2人以上必要
(証人は公証人・司法書士などが探してくれる。日当を払う必要がある)
このうち、公証人や証人に支払う費用がかからず、公証役場に行く手間もなく、手軽に書けるのが自筆証書遺言(自筆遺言)です。
ただ、自筆遺言は形式を満たしていないと法的に無効になってしまうという欠点があります。
例えば、パソコン書きや代筆はNGですし、日付が〇〇年〇月吉日といつ書いたのか特定できないのもNGです。
それに、自筆遺言は自分で保管するため、家族が存在に気づかないまま遺産分割されてしまうことも考えられます。
これでは、せっかく書き残しておいた自分の意思が生かされないことになります。
■財産目録はパソコン書き、代筆もOKになる
そこで、民法が改正され、遺言のルールを変えることになりました。
それによって、自筆遺言が書きやすくなります。主な改正点は2つです。
1つは、自筆遺言のうち、財産目録(不動産や預貯金など財産の内容)の部分は、パソコン書きや誰かに代筆してもらっても認められるようになります。
ただ、財産目録に署名・押印が必要です。この民法改正は、2019年1月13日までに施行される予定です。
もう1つは、2020年7月12日までに施行予定の自筆遺言を法務局で保管する制度の新設です。
それまでは、自筆遺言は自分で保管する必要がありますが、保管制度がスタートすると、法務局で形式のチェックをしてくれることに加えて、一定期間、保管してくれます。
また、自筆遺言は発見したら家庭裁判所で検認を受ける必要がありますが、法務局に保管してもらっている自筆遺言は検認が不要です。
■こんな人は自筆遺言を書いておきましょう
書きやすくなった自筆遺言。
- 自分が築いた財産の行方は自分で決めて指示しておきたい人
- 自分が死んだら配偶者に全財産を残したい子どものいない夫婦
- 内縁関係のパートナーに財産を残したい人
- 法定相続人以外にも残したい人がいる人
- 慈善団体や法人などに遺贈したい人
こんな人は自筆遺言を書いておきましょう。
なお、自筆遺言は、誰かに無理やり書かされたなどの疑惑を残さないよう、判断能力が確かなうちに書いておくことをおススメします。