教育費に関する特選記事
学童代はいくらかかる?平均費用から学童保育の現状まで徹底解説!(3)

小学校入学にはさまざまな費用がかかりますが、学童保育の利用で発生する学童代も気になる問題ですよね。
小学校は保育園と違い登下校時間が早く、夏休みなどの長期休みもあります。親が仕事で日中家にいない家庭の子どもにとって、学童保育は欠かせない存在です。
しかし学童保育の運営団体は住んでいる地域によってさまざまで、実施内容も団体によって違うため、学童保育や学童代に関する情報はまだまだ少ないですよね。
そこで当記事では、学童保育の利用にかかる学童代に関する情報をまとめました。
学童代や学童保育について気になっている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
■学童代を調べる前に知っておきたい、学童保育の現状
学童代の前に知っておきたいのが、学童保育の現状です。
学童保育とは、学童保育厚生労働省の放課後児童健全育成事業に基づき運営される「放課後児童クラブ」の一般的な呼び名で、学童クラブ、学童などとも呼ばれています。
学童保育の目的は仕事などで昼間親が家にいない小学生が放課後に過ごす学びと生活の場を提供することで、指導員が一緒に宿題をしたり、遊びをしたりします。
共働き家庭やひとり親家庭の増加で年々学童保育の利用者は増え、2018年時点の入所児童数は全国で約121万人、待機児童数は約1万7000人とされています。
ただ、急激な利用者の増加に施設が追い付いていないという現状もあります。
そもそも子どもが通える範囲に学童保育がない地域もあり、その場合は申し込み自体をしないことから、待機児童としてはカウントされません。
こうした潜在的な待機児童は数多くいるといわれており、今後の環境整備が期待されています。
出典:「学童保育(放課後児童クラブ)の実施状況調査結果について」(全国学童保育連絡協議会)
■学童代や学童保育の実施内容は、運営団体によって異なる
学童代や学童保育の実施内容は、学童保育の運営団体によって異なります。
学童保育の運営団体は、運営の主体や設置者によって3つの型に分けられます。
地方自治体が設置者となって運営している「公立公営型(公設公営型)」、自治体が設置者で、運営に関しては社会福祉法人や父母会などが担う「公立民営型(公設民営型ともいう)」、民間企業などが自ら設置者となって運営する「民立民営型(民設民営型ともいう)」があり、団体によって学童保育の実施場所や実施時間、利用料金(学童代)が異なります。
<学童保育の運営団体>
団体の種別 | 比率 | 概要 |
公立公営型(公設公営型) | 35.3% | 自治体(市町村)が設置者となり、公営施設(小学校や児童館など)を利用して直接運営している。 |
公立民営型(公設民営型) | 45.5% | 自治体(市町村)が設置者となり、自治体の委託や補助を受けた社会福祉法人や父母会などの民間団体が公営施設を利用して運営をしている。 |
民立民営型(民設民営型) | 19.3% | 民間団体(民間企業や父母会など)が設置者となり、民営の施設を利用して運営している。 |
自治体が設置者である公立公営型や公立民営型は公営の施設を利用するため、学童保育の場はおもに学校の空き教室や小学校に隣接した児童館など、放課後すぐ行ける場所であるという安心感がメリットです。
一方で、設置も運営も民間団体である民立民営型の場合は学校外にある法人の施設などが学童保育の場であり、学校外にある法人の施設などが学童保育の場であり、学校外に出なければいけないというデメリットがあります(送迎がついていることもあります)。
ただ、民営型の場合は学童保育の実施時間が長かったり、多彩なプログラムが実施されていたり、柔軟な保育内容を実施しやすいというメリットもあるため、どちらが良い、悪いということはありません。
住んでいる地域で利用できる学童はどのような団体で、どのように運営しているのか、運営元や保育内容についてあらかじめ確認しておくことが大切です。
出典:「平成30 年(2018 年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」
■学童代の平均は7371円!運営団体による費用差が大きいって本当?
2012年度の全国学童保育連絡協議会の調査(※①)によると、
学童代(学童保育料とおやつ代などの実費)の平均は月額7371円です。公立公営では月額平均5535円の学童代が、父母会運営の場合は(公立か民立かを問わず)月額平均10872円となり、約2倍になります。
また、2014年度の厚生労働省の調査(※②)によれば、全国にある学童保育団体のうち約91%は学童代がかかりますが、約9%の団体では学童代がかかりません。おやつ代などの実費徴収がない団体もあるため、学童代の有無や料金形態は団体によって大きく異なるということがわかります。
※①出典:「学童保育に関する実態報告(2012年版)」(全国学童保育連絡協議会)
※②出典:「平成26年 地域児童福祉事業等調査の概況」より「放課後児童クラブの状況」(厚生労働省)
▼学童代の平均 まとめ▼
- 学童代(学童保育料とおやつ代)の平均は月額7371円▼
- 学童代(おもに学童保育料)が必要な団体は約91%、必要ない団体は約9%
- 運営主体が公立公営の場合月額5535円だが、父母会運営の場合は月額10872円と、
その差は約2倍
■学童代と保育園代の大きな違いは、所得による差がないこと
学童代と保育園や幼稚園の保育料との大きな違いは所得による差がなく、一律料金制であることです。(ごくまれに所得や学年別で学童代を変えている団体もあります)。
保育園や幼稚園での保育料は自治体によって世帯所得別の階層が設けられ、所得が高ければ階層も高くなり、保育料も高くなるのが普通でした。
また、どの自治体でも生活保護世帯やひとり親世帯、多子世帯に対する減免制度があり、「世帯所得や世帯の事情に応じて利用料金が考慮される」ものでした。しかし学童保育では所得は関係なく、減免制度の実施も団体によってあったりなかったりとバラバラです。
学童保育の利用を考えている人は上記の平均値だけでなく、自分が住んでいる地域の学童保育事情も必ず確認しておくようにしましょう。
■公立(公設)と民立(民設)で学童代はどう違うの?
公立(公設)と民立(民設)の学童代を比較するとき、公的施設を利用している公立型は安く、充実した保育を提供しやすい民立型の学童クラブは学童代が高い、というイメージがあると思います。
しかし公立だから安い、民立だから高いとは一概に言えず、民立でも公立と費用がほとんど変わらない自治体も多くあります。東京都中野区の学童代を例に見てみましょう。
<東京都中野区の学童クラブ 学童代>
- 公立民営(公設民営)学童クラブ
学童代月額5650円(保育料4400円、おやつ代1250円) - 民立民営(民設民営)学童クラブ(中野区民間学童クラブピノキオハウスの場合)
学童代月額5650円(保育料4400円、おやつ代1250円)
出典:「2019年度中野区立学童クラブ利用者募集要項」(中野区)
「学童クラブについて」(中野区民間学童クラブピノキオハウス)
中野区の場合、公立型と民立型の学童代はまったく同じです。
民立型といっても運営主体が社会福祉法人であったりNPO法人であったりさまざまですし、自治体からの委託や補助を受けている場合もあり、補助金の有無や額は団体や自治体によっても異なります。
ただ、習い事や学習塾などの要素が強い民間の学童クラブの場合は、学習の質が高くなる分、学童代が高くなる傾向があります。
いずれにしても団体の種別によって学童代に差が出るのではなく、学童保育の実施内容によって学童代に差が出ます。
団体の種別だけで学童代を判断せず、運営団体ごとに学童保育の実施内容や学童代をしっかり調べ、比較検討することが大切です。
■小学生の放課後は情緒を育む大切な時間!教育に影響を与える学童代の使い方
学童代は実施団体により異なるため、住んでいる地域の学童保育を比較する際、つい学童代の安さを検討材料にしてしまうかもしれません。
しかし、小学生の放課後は子どもの豊かな情緒を育む大切な時間であり、学童保育でどのような時間を過ごすかは子どもの教育に大きな影響を与えます。
子どもの教育を考えるうえで、学童代をどう使い、学童保育選びをどうするかは重要な問題です。
学童代や学童クラブについて気になっている方は、この機会に子どもの教育方針について振り返り、子どもにとって最適な放課後のありかたを考えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2019年2月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
出典
- 「学童保育(放課後児童クラブ)の実施状況調査結果について」(全国学童保育連絡協議会)
- 「平成30 年(2018 年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(厚生労働省)
- 「学童保育に関する実態報告(2012年版)」(全国学童保育連絡協議会)
- 「平成26年 地域児童福祉事業等調査の概況」より「放課後児童クラブの状況」(厚生労働省)
- 「2019年度中野区立学童クラブ利用者募集要項」(中野区)
- 「学童クラブについて」(中野区民間学童クラブピノキオハウス)