経済

郵便局でもキャッシュレス決済が始まる!

郵便局でもキャッシュレス決済が始まる!

これまで、現金のみだった郵便局のサービスが、2020 年 2 月 3 日からキャッシュレスで利用できるようになりました。
どのようなサービスに利用できるのか、郵便局を巡るキャッシュレスの動きを押さえておきましょう。

■ いま、なぜ郵便局でキャッシュレス?


郵便局でキャッシュレス決済できれば利便性が高まりますから、もっと早く対応してもよかったのでは?と思う人もいるのではないでしょうか。

とはいえ、切手などは売買できる“金券”に近く、クレジットカードで購入して換金すればキャッシングになるなどの理由で対応が遅れていたようです。
このタイミングでキャッシュレス決済が始まったのには、主に 2 つの理由が考えられます。

1 つ目は、スマホ決済などキャッシュレスでの支払いニーズの増加です。
スマートフォンにクレジットカードや銀行口座を連携させ、QR コードなどを読み込ませるスマホ決済は、すっかりおなじみのものですね。

2 つ目は、日本を訪れる外国人観光客への対応です。
郵便切手や絵はがきなどは、日本土産として外国人観光客に人気があります。
また、郵便局から国際スピード郵便「EMS」を利用して母国に荷物を送るといったニーズもあり、利便性向上のためにもキャッシュレス対応が求められていたのです。

■ どんなサービスが利用できる?


郵便局で、キャッシュレス決済が利用できる商品やサービスは次のようなものです。

- 郵便料金または荷物(ゆうパック、ゆうメールなど)の運賃支払い
- 切手、はがき、レターパックなどの販売品(印紙を除く)の支払い
- カタログ、店頭商品などの物販商品の支払い

ただし、切手の販売については、前述のようなキャッシング対策としてか、1 回の取引で 10 万円という上限額があります。
一方で、次の商品やサービスにはキャッシュレス決済が利用できません。

- 印紙
- 宝くじ
- 代金引換郵便物などの引換金
- 税付郵便物の関税
- 地方公共団体事務(各種証明書などの交付、バス回数券の販売などの受託事務)

利用できるキャッシュレス決済は、クレジットカード・デビットカード・プリペイドカード、電子マネー、スマホ決済など、主要なキャッシュレス決済に対応しています。それぞれの決済で使えるブランドは下表のとおりです。

クレジットカードなど 電子マネー スマホ決済
・Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Club・UnionPay(銀聯) ・iD・QUICPay+・WAON・交通系IC(Kitaka、Suica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、SUGOCA、nimoca、はやかけん) ・ゆうちょPay・Amazon Pay・au PAY・d払い®・LINE Pay・メルペイ・Origami Pay・PayPay・楽天ペイ(アプリ決済)・アリペイ(Alipay)・WeChat Pay

なお、現在は第 1 弾として全国 66 の郵便局で利用が始まっており、2020 年 5 月には第 2 弾として全国 8,500 の郵便局に拡大予定です。
詳細は、日本郵便のウェブサイトに掲載されていますので、近くに利用できる局があるかどうか確認してみましょう。
https://www.post.japanpost.jp/life/cashless/

■ 郵便局のスマホ決済「ゆうちょ Pay」


日本郵政グループのキャッシュレス決済を巡っては、2019 年 5 月より、ゆうちょ銀行の「ゆうちょ Pay」が始まっていますので、こちらも確認しておきましょう。

ゆうちょ Pay は、一言でいえば「スマホ決済のゆうちょ銀行版」。
スマホにアプリをダウンロードし、ゆうちょ銀行の口座を登録して利用します。
決済は、スマホのアプリに表示される QR コードを店が読み取るか、店の表示したコードを読み取る方法です。

代金は、スマホアプリに登録したゆうちょ銀行の口座から自動的に引き落とされ、支払いが完了します。
口座残高内での利用になるので、使いすぎが心配な人でも安心して利用でき、利用上限額の設定も可能です。

また、ゆうちょ Pay は「銀行 Pay」という決済システムを利用しているので、同じシステムを利用している横浜銀行の「はま Pay」、福岡銀行の「YOKA! Pay」などの加盟店でも、ゆうちょ Pay が利用できます。

ゆうちょ Pay を使えるお店は、コンビニを始めスーパーや飲食店など次第に広がりつつあります。
気になる人は、ゆうちょ銀行のホームページに利用できる店舗が掲載されていますので、チェックしてみてください。
https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/sokin/yuchopay/kj_sk_yp_shop.html

■ ゆうちょ Pay でお金が引き出せる!?



さらに、ゆうちょ Pay には大きな特徴があります。
地域は限定されますが、東急線各駅(※)の券売機で、ゆうちょ Pay のアプリを利用して現金が引き出せる「キャッシュアウト」というサービスです。

利用方法は簡単で、アプリで金額を指定したら QR コードを表示して券売機のリーダーで読み取らせるだけ。
ただし、引き出し時には平日で 1 回あたり 110 円(休日は 220 円)の手数料がかかりますので注意してください。

将来的には、東急線沿線以外でのサービス提供も検討されているようです。
今後、銀行 ATM の削減や銀行支店の統廃合が進めば、現金引き出しの難しい地域も出るでしょう。
そんなときに、駅で現金の引き出しが可能になれば、新しい金融インフラとしての役割も期待できそうですね。

※東横線、目黒線、田園都市線、大井町線、池上線、東急多摩川線(世田谷線、こどもの国線の各駅を除く)

■ まとめ


全国に網羅する郵便局でキャッシュレス決済が可能になることは、訪日外国人や国内の消費者にとって利便性の向上につながる待望のサービスといえるでしょう。
ゆうちょ Pay とともに利用すれば、利用履歴や残高の確認もできるので、ゆうちょ銀行をメイン口座にしている人は、日常の家計管理用として利用したいものですね。

※この記事は 2020 年 4 月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

執筆者

高橋 浩史(たかはし・ひろし)

高橋 浩史(たかはし・ひろし)

ファイナンシャル・プランナー FPライフレックス 代表 書籍編集者を経て2011年にFP事務所を開業。マイホーム実現のため、資金計画・家計改善の面から応援する「住まいの相談FP/家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。セミナー講師、書籍・雑誌、webでの執筆業務も行う。「災害に備えるライフプランニング」(近代セールス社)、「老後のお金安心ガイド」(イースト・プレス)他。趣味はバイクツーリング、ギター、落語。

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