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【2020年】専門学校の学費は分野別でどう違う?分野別の学費を徹底解説

【2020年】専門学校の学費は分野別でどう違う?分野別の学費を徹底解説

「子どもが専門学校への進学を考えているけど、学費はいくら必要?」
「専門学校は医療系や工業系など、分野によって学費は大きく変わると聞いたけど、高い分野ってあるの?」

子どもが高校卒業後に専門学校※へ進学する場合、上記のような疑問や不安が出てきますよね。
たしかに、専門学校は各分野の職業に直結した技能教育が中心の学校です。分野が違えば、かかる学費も大きく変わってくるはずですよね。

そこで今回は、専門学校の学費を総平均から分野別平均まで、くわしくご紹介していきます。

2020 年 4 月に始まる大学無償化の対象になるかという点もお話ししていきますので、
「専門学校の学費が気になっている」「学費が高い分野があれば知りたい」という方はぜひ、参考になさってください。

※当記事では、専修学校のうち専門課程をもつ学校=「専門学校」として学費などの情報をご案内しています

■ 専門学校の学費 初年度の総平均は 125 万 3,000 円


まずは、専門学校で必要な学費の総平均を見てみましょう。

東京都専修学校各種学校協会の統計資料によると、2018 年度に都内の専門学校へ進学した生徒の初年度納入金の総平均は 125 万 3,000 円(昼間部)でした。

<専門学校(昼間部)初年度納入金 総平均>

入学金 授業料 実習費 設備費 その他 最高額 最低額 総平均
18万1,000円 69万1,000円 11万4,000円 20万円 6万8,000円 257万円 40万円 125万3,000円

※各科目の平均値を集計しているため、横の合計は一致しません

出典:「平成 30 年度専修学校各種学校調査統計資料」より「調査 2  平成 30 年度 学生・生徒納付金調査」(東京都専修学校各種学校協会)
https://tsk.or.jp/pdf/dw-toukeiH30no2c2.pdf

上記のデータでは初年度の納入金しか記載されていません。
もし 2 年目の学費が入学金以外の 107 万 3,000 円かかるとすれば、**2 年間の学費合計は 232 万 6,000 円**となります。

ただ、上記のデータで最高額と最低額の学費を見比べると、その差額は 217 万円にもなります。学校や分野によっても、学費の差は大きいことがわかりますね。

そう、一口に専門学校と言っても、子どもが行きたい分野や志望校によって、学費の準備は大きく変わってくるのです。

■ 専門学校の学費 分野別平均


専門学校の学費は、学ぶ分野でどう異なるのでしょうか。
分野別・学科別の平均を見てみましょう。

<専門学校(昼間部)初年度納入金 分野・学科別平均>

分野 学科別※特に記述のない場合は2年制とみなす 最高額 最低額 初年度納入金総平均
工業関係 土木、建築、測量 138万8,000円 97万円 124万8,000円
自動車整備 145万1,000円 118万円 134万5,000円
情報処理・IT 165万3,000円 40万円 120万9,000円
電気・電子、機械、その他 152万円 115万円 125万7,000円
ゲーム・CG 140万9,000円 98万円 134万円
その他 165万3,000円 104万5,000円 146万円
工業・農業 バイオテクノロジー、その他 140万2,000円 117万8,000円 128万7,000円
医療関係 看護【3年制】 153万4,000円 42万円 96万2,000円
臨床検査、診療放射線、臨床工学【3年制】 158万円 130万4,000円 143万1,000円
理学療法、作業療法【3年制】 201万2,000円 159万円 177万7,000円
柔道整復【3年制】 184万2,000円 110万円 152万8,000円
はり・きゅう・あん摩マッサージ【3年制】 257万円 96万円 164万7,000円
歯科技工・歯科衛生士【3年制】 175万円 78万8,000円 119万9,000円
その他 209万円 98万円 136万6,000円
衛生関係 栄養・調理 185万1,000円 73万円 140万円
製菓 227万5,000円 113万円 162万6,000円
理容・美容 199万6,000円 71万円 130万円
その他 181万円 159万8,000円 171万9,000円
教育・社会福祉関係 保育・教育 143万円 76万円 118万円
介護福祉 133万3,000円 81万7,000円 109万円
社会福祉 136万円 88万8,000円 119万2,000円
その他 102万3,000円 55万円 85万5,000円
商業実務関係 簿記・ビジネス・IT 150万円 62万円 103万3,000円
旅行・ホテル・観光 159万8,000円 73万円 125万5,000円
医療秘書、医療管理事務 119万6,000円 73万円 106万4,000円
その他 145万3,000円 69万円 111万2,000円
服飾・家政関係 服飾・家政 147万3,000円 51万6,000円 108万5,000円
文科・教養関係 語学 157万円 75万円 111万2,000円
美術・デザイン、写真 158万円 62万7,000円 123万7,000円
音楽、演劇、映画、放送 150万円 118万円 136万2,000円
法律行政 120万円 62万円 106万1,000円
スポーツ 152万円 69万円 117万9,000円
動物 155万5,000円 98万円 126万2,000円
アニメ、声優、ゲーム 140万9,000円 75万円 123万9,000円
その他 159万8,000円 69万3,000円 116万3,000円
日本語科 139万8,000円 66万円 93万3,000円

出典:「平成 30 年度専修学校各種学校調査統計資料」より「調査 2  平成 30 年度 学生・生徒納付金調査」(東京都専修学校各種学校協会)
https://tsk.or.jp/pdf/dw-toukeiH30no2c2.pdf

専門学校で初年度に支払う学費納入金がもっともかかる学部は、理学療法士や作業療法士を目指せる 「理学療法・作業療法」学部で、平均 177 万 7,000 円となっています。
理学療法・作業療法を含む医療関係という分野自体、学費が高くなる傾向がありますね。

学費が高い分野は医療関係


理学療法・作業療法を含む医療関係の学部は総じて費用が高く、専門学校自体も 3 年制が基本になっています。
そのため、年間の学費だけではなく、トータルでかかる学費についても、医療関係の学部がもっとも高額になるのではないでしょうか。

たとえば、理学療法・作業療法の学部に入学し、初年度は上記表のとおり 177 万 7,000 円、2 年目と 3 年目は入学金以外の学費が毎年かかったとします。
その場合、3 年間の学費合計は 463 万 9,000 円※です。
国公立大学並みの費用ですよね。

このように、医療関係の学部は 3 年制という期間の長さゆえ、トータルの学費負担も大きくなりやすいということを、覚えておきましょう。

※初年度は177万7,000円、入学金(34万6,000円)抜きの2年目・3年目の学費が143万1,000円だと仮定し場合の概算値。入学金データは上記「調査2 平成30年度 学生・生徒納付金調査」を参照



ただ、専門学校の学費は、通う学校や学ぶ内容によっても細かく変わってきます。

「専門学校で何をどのように学びたいのか」「学んだ内容を社会でどう活用していきたいのか」、子どもの思い描く将来のイメージをよく確認しましょう。

最終的に進路を決めるのは、子どもです。
しかし、子どもが納得できる学びができるよう、学校や学費について調査し、サポートしていくのは親の大切な役割といえるでしょう。

■ 専門学校の学費は 2020 年開始の大学無償化の対象




専門学校の学費は、年間 100 万円以上かかるケースがほとんどです。
当然、「補助や助成金はないの?」「話題の大学無償化は専門学校では対象外?」などが気になりますよね。

結論からいえば、専門学校の学費は 2020 年 4 月からはじまる大学無償化(=高等学校等就学支援金制度)の対象になります。

ただ、大学無償化の制度対象になる世帯や、対象となる学校には一定の条件があります。
下記をご覧ください。

<大学無償化(高等学校等就学支援金制度)の対象世帯・学校>
世帯:住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯
学校種:大学、短期大学、高度専門学校、専門学校で、経営状態に問題がなく、教育体制が整っている学校

出典:「高等教育の修学支援新制度」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

▼ 最新の対象機関は文部科学省のページでご確認ください ▼
「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/1421838.htm

これから子どもが通う専門学校が無償化の対象になっていても、世帯の所得基準が無償化の対象にならなければ、就学支援は受けられません。
また、万一無償化の対象になったとしても、この無償化で支援される内容には限りがあります。

<大学無償化(高等学校等就学支援金制度)の内容>
① 授業料や入学金などの減免
  → 専門学校は授業料 17 万円(年額)、入学金 7 万円(年額)を上限に減免
② 給付型奨学金の給付
  → 専門学校は自宅生 46 万円(年額)、自宅外生 91 万円(年額)を上限に給付

出典:「高等教育の修学支援新制度」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

いくら対象になっても、これだけでは年間 100 万円以上かかる専門学校の学費を賄いきることはできませんよね。

大学無償化については、「対象範囲が狭く、完全無償化にはならない」という点に注意が必要です。

ただ、大学無償化以外にも、専門学校で使える支援制度はあります。

たとえば、看護学校向けの「看護師等修学資金貸与制度」では、看護学校で学んだ後に指定の対象施設にて一定期間看護師として就業すれば、修学時に貸与していた奨学金の返還が一部免除されます。

看護学校の他にも、医療介護従事者を目指す学生向けの「医療介護修学資金貸付事業」など、分野や学校、地方自治体によってさまざまな制度があります。

進学の際、利用できる制度がないかよく調べるようにしましょう。

▼ 日本学生支援機構の HP では、さまざまな奨学金制度を紹介しています ▼
「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」(日本学生支援機構)
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/shogaku_dantaiseido/

■ まとめ



専門学校に必要な学費の総平均は、初年度で 125 万 3,000 円です。

ただ、専門学校の分野や学部、何年制かなどでかかる学費は大きく異なります。
平均値はあくまで参考にしつつ、 子どもが行きたい分野や学校、何をしたいのか?などをよく確認することが大切ですよ。

その他、専門学校の学費を準備するうえで重要なポイントは、

  • 医療関係の分野は学費が高く、くわえて3年制と期間が長いためトータルコストがかかりやすい
  • 2020年4月からはじまる大学無償化で専門学校は対象になる。ただ対象世帯は狭く、支援内容にも限りがあるため、完全無償化にはならない
  • 大学無償化以外にも、学校や自治体によってさまざまな奨学金制度がある。進学先でどのような制度があるのかを、事前に調べておこう

の 3 点です。

ポイントを抑えたうえで、学費の準備をはじめましょう。

学費の準備で悩んだら、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に家計の状況を診断してもらうのがおすすめです。
家計の状況、他の子どもの学費、老後資金との兼ね合いも考えたうえで、ベストな準備方法を模索しましょう。

※この記事は 2020 年 6 月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
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