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生涯現役社会に向けて。60歳以降のお得な働き方を考えよう!

生涯現役社会に向けて。60歳以降のお得な働き方を考えよう!

日本は現在、超高齢化社会を迎えています。平均寿命は男女ともに80歳を超えており、世界トップレベルの長寿国です。そんな日本では、いわゆる現役世代の人口の減少により公的年金制度の行く末が懸念されており、国全体で「生涯現役社会」を目指す動きが強くなっています。



多くの日本企業では従来の定年年齢60歳から65歳へと実質引き上げ状態になってきており、社会全体で60歳を過ぎても働き続けることが一般的になっています。



60歳以降に働き続ける場合でも、年金を受け取ることはできます。ただし、その場合には在職老齢年金の制度が適用されるため、必ずしも年金を全額受け取れるというわけではありません。豊かな老後のため、そして働き損にならないためにも、在職老齢年金制度についてご紹介し、60歳以降の働き方について考えます。


■定年後も働く場合に注意したい在職老齢年金制度



前述のとおり、60歳(または65歳)の定年を過ぎた後も継続して働く場合には、働きながら年金を受け取ることができます。

しかし、この場合にはいくつかの条件によって、取得できる年金の金額が制限されます。この仕組みのことを、在職老齢年金制度といいます。



在職老齢年金制度では、60歳以上65歳未満の場合と、65歳以上の場合とで年金額が制限される条件が変わります。



【60歳以上65歳未満の場合】



・基本月額: 年金額(年額)を12で割った額。

・総報酬月額相当額:毎月の賃金(標準報酬月額)+直近1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。

基本月額と総報酬月額相当額の合計額

基本月額と総報酬月額相当額の合計額

支給停止額
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の とき 0円(支給停止なし)
基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円以下のとき (総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2×12
基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が47万円を超えるとき {(47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円以下のとき 総報酬月額相当額×1/2×12
基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円を超えるとき {47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12


【65歳以上の場合】



基本月額と総報酬月額相当額の合計額

支給停止額
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のとき 0円(支給停止なし)
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき (総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12


こうして比較すると、60歳以上65歳未満の場合と比べて、65歳以上の方が年金の支給条件はゆるいといえます。



ここで注意したいのが、賞与の存在です。在職老齢年金制度の計算で利用される「総報酬月額相当額」とは、厳密には標準報酬月額(毎月の賃金)に賞与の年間総額の1/12を加えたものとなります。つまり、同じ月給をもらっている場合でも、賞与があれば、その分カットされる年金の額も大きくなるのです。賞与が多いと場合によっては年金が全額カットになることもあるため、注意が必要です。


■年金が減額されない働き方と、高年齢雇用継続給付について



前述したように、在職老齢年金制度があることから60歳を超えて働く場合には年金が減額される可能性があります。年金を減額されないように働くには、どういった方法があるのでしょうか。

・厚生年金に加入しない



在職老齢年金制度は、厚生年金の被保険者に対して適応される制度であり、年金が一部支給停止などで調整されるのはあくまで60歳以降も厚生年金に加入して働く場合のみです。

パートやアルバイトなどで正社員の3/4以上働いていない場合(2016年10月以後、従業員501人以上の企業では例外があります)や、厚生年金に加入していない会社で働く場合には、在職老齢年金制度によって年金がカットされることはありません。法人の場合は社会保険への加入義務がありますが、従業員5人未満の個人事業であれば加入は任意となっています。

・個人事業主になる

前述したように、厚生年金に加入していなければ在職老齢年金制度の対象とはなりません。そのため、厚生年金に加入できないことになっている個人事業主になるのもひとつの方法です。

【高年齢雇用継続給付がもらえる範囲で働く】



パート・アルバイト勤めや個人事業主で働くと年金は受け取れても肝心の給与が大幅にダウンしてしまうのでは・・と懸念している人は、高年齢雇用継続給付の手当てがあることを忘れてはいけません。

定年退職後、再雇用や再就職で安定的な職業についたものの給与が大きく下がってしまうという人には、雇用保険から「高年齢雇用継続基本給付金」が支給されます。働く時間など条件をうまくクリアすれば、給与・年金・高年齢雇用継続給付金の3つを同時にもらうことができるようになります。年金と給付金の両方をもらえる範囲内の収入で働くことは、会社にとっても効率よく人材を雇えることになり、定年後の継続雇用(再雇用・再就職)がうまくいく可能性もあるので魅力的な働き方といえます。



■働けるときに働いておくのが吉

厚生年金に加入しなければ、在職老齢年金制度の対象になることはありません。しかし、厚生年金に加入しないことのデメリットについても考える必要があります。

厚生年金に加入しない場合、健康保険にも加入できないことになります。そのため自分で国民健康保険に加入する必要がありますが、国民健康保険の保険料は前年の収入や家族構成などによって決まるため、場合によっては高額になります。また、厚生年金に加入しない場合、被扶養配偶者の国民年金の保険料を支払わなければならないケースもあります。



このように、厚生年金に加入しない場合には一定のデメリットが生じますし、加入すればその分将来の年金に上乗せされるというメリットもあります。

最後に…

厚生年金加入によるメリット・デメリットや高年齢雇用継続給付について知ることはもちろんですが、体力が続くかどうか・また働けるあて(勤め先や個人でできる仕事)があるかどうかということも60歳以降の働き方を考えるうえで大切なポイントです。働ける体力があり、働ける場や機会があるうちは、その状況に応じて働いておくのが望ましいでしょう。

※この記事は社会保険労務士監修の元、2016年11月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

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