家計
エンゲル係数とは?平均データから家計を見直すコツを紹介します
「我が家の食費って高いの?エンゲル係数の平均はどう?」
主婦雑誌に掲載されるライフプランニングや節約特集では、月の食費が2万円台という家庭もあることが紹介されています。
こうした事例を目にすると、自分の家庭が平均と比べてどうなのか気になるものです。
結論から言うと、総務省のデータによれば、2人以上の家庭ではエンゲル係数の平均は26.5%であり、食費の平均は毎月約8.4万円です。
しかし、筆者としては、エンゲル係数や食費のみを見ていても、家計の良し悪しは分からないと考えています。それぞれの家庭には違った家計の最適解があるからです。平均を参考にしつつ、各家庭で消費支出や食費を含めた家計について考えることが重要ではないでしょうか。
この記事では平均像を紹介しながら、エンゲル係数や食費の考え方、節約術のコツについて解説していきます。
「我が家のエンゲル係数は高いの?低いの?」と不安な方は、この機会にファイナンシャルプランナーへのFP相談などを考えつつ、食費エンゲル係数について考えてみてください。
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全世帯の一般的なエンゲル係数は26.5%
エンゲル係数とは、日常生活に必要なライフプランニングで意識すべき生活費(消費支出*)のうち、食費が占める割合を示しています。
*消費支出:社会保険料や税金を除く生活費のこと
総務省の家計調査によれば、2人以上の世帯におけるエンゲル係数の平均は26.5%とされています。
<2人以上の世帯の食費・エンゲル係数の平均値>
- 生活費(消費支出):31万8,755円
- 食費(外食費・酒代を含む食料費):8 万4,552円
- エンゲル係数(食費÷生活費):26.5%
エンゲル係数が高い場合、食費にお金をかけすぎているのではないかと疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、エンゲル係数が高いからといって、それだけで食費の無駄遣いとは判断できません。
いくつかの家庭を比べてみましょう。
以下の家庭を比べてみてください。
(A)毎月の生活費が10万円・食費は3万円
(B)毎月の生活費が50万円・食費は14万円
このうちエンゲル係数が高いのは、食費が3万円の(A)家庭です。
(A)食費3万円÷生活費10万円=エンゲル係数30%
(B)食費14万円÷生活費50万円=エンゲル係数28%
食費だけで見たとき、高額に感じるのは(B)の家庭の方でしょう。
しかし、元の収入や生活費が高い(B)の家庭では、食費以外の消費支出も多いため、エンゲル係数は相対的に低くなります。
対して、(A)の家庭は元の生活費や収入が低いため、どうしても食費エンゲル係数が高くなるのです。
ライフプランニングやFP相談を通じて、効果的な節約術のコツを見つけることが重要です。保険相談のおすすめも考慮しながら、家庭のファイナンシャルプランナーとともに効果的な相談を行うと良いでしょう。
どんな家庭でも、生きていくためには一定の食費が必要です。
ただし、収入が低い場合には食費以外の嗜好品や、交際費・旅行費にお金をかける余裕はありません。
生活費の中で必然的に食費の割合が増えるため、エンゲル係数も高くなるのです。
したがってエンゲル係数の高さだけ見ても、無駄遣いが多いのか、家計を見直しすべきなのかはわかりません。
ファイナンシャルプランナーへの相談を通じて、家計管理では食費や食費エンゲル係数だけではなく、家計全体のバランスを見ることが大切です。
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【平均】家族人数・年齢別の食費・エンゲル係数
ここでは先の家計調査を元に、家族人数・年齢別の食費とエンゲル係数を解説していきます。
先述のとおり、エンゲル係数だけを見て家計を判断するのはおすすめしません。
ただ、今後の家計を考える際の指標にはなります。ライフプランニングを考慮した上で、食費や消費支出のバランスを見直すことが重要です。
子どもが増えて年齢を重ねると、食費はどのように変化するのでしょうか。
今後のライフプランを考えるときの参考に見てみましょう。
【家族人数別平均】食費・エンゲル係数
家族の人数別生活費・食費・食費エンゲル係数の平均は、以下のとおりです。
2人 | 3人 | 4人 | |
---|---|---|---|
生活費 (消費支出) | 29.1万円 | 32.9万円 | 32.6万円 |
食費 | 7.3万円 | 8.4万円 | 8.9万円 |
エンゲル係数 | 25.3% | 25.6% | 27.5% |
出典:総務省「2023(令和5)年度 家計調査報告(家計収支編)」第3表 世帯人員・世帯主の年齢階級別 よりニッセンライフ作成
2人家族の場合、7万円台で収まっていた食費は、同じライフステージでも4人家族になれば8万円台と家計に影響する食費エンゲル係数が上昇します。
家族の人数が増えることで、生活費や消費支出そして食費も増加することを理解しておくことが重要です。
特に、今小さな子どもがいる家庭では、子どもの成長につれて食費がじわじわと上がることを想定したライフプランニングを考慮してください。
子どもにかかる費用は教育費だけではなく、食費も大きな部分を占めます。
例えば、子どもが成長するにつれて、食費エンゲル係数を含め、生活費全体が上がっていきます。
この先、収入が増える見込みがある家計は良いですが、そうでない場合、家計は次第に厳しくなる可能性があります。
子どもが小さい間に、効果的な節約術や貯蓄のコツを取り入れ、しっかりと貯蓄しておくことが重要です。
【世帯主の年齢別平均】食費やエンゲル係数
世帯主の年齢別生活費・食費・エンゲル係数の平均は、以下のとおりです。
~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳~ | |
---|---|---|---|---|---|---|
世帯人員 | 2.83人 | 3.68人 | 3.67人 | 3.1人 | 2.64人 | 2.46人 |
生活費 (消費支出) | 24.3万円 | 27.3万円 | 32.6万円 | 36万円 | 31.2万円 | 28.7万円 |
食費 | 5.7万円 | 7.6万円 | 8.7万円 | 8.4万円 | 8.4万円 | 8.3万円 |
エンゲル係数 | 23.7% | 28.0% | 26.9% | 23.30% | 27.2% | 29.1% |
出典:総務省「2023(令和5)年度 家計調査報告(家計収支編)」第3表 世帯人員・世帯主の年齢階級別 よりニッセンライフ作成
年齢別の食費を見ていくと、20代から30代へと年齢が進むにつれ食費は増加し、40代・50代でピークに達します。
その後、60歳以降になると、消費支出と共に食費は徐々に低下します。
そのため、全年代で最もエンゲル係数が高いのは70歳以上という結果が出ています。
エンゲル係数の見直しにより節約術の効果が期待できるのは60代・70代でしょう。
同じ世帯人数で比較した場合、20代と60代以上の食費において、60代以上は全体的に高い傾向があります。
年齢を重ねると家族が減っても食費が必ずしも減るわけではないため、意識してライフプランニングを行う必要があります。
家計管理でエンゲル係数だけに頼ってはならない
食費や食費エンゲル係数の平均を確認しました。
「我が家の食費やエンゲル係数は平均より高めだけど、見直すべき?」とFP相談を検討中の方もいるかもしれません。
しかし、食費やエンゲル係数だけで家計相談を進めるかを決定することはできません。
平均データを再確認してみてください。
たとえば、食費が8万円台の40代より、食費が8万円台の70歳以上の方がエンゲル係数は高く設定されています。
節約術を駆使し、ライフプランニングをしっかり行うことが重要であることがわかるでしょう。
エンゲル係数が高いからといって贅沢というわけではありません。
エンゲル係数だけで判断することに大きな意味はないのです。
ライフプランニングにおいて家計管理で大切なのは、全体のバランスと固定費の見直しです。
詳しく説明していきましょう。
家計管理で大切なポイント
家計の見直しをする際には、食費やエンゲル係数だけに注目するのではなく、生活全体のバランスと消費支出、特に固定費に注目することが重要です。
食費エンゲル係数や消費支出の平均を理解しつつ、適切にバランスを整えていくことが求められます。
具体的な見直しポイントは、以下の2つです。
- 各家庭で必要な貯蓄額を把握し、用意できているかどうか
- 貯蓄額が足りない場合は、固定費から見直しを行う
つまり、大切なのは単に食費が多いか少ないかではなく、必要貯蓄額をしっかり準備できているかどうかです。なんとなく節約術を試そうとする前に、自分の家庭ではいくら必要かを考えましょう。
必要貯蓄額は、子どもの有無や進路、持ち家の有無、老後の働き方によって変わります。
計算方法で悩んだ際は、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
あなたのライフプランに合わせて必要貯蓄額を試算してくれるでしょう。
FP相談を活用すれば、より具体的な節約術や家計管理のコツを得られるかもしれません。
試算した必要貯蓄額を貯めるための家計見直しが必要となったら、固定費の見直しから始めましょう。
固定費とは、毎月定額でかかる住宅ローンや家賃、水道光熱費、通信費などのこと。
日々の行動と無関係に一律で発生するため、1度費用を見直せば、その節約効果は長期間続きます。
保険相談もおすすめです。
不必要な支出を削減し、効果的なライフプランニングを進めていきましょう。
対してエンゲル係数に影響を与える食費を含む変動費は、日々の行動によって消費支出が変動します。例えば
- 仕事帰りに疲れて利用する惣菜や弁当
- 子どもからねだられて買い与えた、おやつやジュース代
こうした毎日の積み重ねによって消費支出が変わるため、食費エンゲル係数を抑えるためには日々の行動をある程度自制して管理しなければなりません。
もともと節約術が得意という方でなければ、ストレスがたまりやすいのではないでしょうか。
食生活は家族の体を作る栄養源であり、将来の健康にもつながります。
筆者は、ライフプランニングの一環として家計の見直しを考える際に、無理に食費を削ることはおすすめしません。家計を見直す際は、スマホやネット代の料金プランを見直すなどして、固定費を節約することから始めるようにしましょう。
食費を見直す必要がある場合は、無理がないように以下の方法を試してみてください。
- 外食の回数を減らし、自炊を増やすか、惣菜の購入に頼る
- 良い調味料にお金を使い、安い食材でもおいしく仕上げる
- もやしや豆腐、厚揚げなど、1年中安く手に入れられるかさまし食材を活用する
- お酒や菓子代といった嗜好品にかけるお金を見直す
- 業務スーパーなど、元の価格が安いスーパーを積極的に利用する
これらの節約ポイントは、無理をしないことです。
疲れた日は自炊にこだわらず、外食よりは費用を抑えられるお惣菜やお弁当を活用しましょう。
この方法は、食費を節約するコツの一つです。
また、食費の中で調味料だけは良い物にお金を使うのがおすすめです。
特にお酒、油、塩は、良い物を使えばそのぶん料理のコクや風味が格段に変わります。
調味料にこだわれば、その分安い食材をおいしく仕上げやすくなるため、試してみてください。
まとめ
エンゲル係数の平均値は26.5%、食費の平均は約8.4万円です。
平均的な消費支出のパターンと比較すると、節約術を駆使している家庭の毎月2、3万円という食費には遠く及ばないというリアルな実態がわかります。
ただ、筆者は節約家庭や家計調査の平均像を見て食費を決めることには反対です。
なぜなら、各家庭で食に対する価値観や物価、食べる量が異なるからです。
また、エンゲル係数は生活水準に反比例して高くなるため、エンゲル係数が高いからといって無駄遣いが多いとは一概には言えません。
何より大切なのはライフプランニングに基づいた家計全体のバランスです。まずは必要貯蓄額を把握し、どうしても足りないときは固定費から見直しを始めましょう。
ライフプランニングや必要貯蓄額の計算、固定費の見直しについては、FP相談や保険相談の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談するとより効果的です。
専門家であるファイナンシャルプランナーへの相談は、ライフプランニングの観点から自分では気づけなかった家計の見直しポイントを発見する絶好のチャンスです。
この機会に、食費エンゲル係数も含めた全体的な家計管理の見直しを通じて消費支出を効率的に管理する節約術やコツを学んでみてはいかがでしょうか。
エンゲル係数や食費の平均を理解し、効果的なライフプランニングを進めるためにも、専門的な知識を活用しましょう。
※この記事は2024年12月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
出典
「2023(令和5)年度 家計調査報告(家計収支編)」第3表 世帯人員・世帯主の年齢階級別(総務省統計局)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20230&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330006&result_back=1&tclass4val=0
執筆者
服部 椿
プロフィール:FP分野専門のフリーランスライター。
子育て中のママFPとして、子育て世帯に役立つ家計や投資、お金に関する情報を発信中。
保有資格:2級FP技能士