教育・子育て
子育てに疲れた、しんどいと思ったら
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子育ては楽しいことだけではなく、大変なことやしんどいことの連続です。
「もう疲れた」とダウン寸前なお母さんも、決して少なくないはず。
今回は子育ての「疲れた」「しんどい」を助けるケア方法や負担を軽減させる解決策をまとめました。
子育ての「疲れた」「しんどい」がつくられる原因
子育てに対して「しんどい」と感じるのは当たり前。とくにお母さんを悩ませる育児のポイントを、以下でまとめました。
とにかく自分の時間がない
子育てが始まると、自分の時間を確保するのは至難の業。とくに乳児の場合、24時間付きっきりで育児をする必要があります。昼夜を問わずオムツを替えたりミルクをあげたりして、一息つく暇もありません。
少し大きくなると活発に動き回るようになり、心配で目が離せなくなります。さらにトイレトレーニングをしたり保育園を探し回ったりして、子育てのタスクは日に日に増すばかり。1人になれる時間がなく、疲弊してしまうのも無理はありません。
パートナーや親、保育園などに頼って、自分の時間を確保してリフレッシュすることも大切です。
頑張りが誰にも認められない
子育ては大変な仕事であるにもかかわらず、努力や頑張りがなかなか認められません。「お母さんなんだからこれぐらい当たり前」、「母親なんだから当然」という考え方も、まだまだ残っています。仕事や勉強であれば頑張った分のリターンが返ってくることがほとんど。「頑張ったね」という労いの言葉もかけてもらえるでしょう。
しかし子育ては「順調にいって当たり前」という風潮が根強く残っているのです。「しんどい」と弱音を吐けば、「母親なんだからこれぐらい普通」と言われてさらに苛立ちや疲れが募る…という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
一方で、自分のお腹を痛めて産んだ我が子を一生懸命に育てて、スクスクと元気に成長していく姿を見るのは嬉しいものです。子育ての頑張りが他人には認められなくても、きっと大人になった自分の子供が子育てをするようになったときに、感謝され共感してもらえるはず。ネガティブ思考は捨てて、前向きに子育てに取り組んでいきましょう。
常に予測できない事態が起こる
仕事や勉強であれば、ある程度の事態は予測できます。
しかし、子供は予測できない行動を起こすもの。食事のお皿をひっくり返したり、思わぬタイミングでぐずったりする子供に振り回され、大きな疲労やストレスを抱えるお母さんは少なくありません。その結果、苛立ちのあまりつい感情的に子供を叱ってしまい、後悔したという経験をしたお母さんもいるはずです。
そのようなときは、気を取り直して、「ごめんね」の一言とともに抱きしめてあげれば、子供に愛情が伝わり、子供自身も悪かったことを諭すのではないでしょうか。
誰にも相談できない
優しく責任感が強いお母さんほど、子育ての大変さを1人で抱え込みがち。その結果、パートナーやほかの家族を頼れず孤独感を強めてしまうのです。
「母親なら1人で子育てができて当たり前」という気持ちが、自分や周囲の人のどこかにあるのかもしれません。しかし、実際の子育てはかなりの重労働ですので、辛くなったらパートナーや家族に相談しましょう。
完璧を求められがち
子育ての大変さが少しずつ認められてきているとはいえ、お母さんにはまだまだ完璧が求められます。「母親はこうあるべき」という規範が根強く残っており、そこから少しでも外れると「ダメな母親」のレッテルを貼られてしまいます。真面目で責任感が強いお母さんほど、その規範に応えようとして心身を壊してしまうようです。
しかし子供を産んだその日から、完璧なお母さんになれるわけではありません。にもかかわらず完璧を求められるのは、冷静に考えれば理不尽なことも多いのです。
他人と比較してしまう
「ほかのお母さんはちゃんとしているのに」と、自分と他人の子育てを比較してしまう人は多いのではないでしょうか。しかし、比較した人の子育てが常にうまくいっているという保証はないのです。たまたま赤ちゃんが大人しく寝ていただけかもしれませんし、たまたまお母さんと赤ちゃん両方の機嫌が良かっただけかもしれません。
ほかの人の子育てを見習おうとする姿勢は大切ですが、比較をエスカレートさせてストレスを溜めるのは本末転倒です。
子供が言うことを聞いてくれない
子供のぐずりや反抗も、あまりに重なると大きなストレスになります。
とくに2歳頃は「魔の2歳児」と言われるほど、かんしゃくや反抗が激しくなる時期です。大人から見れば、理解できない理由でかんしゃくを起こしたり泣きわめいたりする子供に付き合うのは相当な重労働。くわえて、「いくら叱ってもまた同じことを繰り返す」「言うことを聞いてくれず、怒るのもしんどい」という経験をすることもあります。
これを対処するためには、子供が成長するための大きなステップととらえ、ポジティブなマインドで子供と接することがポイントになります。
育児疲れ・育児うつのチェックリスト
子育てによる疲労をきちんとケアしないと、「育児うつ」につながります。
厚生労働省の「地域におけるうつ対策検討会報告書」によると、自分が気づくうつ病を疑うサインとして以下が示されています。
ご自身に当てはまるサインがいくつあるか、セルフチェックするのに活用してみてください。
<うつ病を疑うサイン-自分が気づく変化>
- 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
- 何事にも興味がわかず、楽しくない
- 疲れやすく、元気がない(だるい)
- 気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう、何もする気がしない)
- 寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
- 食欲がなくなる
- 人に会いたくなくなる
- 夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
- 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
- 失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
- 自分を責め、自分は価値がないと感じる など
うつの症状の疑いがあっても、病院へ行って診てもらうことにためらいがある場合は、こちらの厚生労働省の電話相談窓口を参考に電話をしてみてはいかがでしょう。
育児うつなど子育ての悩みに関しては、都道府県や市町村で子育ての相談窓口を設けているケースもあります。また、加入している保険でも育児に関する相談ができるサービスがついていることもあるので、保険証券で確認をするか、保険会社や代理店などに問い合わせるのもよいかもしれません。
子育ての疲れを我慢・放置することで起こること
子育てに責任感を持つことは、とても素敵なこと。しかし子育ての疲れを抑え込んだり、放置したりしてやり過ごすのは危険です。育児疲れを放置すると、いくつもの負の連鎖が起こります。
子供を感情的に叱ってしまう
当然ですが、子供はお母さんの都合や予定などおかまいなしに泣いたり動いたりします。なかには、お母さんが叱るのも聞かず活発に動き回るやんちゃな子も。
育児疲れが溜まっていると、そんな子供をつい感情的に叱ってしまいます。そうなれば子供は「お母さんに嫌われた」と悲しみ、お母さんも自己嫌悪に陥ってしまうのです。
先にも述べたように、感情的に叱ってしまったときは、一旦冷静になって、「ごめんね」と声をかけながらハグをしてあげれば、愛情が伝わり、子供も自分が悪かったことを感じ取るものです。
心身の不調が悪化する
育児疲れをきちんとケアしないと、当然心身の不調は悪化します。
すべてのストレスを一気に解消しようとするのではなく、「体を少し休める日」、「心を落ち着かせる日」を決めて少しずつストレスをケアすることが大切です。
パートナーや家族に八つ当たりしてしまう
育児に追われて疲労が募るあまり、パートナーや家族に八つ当たりしてしまうケースも。パートナーのちょっとした態度が気に障ったり、家族の何気ない一言に怒りを覚えたりして、過剰なぐらい怒りをぶつけてしまうパターンです。
とくに、「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」と後悔するような八つ当たりが増えてきたら要注意。お母さんのストレスが発散されず、気づかないうちにキャパオーバー寸前になっているかもしれません。
動けなくなってしまう前に、パートナーや家族にできる限りのサポートをお願いしましょう。もちろん、怒ったり八つ当たりしてしまったりした場合はきちんと謝って、気遣ってあげることも大切です。
子育てに「しんどい」「疲れた」と思った時のNG思考
子育てに疲れたら、以下の思考をできる限り捨てるようにしましょう。
他人と比較する
自分とほかのお母さんを比較するのは不毛です。
「より良い育児をしよう」と意気込むことはとても素敵なことですが、育児に100%の正解はありません。性格も価値観も異なるほかのお母さんと自分の育児を比べても、自己嫌悪が募るだけです。またどんなに憧れる先輩ママであっても、悩み事がないとは限りません。「皆同じように悩んでいるんだ」と割り切って、自分と子供の幸せを第1に考えるようにしましょう。
完璧主義
妥協を許さない努力家な人ほど、子育てに疲弊してしまうもの。
子育ては予測不可能なことの連続ですので、予定通りにいかないのが当たり前です。「家事も子育ても完璧にできて当たり前」と思わず、完璧主義な思考を一度捨ててみましょう。
「週に何度かはレトルトのベビーフードを使う」、「家事を休む日をつくる」など、適度に自分を休ませる習慣を取り入れるのがおすすめです。
自己嫌悪
「またきつく叱ってしまった」、「なぜ私はちゃんと子育てができないんだろう」と自分を責めすぎるのも良くありません。自己嫌悪に陥りそうになったら、「次からはこうしよう」と解決策を考えて気分を切り替えましょう。また、できなかったことよりもできたことをリストアップするのもおすすめ。
「おかずを1品多く作れた」、「子供と買い物へ行けた」など、ささいなことでもOKです。「できたこと」をリストアップすることで、自分の頑張りに改めて気づくことができ、卑屈になるのを防げます。
お金・時短で減らせる負担がないか考えるのもアリ
いくら可愛い我が子が相手でも、育児は体力勝負。お母さんの体力は有限ですので、お金や時短テクニックで減らせる負担は積極的に減らすことが疲れない秘訣です。
ベビーシッターを雇う
育児疲れが溜まると、どうしても1人の時間や休む時間がほしくなるもの。そんな時はベビーシッターを雇いましょう。
ベビーシッターの料金体系はサービスによって異なりますが、1時間1,000~4,000円ほどの価格設定となっている会社が多く見られます。また年会費や入会費を払ってベビーシッター会社のサービスを利用するタイプ、基本料金がやや高額である代わりに入会・登録が不要なタイプなど、サービスの利用形態も異なります。
最寄りのベビーシッター会社がどんな利用形態を導入しているか確認したうえで、利用を検討されてはいかがでしょうか。
ベビーシッターを雇うのは、決して手抜きや逃げではありません。お母さんの負担を減らすことは、子育てに余裕を持たせることにつながります。
「子供を預けたいと思うなんて、自分は悪い母親なのだろうか」と罪悪感を抱く必要はありません。「少し休んだらまた元気なママになろう」と、気持ちを前向きに切り替えることが重要です。
家事代行サービスを活用する
子供につきっきりだと、掃除や洗濯などの家事にまで手が回らないこともあります。そんな時は、家事代行サービスを活用するのもアリです。
掃除や炊事、収納整理など派遣会社によって受けられるサービスはさまざま。大変で面倒な家事だけを任せたり、細々とした家事をまとめて依頼したりなど、柔軟な使い方ができるところもあります。
サービス形態を把握したうえで、上手に家事代行サービスを活用しましょう。
レトルトのベビーフードを活用
離乳食は、必ずしも手作りにこだわる必要はありません。レトルトのベビーフードを賢く活用しましょう。
ペースト状のおかゆやうどん、裏ごしした野菜ペーストなどベビーフードのメニューはいろいろなので、何食分かストックしておくのがおすすめです。
お金の余裕ができれば育児にも余裕ができる?
子育てのしんどさは、ある程度お金で解決できます。そのための資金は、少しずつ貯めておきたいところ。
「それまでの貯金の方法を見直したい」、「改めて家計を見直して余裕を作りたい」と思ったら、ファイナンシャル・プランナー(FP)へ相談するのも手です。
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※この記事は2021年10月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。
出典
「地域におけるうつ対策検討会報告書」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5b2.html