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夫婦・ファミリー世帯はどれくらい貯金しているの?実践しやすい貯金テクニックを紹介します!

夫婦・ファミリー世帯はどれくらい貯金しているの?実践しやすい貯金テクニックを紹介します!

夫婦世帯・ファミリー世帯にとっては出産・教育資金などさまざまなライフステージが待ち受けており、まとまったお金が必要になる場面も増えてくるものです。今回は、貯金ができない・苦手という方に向けて、平均的な貯蓄率や貯金の考え方・テクニックを紹介します。 

夫婦・ファミリー世帯の貯金額は手取りの3割


一般的な夫婦・ファミリー世帯は、手取りのどれくらいを貯金に回しているのでしょうか。総務省統計局が発表している「家計調査」をもとに、一般的な貯蓄率を見てみましょう。今回は、「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを参考にします。 
 
2021年の家計調査(家計収支編)によると、消費支出は、1世帯あたり平均309,469円、可処分所得は、1世帯あたり平均492,681円となっています。つまり、世帯全体で492,681円ある手取り月収のうち、「183,212円」を貯金に回せるような生活をしているということ。この場合、貯蓄率(黒字率)は、37.2 %となります。 
 
お金を貯めるとひとくちに言っても、預金しておくのか、貯蓄型の生命保険に入るのか、有価証券にチャレンジするのか、さまざまな方法があります。せっかくなので、勤労者世帯がどのような手段を用いてお金を貯めているのかについても確認してみましょう。 
 
2022年8月時点では、総務省統計局から発表されている、家計調査の貯蓄・負債編のデータは2021年になりますが、二人以上世帯の勤労者世帯においては、普通預金が全体の35.8%と最も多い結果に。次に定期預金が27.4%、保険商品が20.2%、有価証券が13.6%、金融機関以外に預け入れている分は3.0%という割合です。 
 
全体のデータと比較すると、勤労世帯では、普通預金・定期預金や有価証券よりも、「保険商品」にかける割合が大きいことがわかります。また、全体では、保険商品の割合が19.0%であるのに対し、勤労者世帯の保険商品の割合は20.2%。勤労者世帯は子育てをしていることが多いので、生命保険をかけ、万が一の事態に備えつつ、貯蓄をしている傾向にあるようです。 

適正な貯金・貯蓄額はライフプランによって違う!


貯金の目的は、出産、住宅購入、教育、リタイア後の生活資金などさまざまです。将来どのような生活を送りたいのかによって、適正な貯蓄額は変わってきます。たとえば、「子供を3人育て上げたい」という家庭と、「DINKs(共働きで子供を持たない生き方)」を選択した家庭では、月々の生活費が異なります。貯蓄に回せる額にも、差が出てくるでしょう。 
 
また、65歳までバリバリ働きたい世帯と、50歳頃から仕事を減らしてのんびり過ごしたいという世帯では、リタイアまでに目指すべき貯蓄額は変わってきます。月々どれくらいの貯金ができるのか、適正な貯金額はいくらなのかについては、ライフプランに大きく左右されるのです。だからこそ、ライフプランを立てることで「必要な貯金額」と「いつまでに貯めるべきなのか」といった目標が明確になります。貯金をしたいと考えている方は、一度しっかりとライフプランを立て、どのような局面でまとまったお金が必要になるのか、きちんと把握しておくことが大切です。 
 
ライフプランを立てることは、月々にどれくらい貯めなくてはならないのかが、はっきりし、やることが明確になるのもメリットの1つです。先が見えるので、お金の不安を感じることなく過ごせるようになるでしょう。しかし、ライフプランを立てるのは簡単ではありません。ライフプランを立て、貯蓄額を計算するには、少なくともパートナーと話し合いが必要です。 
 
お金について話し合う場を設けられている家庭でも、忙しい生活の合間を縫ってライフプランを立てるのは難しいでしょう。日々の生活費から老後資金を逆算しなくてはいけません。控除・補助といった家計の助けになる制度を調べるためには、公的なデータに何度も目を通す必要もあります。そのため、控除や補助などの制度を熟知したファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのも1つの方法です。 
 
FPというお金の専門家に話すことで、家庭ではなかなか解決することが難しい、お金の悩みもすっきりしやすくなるでしょう。価値観のすり合わせも、すんなりいくかもしれません。ライフプランを考えるうえで注意するべきポイントも教えてもらえるので、貯蓄計画に抜け・漏れが起きにくいのもメリットです。 
「FPナビ」では、税金や保険、年金などお金に関する知識が豊富なFPへ何度でも無料相談できるサービスを行っています。ライフプランの設計や貯蓄計画に興味のある方は、こちらの「ライフプランについてのお悩み解決」より、ぜひご相談ください。 



貯金のカギは「支出」が握っている


ライフプランを立てる重要性についてわかったところで、ここでは、具体的にどうやって貯金をしていくべきかについて解説します。貯金とは、シンプルに考えると、収入よりも支出額が小さい状態を維持することです。収入は自分の意思で上げ下げするのが難しいですが、支出は増やすのも減らすのも自分次第。やろうと思えば、翌月から10万円ずつ貯めることも不可能ではありません。だからこそ、貯金を成功させるカギを握っているのは収入ではなく、「支出」なのです。 

先取り貯金の仕組みを整えよう

貯金を考えたら真っ先にするべきことは、いつの間にか貯金されているような状況を作り上げることです。支出を増やさないために生活水準を下げることは大切ですが、むやみに節約をするのはよくありません。なぜなら、頭の中で「貯金とは、我慢すること」という方程式ができあがってしまうと、貯金が苦痛になるからです。 
 
貯金することで溜まったストレスを発散するために、暴飲暴食を繰り返したり、ブランド物を買いあさったり、趣味にのめり込み過ぎたりと、無駄遣いを誘発しかねません。「お金を貯めている」という意識をなくすためにも、先取り貯金を行うことが鍵となります。積立定期預金でもよいですし、会社に財形貯蓄制度があれば、財形を使って給料から直接貯金額を引いてもらうという方法も有効です。 

支出を把握しよう

大事なのは、「月々いくら使っているか」という支出合計を把握することです。そのため、最初から支出を細かく分ける必要はありません。家計簿に慣れていない方は、とりあえず「先月はいくら使ったか」をすぐに把握できる状況をつくりましょう。 
 
予算を考えずに生活しても、収入以上の支出になることはないという方であれば、クレジットカードを活用するのがおすすめです。生活費をすべてクレジットカードで支払い、月末に内訳を見るクセをつけます。クレジットカードには内訳が明記されるので、何にお金を使ったのかを把握するのに便利です。現金をほとんど使わない生活になると、クレジットカードに支出を集約できるので、クレジットカードの明細が実質的な家計簿になります。 
 
もし、「クレジットカードだと際限なく使ってしまうかもしれない」という場合は、逆に現金だけで生活してみましょう。給料が入ったら、まず貯める分を貯金用口座へ移した後に、残ったお金をすべて引き出します。引き出した分だけで家賃・水道光熱費・通信費・食費あるいは借金返済などをすべて賄い、残った金額から支出額を出します。予算内で生活することに慣れてきたら、クレジットカードに切り替えるのもよいです。また、事前チャージ型のキャッシュレス決済を導入してもよいでしょう。 
 
月にいくら使っているのか、こまめに確認するクセをつけるだけでも、支出の感覚が変わってくるはずです。ぜひ、自分が楽に続けられそうな方法を採用してみてください。 

教育資金の貯め方

子育て中の世帯や、家計管理を任されている主婦(主夫)の頭を悩ませるのは、教育資金ではないでしょうか。とにかく莫大な費用がかかるイメージがあるため、「教育資金が足りないかもしれない」という不安に駆られる方は少なくありません。教育費を考慮しながらも、自分たちの老後資金を貯めておきたいと考える家庭もあるでしょう。 
 
教育資金は、最も金銭的負担の大きい大学進学時にいくらかかるのかを想定して貯めていくのが基本です。まずは、0歳から小学校6年生までの12年間で大学資金を貯めることを目指しましょう。小学校6年生の12歳までに設定するのは、中学生に入ると受験や部活など学校外の費用が増えるからです。たとえ12年間で目標金額に到達していなくても、貯金期間を延長する余裕も生まれます。 
 
また、教育資金を貯めるにあたって、児童手当をすべて貯金に回すのは、最も確実な方法です。子供が0歳から中学校を卒業するまでの間は、一定の児童手当がもらえます。これをすべて貯蓄に回すと、198万円になります。児童手当に加えて、学資保険も活用することで、目標とする金額に到達する可能性は高くなるでしょう。 
 
もちろん、家計によってベストな教育費の貯め方は異なります。しかし、将来必要となる金額と、どのタイミングまでに貯めるべきかを把握し、今は何ができるかを考えることで、不安は小さくなるでしょう。教育資金に対して、過度な不安を抱える必要はありません。ライフプランにおいても、「教育」は重要なフェーズです。金額も大きく、子供の人生を左右する選択でもあるため、しっかりと考えておく必要があります。教育資金をいつまでに、どのような手段で、どれくらい貯めるのかを明確にしておきましょう。 


夫婦で貯金するコツ

教育資金や老後資金を貯めるうえで大切なのは、夫婦で協力してお金を貯めていくことです。共働き世帯にしても、専業主婦(主夫)として家計をやりくりするにしても、以下のように夫婦で貯金できる仕組みを整えておくのが理想です。 

夫婦で話し合おう

夫婦で貯金をしようとしても、「貯金に協力してくれない」と苛立ったり、「過剰な節約を求められる」とうんざりしたりと、うまくいかないこともあるかもしれません。このようなすれ違いは、貯金に対する共通認識がないことで起こります。夫婦で貯蓄を始めるためには、対話が欠かせません。夫婦で「将来の生活をどうするか」を大まかに話し合って、貯蓄する目的と目標金額を決めてみましょう。 
 
マイホームを購入したい、子供は2人欲しい、趣味にこれだけ使いたい、ファミリー向けの車が買いたいなど、どんな目的でも構いません。具体的な目標があれば、必要な金額も自ずと割り出せます。夫婦間でお金の認識を合わせることで、意見の食い違いから生じる家庭の不和を避けることにもつながります。 

お小遣い制を導入する

夫婦で財布を一緒にしている場合は、お小遣い制を導入しましょう。お金は、あればあるだけ使ってしまうものです。たとえば、普段節制しているご褒美にちょっと高めのお肉を買う、疲れたので甘いものやお酒を買う、ウィンドウショッピングで見た洋服が気に入って1着だけ買う、などうちょっとした出費に慣れてしまうと、どんどんと使うお金が増えて、「節約しているのに、ぜんぜん貯金ができない」という状況に陥ってしまいます。 

夫婦共通の貯蓄口座をつくろう

夫婦で財布を別々に管理している場合は、夫婦共有の貯蓄用口座をつくることから始めます。貯蓄用口座をつくることで、今どれだけ貯金ができているかが、把握しやすくなり始めを達成するために、今月はどれくらい貯めるべきかということがわかりやすくなります。 
 
なお、夫婦間でも、110万円以上の金額をやり取りすると、贈与税が発生する可能性があります。しかし、夫婦の貯金を1つの口座で管理する場合は、基本的に贈与税がかかりません。片方の口座にまとめておきたくない、という場合は、たとえば、200万円ある貯金を100万円ずつ夫婦お互いの口座に振り込むという形で、分担管理するのもよいでしょう。 
 
ただし、できるだけたくさん貯めておきたいなら、夫婦で財布を1つにまとめることをおすすめします。収入や支出の管理を1つにすると、お互いに、自分の収入がどのように使われているのか気になるものです。その結果、自分の出費より、家計のために必要な出費へと目が向きやすくなります。 
 
もちろん、支出の分担をするのも問題はありません。しかし、財布が別々になると、「生活費を何割ずつ担うのか」「誰がどの出費を支払うのか」など、込み入った話し合いが必要になります。また、分担をしていると、「自分の稼ぎを1円も使えないまま、全部貯金するのは嫌だ」や「家事のほとんどを担っているのに5割ずつ貯金するのは割に合わない」といった不満が出てくる可能性も否定でききません。意見の食い違いというリスクに配慮しながら、お互いが納得できる妥協点を探りつつ対話を重ね、月々の貯金額を夫婦共同の貯金用口座に振り込みましょう。 

貯金はライフプランニングからはじまる

夫婦・ファミリー世帯は、手取りの3割程度を貯蓄に回せるような家計管理を行っているようです。もちろん、ライフプランの違いや子供の人数・教育方針によっては、いくら同じ家族構成であっても差が生れます。自分自身の家庭事情に合わせ、ライフプランに即した貯金目標を立てましょう。 
 
ご家庭のライフプランを想定し、ライフプランに合わせた貯金額を設定したうえで、支出をコントロールすることが大切です。しかし、どうやって貯金目標を立てたらよいものか、はじめは戸惑ってしまうかもしれません。貯金の方法にお困りの方は、家計管理のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)へのご相談もご検討ください。 

FPナビは、お金のプロであるFPへ無料相談できるサービスを行っています。年齢・性別・エリアから、ご希望のFPを検索できるほか、支出計画の立て方や保険の見直しなど、お困りの相談内容にマッチした得意分野を持つFPをお選びいただけます。ライフプランニングにお困りの方は、こちらの「ライフプランについてのお悩み解決」より、どうぞお気軽にFPナビへご相談ください。 


出典

「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯2021年 」(総務省統計局)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000000330005&tclass4val
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/

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