家計

一人暮らしでも貯金できる?コツコツ貯める効率的な貯金の仕方を解説

一人暮らしでも貯金できる?コツコツ貯める効率的な貯金の仕方を解説

一人暮らしをしていると、生活に精いっぱいで貯金ができないという状況に陥りやすくなります。生活に行き詰っていなければ、支出を見直す必要性も感じないでしょう。しかし、漠然と「このまま貯金できないと、いざというときに困るかも…」と、何となく不安を覚えている方も多いのではないでしょうか。「貯金体質になりたい!」と思っても、いくら貯めるべきかわからないので、結局今まで通りの生活に戻ってしまう…ということもあるかもしれません。 
 
今回は、一人暮らしの平均的な貯金額に加えて、一人暮らしの方にぴったりな貯金の方法についても解説します。貯金の習慣を身につけたいという方は、ぜひ参考にしてください。 

一人暮らしが貯金する前にやりたい3つのステップ


いきなり「1年で100万円貯めよう!」と決めても、この目標はなかなかハードです。だからといって金額を下げ過ぎると、今度は貯金のペースがゆるやかになります。 
 
貯金は無理のない範囲で行うものですが、突然の病気・ケガ・離職で貯金を切り崩したくても、そもそもお金が足りないという事態になるかもしれません。半年間ずっと収入がなくても生きていけるくらいの「緊急資金」は、早めに貯めておくと安心です。 
 
今の生活を振り返り、自分の貯金能力を知ることで、はじめて貯金が成功する体制が整います。以下の「棚卸し」「予算決め」「貯金目標の設定」という3つのステップを踏んで、自分の貯金能力を把握しましょう。 

1.固定費・変動費の棚卸しをする

当たり前ですが、貯金をすれば、その分生活費が削られてしまいます。貯金をするためには、固定費と変動費を抑えることが重要です。固定費で減らせるものはないか、変動費で本当に必要なものに使っているか、一度棚卸しをしてみましょう。特に、住居費や保険料などは金額が大きく、毎月発生するものなので、固定費の削減は節約効果が大いに期待できます。 

2.固定費・変動費の予算を決める

固定費・変動費の棚卸しをして、1か月の支出を把握したら、それぞれの品目に予算を決めましょう。総務省統計局の2021年「家計調査」の単身世帯のうち、勤労世帯の1か月間の平均消費支出から、食費・水道光熱費・通信費・交際費など、品目ごとにかかる費用割合の目安は、以下の通りです。 

<一人暮らしの費用割合の目安> 

用途消費支出額費用割合
食料39,884円23.2%
住居29,637円17.2%
光熱・水道10,225円6.0%
家具・家事用品6,151円3.6%
被服及び履物5,932円3.5%
保健医療6,540円3.8%
交通4,305円2.5%
自動車等関係費11,408円6.6%
通信8,022円4.7%
教育14円0.0%
教育娯楽19,710円11.5%
その他29,988円17.5%
合計171,593円100.0%


上記の費用割合は、予算設定の参考にしてみてください。 
 
収入が著しく下がらないうちは、割合(%)よりも金額(円)で予算を組んだ方がよいでしょう。収入に合わせて支出を増やしてしまうと、貯金のペースはいつまでも上がりません。たとえ収入が上がっても、支出も同じペースで上がっていくのであれば、貯金は一向に増えません。 
 
支出の中で最も高い割合は、食費の23.2%です。上記のデータは約17万円でやりくりするという内容ですが、23.2%を占める食費は4万円ほど。週に1~2回を外食で済ませていると、あっという間に使い切ってしまう金額です。ちなみに、上記の1か月平均の食費のうち、外食費は10,777円で、食費の約27%を占めています。 
 
次に高いのは、住居費の17.2%。都心に住んでいれば収入も上がりやすい分、家賃も高くなります。なお、住居費には住宅ローンの返済が含まれておらず、ほとんどが「家賃」です。もし、家賃が17.3%を大幅に上回るようなら、住居費の負担が大き過ぎて貯金ができていないかもしれません。ほかの用途をもっと削るか、もう少し安い物件がないか探してみましょう。 
 
その次には教育娯楽費が続きます。心身共に健康でいるためには、娯楽費も立派な必要経費です。一人暮らしのうちは仕事に活かせるスキルを磨く時間があるので、自己投資にお金を投じるのも悪くありません。しかし、上限を決めておかないと使い込んでしまいやすいのが教育娯楽費です。そのため、教育娯楽費は、月収の10%程度に収めるのが理想です。 
 
「その他」には、美容室・理容室の代金、タバコ代、交際費など、細々とした費用が含まれます。ただ、その他の費用が多くないなら、余剰金として17.5%をそのまま貯金に回す、という手もあります。 
 
貯金は毎月コツコツと続ける習慣です。貯金の習慣が身に付いていないうちは、収入の1~2割を貯金するところから始めて、少しずつ貯金の割合を増やしていくことが大切です。

3.貯金目標金額を決める

貯金は、目標があれば貯めやすいものです。欲しい物のためや将来のキャリアアップのため、結婚のためなど、目標を決めてコツコツ貯めておきましょう。お金を貯める目標や目的がないという方は、一般的な貯金額を目標金額に設定するという手もあります。 
 
令和3年「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)」によると、金融資産保有世帯の金融資産保有額は、平均値は 1,614 万円、中央値 500万円。中央値とは、全体を二分する位置、つまりちょうど真ん中にある数字です。平均値が1,044万円と大きな数字なのは、ごく一部の高所得層やコツコツ貯金を続けた40~60歳代などの貯金額も反映されているからでしょう。 
 
年代別の金融資産保有額の平均値・中央値は、以下の通りです。 

<単身世帯の金融資産保有額> 

年代平均値中央値
平均1,614万円500万円
20代302万円100万円
30代965万円294万円
40代1,294万円440万円
50代1,675万円675万円
60代2,645万円1,180万円


貯金がほとんどできていないという方は、20代であれば100万円、30代であれば294万円といった具合に、「中央値」の金額を目指すのも1つの手です。中央値の金額分をすでに貯金できているなら、次は少し高めの「平均値」にチャレンジしてみましょう。平均値の場合、20代であれば302万円、30代であれば965万円となります。 
 
貯金力を把握する3つのステップを紹介しましたが、実際に支出の予算を立てたり、貯金の目標額を設定したりする際に、悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方は、お金のプロに相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。 
 
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単身者の保有資産を紹介


実際のところ、一人暮らしは、どれくらい貯金をしているのでしょうか。前述の通り、令和3年「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)」によると、金融資産保有額の中央値は500万円です。 
 
金融商品別の構成比は、預貯金41.6%、有価証券(債券、株式、投資信託)37.7%、生命保険10.2%、個人年金保険が6.3%。有価証券・生命保険・個人年金などにも分散投資しているようですが、預貯金の割合が依然として多いのがわかります。預貯金はすぐに引き出せるという点で流動性に優れており、元本割れもしないため、いざというときの備えとして優れているからでしょう。放っておいても値下がりはしないし、安心感があるのは確かです。 
 
一方で、元本割れを起こす可能性があるが収益性の高い有価証券の保有を検討している層は前回調査のときより上がっています。利回りがよく、将来の値上がりが期待できる金融商品を、将来のために蓄えようという動きが増えていることが読み取れます。生活費を確保しつつ、若いうちは収益性の高い金融商品を保有するのも1つの手段といえるかもしれません。 

一人暮らしの貯金の目標金額は?

「家計調査2021年(令和3年)」によると、単身の勤労世帯の貯蓄率は41.2%、貯蓄可能額は12万円程でした。ファミリー世帯のように教育費用やローン返済費用といった負担がないので、たくさんの金額を貯蓄に回せるのが単身世帯の強み。一人暮らしは、貯金ペースを上げるチャンスの時期でもあるのです。 

<一人暮らしの貯金の目安> 

可処分所得消費支出貯蓄可能額(黒字)貯蓄率(黒字率)
292,157円171,816円120,341円41.2%


収入の3~4割というと、かなり切り詰めた生活になるでしょう。貯金を捻出するための家計として、食費・通信費・被服費・教育娯楽費など、削れるところをしっかり削っていくことがカギとなります。では、収入の3~4割を貯金に回した家計の例を見てみましょう。 

<収入の3~4割を貯金している家計の例> 
用途収入・消費支出額費用割合費用割合(平均値)
手取り収入170,000円100%-
貯金59,500円35.0%41.2%
食料39,100円23.0%23.2%
住居25,500円15.0%17.2%
光熱・水道8,500円5.0%6.0%
家具・家事用品1,700円1.0%3.6%
被服及び履物1,700円1.0%3.5%
保健医療6,460円3.8%3.8%
交通1,700円1.0%2.5%
自動車等関係費10,540円6.2%6.6%
通信3,400円2.0%4.7%
教育娯楽3,400円2.0%11.5%
その他8,500円5.0%17.5%


上記の例では、教育娯楽費・通信費・交通費・被服費など、割り当てなくてもしばらくは生活に差し支えなさそうな用途は大幅に削っています。食費は1日1,290円でやりくりできる計算で、平均的な金額からほとんど削っていません。食費はもっと抑えられる、と思う方もいるかもしれませんが、料理はかなり時間のかかる家事です。料理をする気力がないときには無理をせず外食にしたほうがいいでしょう。また、「その他」に含まれる友人・知人との交際費も、少し多めにとっておくことをおすすめします。なぜならば、大切なのは、生活の質を落とさずに貯金額を上げていくことだからです。貯金を通して、自分にとって譲れない用途を探してみてください。

知って得する一人暮らしの節約術


貯金の目標を定めたら、生活の中で無駄な支出を省いて、目標額を達成することが重要です。ここでは、一人暮らしでできる節約術を解説します。 

税金

会社員は給料から自動的に税金が差し引かれますが、工夫をすれば節税できます。たとえば、ふるさと納税で自治体へ寄付をすることで、所得税・住民税が減税されます。ふるさと納税はお米やお肉などを買うついでに節税もできるため、一人暮らしでも手を出しやすい節税対策です。 

住居(家賃)

毎月かかる固定費なので、節約しておきたいのが家賃です。駅から近い物件、築年数の浅い物件などは家賃が高くなりがちです。古くてもリフォームされて住みやすくなっている物件もありますし、車や自転車を持っていたり、テレワークが中心だったりすれば、駅から近いことのメリットは薄くなるでしょう。ライフスタイルに合った物件を探して、住居費を安く抑えてみましょう。 
 
「家計調査」によると、働いている一人暮らしの住居費の平均は29,637円、収入の約2割です。 

一人暮らしは、ファミリーよりもプライベートで車を使う機会が少なくなります。仕事内容や居住地域にもよりますが、車は保険料や税金、車検代など何かと費用のかさむ固定費なので、削れるなら削りたい項目です。もし週に1~2回しか車を使わないのであれば、カーシェアやタクシーを使ったほうが安くなることもあります。 

保険

病気やケガをしたときの保険はあると安心ですが、会社員なら社会保険があるので、保険に入り過ぎる必要はありません。社会保険の保障でカバーできない部分について、本当に必要かどうか考えて取捨選択しましょう。生活や環境が変われば、備えておきたい保険も変わります。加入して数年経っている場合は、ライフスタイルが変化している可能性があります。もっと今のライフスタイルに合った保険がないかどうか、見直してみてください。 
 
そうはいっても、保険の種類が多すぎで、どうやって比較・検討したらいいのかわからない…という方もいらっしゃるかもしれません。そんなときには、お金のプロに保険について相談してみるのはいかがでしょうか。保険の見直し窓口を使うのもよいですし、もし「今の家計でも負担にならない保険料の目安が知りたい」とお考えであれば、ファイナンシャル・プランナー(FP)へ相談することで、家計に関するアドバイスも一緒にもらえるでしょう。 
 
「FPナビ」は、保険・年金など、”お金の備え”の知識が豊富なFPへ相談できるサービスを行っています。相談は何度でも無料。保険の見直しを中心に、支出の見直し・貯蓄計画も一緒に相談したいとお考えの方は、こちらの「保険のお悩み相談」より、ぜひご相談ください。


通信

通信費は毎月かかる固定費なので、できるだけ節約したい費用です。スマホは格安SIMを選んでみてもよいかもしれません。スマホやパソコンをよく使う場合は、自宅にネット回線を引くか、ネット回線が使える賃貸を選ぶというのも手です。外出先にはフリーWi-Fiが飛んでいますが、セキュリティの観点から、あまり頻繁には接続しない方が無難です。外出先でよく使うなら、ポケットWi-Fiを使って持ち歩くという方法もあります。 

食品

一人暮らしの場合は、自炊よりもお総菜を買うほうが安く抑えられることがあるので、スーパーのお惣菜も積極的に活用しましょう。食材は、季節や収穫量によって金額が左右されるので、食材を固定するよりも、安いものを買って作るほうが節約になります。外食にはお金がかかりますが、我慢し過ぎるのもよくありません。使い込んでしまわないよう、外食には上限を設けておいて、息抜きついでに外食を楽しむことも大切です。 

日用品

日用品は腐らないので、月に1度、必要な分をまとめて買うという方法をとることで、買いすぎを防ぐことができます。消耗品類は、値下がりしているとつい買いこんでしまいやすいですが、必要なものを、必要なときに買うほうが、長い目で見ると出費が抑えられます。車や自転車がないのでまとめ買いが難しいという方は、ネット通販を活用しましょう。 

一人暮らしは貯金のチャンス!支出をコントロールしてしっかり貯めよう

貯金は将来のための保険であり、いずれ自分の身を助けてくれるお金です。日々の支出や支払い方法を見直し、コツコツと貯金をする以外にも、投資信託や拠出年金制度などの活用も検討し、お金の使い方を見直してみましょう。 
 
自分で支出を把握することも大切ですが、今の家計には何が必要なのか、プロの意見を仰ぐのも1つの方法です。「FPナビ」では、家計のお悩みをすっきりと解決するためのお手伝いとして、ファイナンシャル・プランナー(FP)の無料相談サービスを実施しています。人生設計を通してお金の悩みを解決するためのアドバイスを行っているほか、ご要望に応じてFPをご自身で選ぶこともできます。 
 
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出典

「家計調査 2021年(令和3年)家計収支編 単身世帯」総務省統計局
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330022&tclass3=000000330023&result_back=1&tclass4val=0

「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年調査結果」金融広報中央委員会
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2021/

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