家計

【酒税法改正】ビールの値下がりは2020年から!改正内容をわかりやすく解説

【酒税法改正】ビールの値下がりは2020年から!改正内容をわかりやすく解説

以前にもお伝えした酒税法改正

今年2018年の酒税法改正では、ビールの定義が変わったことで今後さらに新しいビールが登場することが予想されます。
でも、本当に知りたいのは「結局、ビールはいつ値下がりするの?」ということではないでしょうか。
昨年2017年には安売り規制でビールの店頭価格が値上がりし、今年2018年3月には業務用ビールも値上がりしたというニュースが流れました。「ビールは値下がりすると聞いていたのに、値上がりのニュースも見る。結局どっち?」と混乱している方も多いでしょう。

今回は、わかりにくい酒税法改正とビール類の酒税一本化についてご説明します。

■業務用ビールは値上がり。でも、ビールは将来的に値下がりします!

まず、ビール類は本当に値下がりするのか?という疑問についてお答えしましょう。ビールは、将来的に値下がりすることが決定しています。
そもそも、お酒の安売り規制やビールの定義変更は酒税法の改正によるものですが、樽や瓶など業務用ビールの値上げは酒税法改正に関連したものではなく、物流費の高騰が背景にあります。業務用ビールの値上がりが意味することは、飲食店にとってビールの仕入れ原価が高くなるということ。

生ビールなどを提供する飲食店によっては痛い話といえますが、飲食店は元々仕入れ原価に何割かを掛けてお店で提供していて、ドリンク類はフードよりも原価率が低いため、店頭での価格にはそれほど影響しないのでは、とみることもできます。
ただ、元々生ビールを原価すれすれで出しているような一部の飲食店では店頭価格の変更はやむをえないでしょう。店頭価格変更については、大手居酒屋チェーンでも対応が割れているようですので、今後も価格動向について注視する必要がありそうです。

■ビール類の酒税一本化とは

ビールの将来的な値下げは、ビール類の酒税一本化によるものです。
これは、現在税率が異なるビール・発泡酒・第3のビールなどの税率を一本化して、350ml缶当たりの酒税を350mlあたり54.25円に一本化に統一しましょう、という新税制です。
でも、いきなり値段を変えるとメーカーも消費市場も混乱してしまうため、段階的に税率を変えていくことが予定されています。最終的に54.25円という税制に落ち着くのは、なんと2026年10月から!それまでは、経過措置期間として段階的に税率を安くしていくことになっているのです。

■ビール値下がりが始まるのは2020年度から!

では、肝心の税率引き下げはいつから始まるのかというと、2020年度からです。下記の表をご覧ください。
(ビール350ml缶あたりの税率)

お酒の品目

現行の税率

経過措置期間中の税率

改正後の税率

2020年10月1日~

2023年9月30日

2023年10月1日~

2026年9月30日

2026年10月1日~

ビール

 

77円

*小売価格223円

70円

63.35円

 

 

発泡性酒類

一律54.25円

発泡酒

※麦芽比率25%未満のもののみ抜粋

46.99円

※小売価格165円

46.99円

46.99円

第3のビール

(いわゆる「新ジャンル」)

28円

※小売価格144円

37.8円

46.99円


参照:税務署「酒税法等の改正のあらまし」

※発泡酒や第3のビールなども経過措置を経て最終的に「発泡性酒類」として税率が一本化されます
※小売価格は税務署資料より参照
※発泡酒の税率は参考として麦芽比率25%未満のもののみを表に抜粋していますが、実際は麦芽比率50%以上のものと25%以上50%未満のものは税率が異なります。(最終的には一律54.25円になります)

発泡酒やいわゆる新ジャンルと呼ばれる第三のビールなど、今まで麦芽比率や原材料で細かく税率がわけられていたものが、経過措置を経て最終的に税率54.25円に統一されます。つまり、現行ではもっとも高いビールの税率だけ下がり、発泡酒や第三のビールの税率は引き上げられるということになります。

■2018年には「ビールではないお酒」も「ビール」になる!?

上述したとおり、酒税の税率は段階的に変わっていくことが決定しています。また、上記税率変更のほかにも酒税法改正によるさまざまな法令変更が徐々に施行されています。今年2018年の4月1日にも、酒税法改正の一部が施行されました。
2018年では何が変わったのか、消費者にとっての影響と共に振り返ってみましょう。

<2018年の主な施行内容>
①ビールの定義変更(麦芽比率の引き下げ、ビールの製法要件が緩和)
②果実酒の定義変更(従前は甘未果実酒に分類されていたものも果実酒として分類されることに)

①の定義変更は、わかりやすくいうと「今までビールという定義ではなかったお酒もビールとされることになる」ということです。

今までビールの定義は【麦芽比率67%以上】【副原料は麦、米、とうもろこし等のわずかな品目のみ】と、細かく限定されていました。それが、今回の改正で【麦芽比率50%以上】【副原料として新たに果実、コショウ、山椒、ハーブなどの香辛料からそば、かつお節、昆布などさまざまな品目が追加】されることとなったのです。
果実や昆布がビールに使われるなんて…。一体どのような味になるのでしょうか。

■ビール党にはうれしい改正。一方、一部の家庭では家計に大きな打撃

2018年の改正でお酒の値段が大きく変わることはなさそうですが、酒税法改正はもともとビール市場の活性化が目的とされています。実際、すでに大手メーカーでは果実やハーブを使ったビールの新商品をいち早く販売しており、クラフトビールメーカーでもかつお節を使ったビールを作るなど、すでにメーカー側は消費者に向けて改正に伴う新商品を展開しています。

さまざまな新しいビールが誕生し、将来的な値下がりも決定するなど、ビール党にとってはうれしいニュースが続いていますが、今まで低価格帯の発泡酒や第三のビールで家計を節約してきた家庭にとっては、耳の痛いニュースといえます。
もともと、ビール市場の活性化を目指すことになったのも、これら低価格帯商品の登場でビールを飲まない家庭が増え、若者のお酒離れもあいまって酒税収入全体が落ち込んでいるということが背景にあります。

当局はこの改正に増収を図る意図はないと説明していますが、「せっかくメーカーが安く飲めるお酒を販売してくれたのに、低価格帯ビールまで値上げするなんて」と憂鬱になっている家庭も多いでしょう。
確かに、現在小売価格165円の発泡酒が、もし185円になったら。毎日3本発泡酒を飲む家庭では、値上がりの差額20円×1日3本×30日=1か月1,800円の酒代増加になります。
これが1年積もると21,600円の増加。少しの値上がりとはいえ、毎日のお酒代はこれほど家計を左右するものなのです。

■まとめ


日々の晩酌は仕事のストレスや家事・育児などの疲れを発散し、癒しも与えてくれる存在といえます。
しかし、毎日飲んでいるとたとえ数十円の値上がりだとしても家計へ与える影響は相当なもの。また、ビールに至っては「値下がりしたからたくさん飲める!」と、今まで以上に飲む量が増えてしまっては結局同じこと。

ビール党の家庭も、そうでない家庭も、自身の健康と家計のために週に1度は休肝日を設ける、飲む本数を少しずつ減らしてみる、比較的安い蒸留酒類を試してみるなど、できることから家計に優しいお酒生活をはじめてみてはいかがでしょうか。

※この記事は2018年5月時点の法律・情報にもとづき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

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