健康
医療保険に先進医療特約を付けておくと安心な理由

医療保険の特約でつけられる「先進医療特約」ですが、そもそも先進医療とはどのようなものなのでしょうか?先進医療について、詳しくご紹介します。
■先進医療とは?
一般的に、医療機関で診療を受けた際は国民健康保険などの公的医療保険が適用されます。保険診療と呼ばれるこうした医療サービスは、厚生労働大臣が十分な効果と安全性を確認して初めて公的医療保険の認可を受けます。
公的医療保険の認可を受けていない保険外診療の中でも、公的医療保険の認可を受けるために厚生労働大臣から評価中の療法が「評価療養」です。
先進医療は評価療養の一種であり、高度な医療技術を用いた療法です。先進医療として指定されている療法は、最先端の技術を利用した外科療法や移植・再生療法、薬物療法などさまざまです。それぞれの医療技術を受けられる施設が指定されており、そこで一定の有効性と安全性が確認できなければ認可外とされ、評価されれば保険診療となります。
簡単にいえば、先進医療は「医療保険認可の審査を受けている最中」の医療なのです。そのため、大学病院や専門の医療センターなど一部の医療機関のみでしか受けられず、費用も患者の全額負担となります。
■先進医療は完全な自己負担
保険診療を受けると、患者は通常医療費の3割~1割(所得に応じて異なる)の自己負担で済みます。しかし、歯科医院で金歯を入れたり、美容整形外科で整形手術を受けたりといった保険外診療を受けた場合、その医療費は患者の全額負担となります。また、保険診療と保険外診療の併用は原則として認められておらず、保険診療と保険外診療を受ける場合はすべて自費診療となり、公的医療保険の給付を受けることができません。先進医療も同じように、かかった医療費は患者の全額負担となります。ただし、評価療養である先進医療は保険診療との併用を認められており、先進医療と併用した保険診療については公的医療保険の給付を受けることができます。
<例>医療費100万円のうち、先進医療費が40万円、保険診療費が60万円のケース
(自己負担額が3割の場合)
・先進医療……40万円全額自己負担
・保険診療……60万円のうち、3割の18万円を自己負担
さらに保険診療では、1ヶ月あたりの自己負担額が一定額を超えた場合、高額療養費制度を利用できます
■必ずしも最良の医療というわけではない
「先進医療」と聞くとどうしても、最先端の優れた治療法というイメージを抱く人が多いようです。しかし上記のように、日本における先進医療は「公的医療保険の認可を受けるだけの有効性と安全性があるかどうか、評価を受けている最中の医療」であり、決して万能な治療法というわけではありません。先進医療を受けたからといって、必ずしも最良の結果が出るわけではないのです。
病気の部位や種類などによって、適している治療法は異なります。医師が患者の病気に先進医療が有効であると認め、さらに患者の同意を得た場合のみ、厚生労働大臣の認可を受けた大学病院などの医療施設で先進医療を受けることになります。
■多くは少額で特約がつけられる
「がんになったら先進医療を受けなければいけない」、「先進医療でないと治らない病気がある」といったイメージと反し、あくまで先進医療は患者の選択肢の範囲を広げるものです。厚生労働省が発表している先進医療の実績報告によると、平成26年7月1日~平成27年6月30日までの1年間で先進医療を受けた患者数は年間28,153人と、まだまだ先進医療を実際に受ける機会は多いとはいえません。そのため、民間の医療保険などで先進医療特約をつける必要性は低いともいわれています。(出典:厚生労働省「平成27年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績」)
しかし、先進医療が有効な病気にかかる可能性がまったくないわけではありません。自己負担が高額になりやすい分、万一の際には先進医療特約は経済的負担を軽減する大きなサポートとなります。ほとんどの先進医療特約は少額でつけられるため、保険料の負担もそれほど大きくはなりません。先進医療特約をつけるためだけに保険に入り直したりする必要はありませんが、新しく保険に加入する際には、万が一の備えとして、治療の選択肢を広げるためにも先進医療特約をつけておくことをおすすめします。
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