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子育てと仕事、介護の両立を支える!知っておきたい介護休業制度と2017年改正ポイント

日本の高齢化率は年々上昇しており、既に「高齢化社会」と呼ばれる割合を超えて、「超高齢化社会」へ足を踏み入れています。2016年1月に総務省に発表された日本の総人口は約1億2,682万人。そのうち65歳以上の高齢者の人口は3,372万人で、総人口のうち26.8%を占める結果となっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、これからも65歳以上の高齢者人口が占める割合は上昇し続け、2025年には30%を超えて、3人に1人が高齢者となると予想されています。
そうした高齢化が進む社会の中、深刻な問題となるのが「介護問題」です。働き盛りで仕事や子育てに忙しい最中に親が要介護になってしまった際は、一体どうすればいいのでしょうか。

■アラフォーの共働き夫婦は要注意!子育てと介護の時期が重なると、大きな負担にも……

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高齢化とともに不況による晩婚化も進んでおり、2014年での平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳でした。(参照:厚生労働省「人口動態統計」)この平均初婚年齢はここ20年ほどで4歳近くも上がっており、現在も上昇傾向です。
平均初婚年齢が上がると自ずと出産年齢も上がり気味となり、40代・50代の時点で子どもがまだ小学生・中学生、というケースも増えてきています。そんな、まだまだ子どもにお金も手もかかる時期に親が倒れ、要介護の状態になってしまったとしたらどうでしょう。生活費のほかにも、医療費や介護費、また同居していない場合は親の家に様子を見に行く際の交通費など、介護にはさまざまなお金がかかります。金銭的にはもちろん、病院に付き添ったり、寝起きや食事といった介護をしたり、時間の面でも介護は生活に大きな影響を及ぼします。夫婦ともに働いている共働き世帯の場合は、ただでさえ子育てと家庭の両立で頭を悩ませているところに、介護の問題が重なると、仕事の継続そのものが難しくなる可能性もあり、収入の減少により家計を圧迫する要因にもなりかねません。
特に注意したいのは、晩婚で出産したアラフォーの共働き夫婦です。40代で出産をした場合、子育てと介護の時期が重なってしまう可能性は充分にあります。また、40代で共働きとなると、夫婦いずれかに役職がついていることもあり収入の余裕があるため、マイホームや育児、あらゆるところにお金をかけてしまいがちです。しかし、この先親の介護が発生するかもしれないこと・そしてそれによりどちらかが仕事を最悪辞めざるを得ない場合もあることを想定したマネープランを立てることが重要です。

■子育てと仕事、介護は両立できる?介護休業制度と、2017年の改正ポイント。

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介護施設に入居させるにしても、公的施設のため入居費用が安いといわれる特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)などは入居希望者が多くなかなか入居できず、全国でも多くの入所待機者がいることが社会問題になっています。(参照:厚生労働省「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究事業」)入居待ちの間に在宅介護を続けるにしても、入居できるほかの介護施設を探すにしても時間がかかってしまいます。そうした、介護にまつわる用事を済ませるのに、有給休暇などで対処するにも限界があり、子どもが小さく手がかかる時期や、受験を控えている時期であれば尚更です。
そんな、子育てや仕事と介護の両立を支援するための制度が「介護休業制度」です。
この介護休業制度を律する「育児・介護休業法」について、就業環境の整備等をさらに進めていくために改正されることとなり、改正法が2017 年 1 月 1 日から施行されます。この改正により、制度の内容はより労働者にやさしく充実したものになります。ここでは、介護休業制度で利用できる主な制度と、改正ポイントについてお話しします。

●介護休業
1年以上勤めているなどの要件を満たした労働者は、要介護状態の家族を介護するために休業することができ、会社側は要件を満たした労働者の申し出を断ることはできません。
★改正ポイント:
改正前「対象家族1人につき、通算93日まで、原則1回に限り取得可能」→改正後「対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限として、介護休業を分割して取得可能」になります。対象となる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫です。休業中は必ずしも賃金が支払われるわけではありませんが、雇用保険から介護休業給付金の支給があります。

●介護休業給付金
上記の介護休業開始日前2年間に所定の就労実績があるなどの要件を満たしている場合は介護休業給付金が支給されます。1か月ごとの支給額は、原則として【休業開始時賃金日額×支給日数×67%】です。(※2016年8月1日前に介護休業を開始した方に適用する給付率は40%になります)

●介護休暇
介護休暇は、要介護状態の対象家族(介護休業の場合と同様)の介護や通院の付き添い、手続きなど必要な世話を行うために、一年度に5日まで取得できる休暇です。
★改正ポイント:
改正前「1日単位での取得」→改正後「半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得可能」になります。

●時間外労働などの制限、所定労働時間の短縮

要介護状態の家族を介護する労働者は、時間外労働や深夜業の免除を申請することができます。また、会社は所定労働時間の短縮やフレックスタイム制など、労働者にとって働きやすい環境作りを行う義務があります。
★改正ポイント:
改正前「介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)について、介護休業と通算して 93 日の範囲内で取得可能」
→改正後「介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用可能」になります。

■問題を抱え込まず、介護や家計のプロにも助言を求めてみよう

2017年の改正で、より柔軟な内容になった介護休業制度。これらの制度を労働者が申請した際には、会社は必ず応じる義務があり、それを理由に解雇されることはありません。とはいえ、介護休業は賃金を100%保障するものでもなく、介護休業を取ったからといって必ずしも介護施設に入居できるわけでもありません。40代・50代は仕事上でも管理職など重要な立場にある場合が多く、「休みづらい」、「休業明けに同じポストで働きにくい」といった声があることも事実です。介護休業制度を利用したとしても、子育てや仕事と介護の両立は大きな負担となってしまうでしょう。
家族1人に負担が集中しないためにも、介護は家族全体の問題と考えて取り組むことが大切です。介護サービスを提供する各自治体の窓口でお住まいの介護の状況について情報収集をしたり、万が一の場合の資金計画をファイナンシャル・プランナーに相談するなどして備えておきましょう。

※この記事は司法書士監修の元、2016年10月時点の法律・情報にもとづきニッセンライフが作成したものであり、将来、法令や税制等が変更される可能性があります。

お金に関する不安・お悩みを解決! ファイナンシャル・プランナーへの相談はこちら

奥村プロフィール写真2

監修者:奥村 浩文(司法書士・行政書士・社会保険労務士)

おくむら総合法務事務所代表 大学卒業後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士事務所勤務を経て、家業の総務担当取締役に就任。2005年より現職。トリプルライセンスを活かして、一人のお客様を多角的に支援し、幅広い司法行政手続をワンストップサービスで提供しています。 【監修者コメント】政府により一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援や介護の拡充が図られ、柔軟な働き方(テレワーク、多様な就業形態、副業等)の 在り方が検討されるなど、育児・介護支援強化の取り組みがなされています。具体的なところでは雇用保険の育休給付金、介護給付金や、介護離職防止支援助成金(新設)などが身近な制度です。 年明けから改正法が施行され、現在、それに向けた就業規則の改正を指導させていただいています。すべての事業主様がこれを実施され、職場が充実と幸福を感じられる場所になることを期待しています

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子育てと仕事、介護の両立を支える!知っておきたい介護休業制度と2017年改正ポイント

日本の高齢化率は年々上昇しており、既に「高齢化社会」と呼ばれる割合を超えて、「超高齢化社会」へ足を踏み入れています。2016年1月に総務省に発表された日本の総人口は約1億2,682万人。そのうち65歳以上の高齢者の人口は3,372万人で、総人口のうち26.8%を占める結果となっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、これからも65歳以上の高齢者人口が占める割合は上昇し続け、2025年には30%を超えて、3人に1人が高齢者となると予想されています。
そうした高齢化が進む社会の中、深刻な問題となるのが「介護問題」です。働き盛りで仕事や子育てに忙しい最中に親が要介護になってしまった際は、一体どうすればいいのでしょうか。

■アラフォーの共働き夫婦は要注意!子育てと介護の時期が重なると、大きな負担にも……

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高齢化とともに不況による晩婚化も進んでおり、2014年での平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳でした。(参照:厚生労働省「人口動態統計」)この平均初婚年齢はここ20年ほどで4歳近くも上がっており、現在も上昇傾向です。
平均初婚年齢が上がると自ずと出産年齢も上がり気味となり、40代・50代の時点で子どもがまだ小学生・中学生、というケースも増えてきています。そんな、まだまだ子どもにお金も手もかかる時期に親が倒れ、要介護の状態になってしまったとしたらどうでしょう。生活費のほかにも、医療費や介護費、また同居していない場合は親の家に様子を見に行く際の交通費など、介護にはさまざまなお金がかかります。金銭的にはもちろん、病院に付き添ったり、寝起きや食事といった介護をしたり、時間の面でも介護は生活に大きな影響を及ぼします。夫婦ともに働いている共働き世帯の場合は、ただでさえ子育てと家庭の両立で頭を悩ませているところに、介護の問題が重なると、仕事の継続そのものが難しくなる可能性もあり、収入の減少により家計を圧迫する要因にもなりかねません。
特に注意したいのは、晩婚で出産したアラフォーの共働き夫婦です。40代で出産をした場合、子育てと介護の時期が重なってしまう可能性は充分にあります。また、40代で共働きとなると、夫婦いずれかに役職がついていることもあり収入の余裕があるため、マイホームや育児、あらゆるところにお金をかけてしまいがちです。しかし、この先親の介護が発生するかもしれないこと・そしてそれによりどちらかが仕事を最悪辞めざるを得ない場合もあることを想定したマネープランを立てることが重要です。

■子育てと仕事、介護は両立できる?介護休業制度と、2017年の改正ポイント。

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介護施設に入居させるにしても、公的施設のため入居費用が安いといわれる特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)などは入居希望者が多くなかなか入居できず、全国でも多くの入所待機者がいることが社会問題になっています。(参照:厚生労働省「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究事業」)入居待ちの間に在宅介護を続けるにしても、入居できるほかの介護施設を探すにしても時間がかかってしまいます。そうした、介護にまつわる用事を済ませるのに、有給休暇などで対処するにも限界があり、子どもが小さく手がかかる時期や、受験を控えている時期であれば尚更です。
そんな、子育てや仕事と介護の両立を支援するための制度が「介護休業制度」です。
この介護休業制度を律する「育児・介護休業法」について、就業環境の整備等をさらに進めていくために改正されることとなり、改正法が2017 年 1 月 1 日から施行されます。この改正により、制度の内容はより労働者にやさしく充実したものになります。ここでは、介護休業制度で利用できる主な制度と、改正ポイントについてお話しします。

●介護休業
1年以上勤めているなどの要件を満たした労働者は、要介護状態の家族を介護するために休業することができ、会社側は要件を満たした労働者の申し出を断ることはできません。
★改正ポイント:
改正前「対象家族1人につき、通算93日まで、原則1回に限り取得可能」→改正後「対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限として、介護休業を分割して取得可能」になります。対象となる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫です。休業中は必ずしも賃金が支払われるわけではありませんが、雇用保険から介護休業給付金の支給があります。

●介護休業給付金
上記の介護休業開始日前2年間に所定の就労実績があるなどの要件を満たしている場合は介護休業給付金が支給されます。1か月ごとの支給額は、原則として【休業開始時賃金日額×支給日数×67%】です。(※2016年8月1日前に介護休業を開始した方に適用する給付率は40%になります)

●介護休暇
介護休暇は、要介護状態の対象家族(介護休業の場合と同様)の介護や通院の付き添い、手続きなど必要な世話を行うために、一年度に5日まで取得できる休暇です。
★改正ポイント:
改正前「1日単位での取得」→改正後「半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得可能」になります。

●時間外労働などの制限、所定労働時間の短縮

要介護状態の家族を介護する労働者は、時間外労働や深夜業の免除を申請することができます。また、会社は所定労働時間の短縮やフレックスタイム制など、労働者にとって働きやすい環境作りを行う義務があります。
★改正ポイント:
改正前「介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)について、介護休業と通算して 93 日の範囲内で取得可能」
→改正後「介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用可能」になります。

■問題を抱え込まず、介護や家計のプロにも助言を求めてみよう

2017年の改正で、より柔軟な内容になった介護休業制度。これらの制度を労働者が申請した際には、会社は必ず応じる義務があり、それを理由に解雇されることはありません。とはいえ、介護休業は賃金を100%保障するものでもなく、介護休業を取ったからといって必ずしも介護施設に入居できるわけでもありません。40代・50代は仕事上でも管理職など重要な立場にある場合が多く、「休みづらい」、「休業明けに同じポストで働きにくい」といった声があることも事実です。介護休業制度を利用したとしても、子育てや仕事と介護の両立は大きな負担となってしまうでしょう。
家族1人に負担が集中しないためにも、介護は家族全体の問題と考えて取り組むことが大切です。介護サービスを提供する各自治体の窓口でお住まいの介護の状況について情報収集をしたり、万が一の場合の資金計画をファイナンシャル・プランナーに相談するなどして備えておきましょう。

※この記事は司法書士監修の元、2016年10月時点の法律・情報にもとづきニッセンライフが作成したものであり、将来、法令や税制等が変更される可能性があります。

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奥村プロフィール写真2

監修者:奥村 浩文(司法書士・行政書士・社会保険労務士)

おくむら総合法務事務所代表 大学卒業後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士事務所勤務を経て、家業の総務担当取締役に就任。2005年より現職。トリプルライセンスを活かして、一人のお客様を多角的に支援し、幅広い司法行政手続をワンストップサービスで提供しています。 【監修者コメント】政府により一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援や介護の拡充が図られ、柔軟な働き方(テレワーク、多様な就業形態、副業等)の 在り方が検討されるなど、育児・介護支援強化の取り組みがなされています。具体的なところでは雇用保険の育休給付金、介護給付金や、介護離職防止支援助成金(新設)などが身近な制度です。 年明けから改正法が施行され、現在、それに向けた就業規則の改正を指導させていただいています。すべての事業主様がこれを実施され、職場が充実と幸福を感じられる場所になることを期待しています

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