健康
改正保険業法って何?保険との付き合い方はどう変わるの?

今般、保険業法が改正され、2016年5月29日、改正保険業法が施行されました。
保険業法は、契約者保護を目的とし、保険会社や保険代理店、保険募集人を対象とした法律です。今回の保険業法の改正は、保険商品や募集チャネルの多様化、保険代理店の大型化などの環境変化により、新たな対応が必要であると判断されたため、行われました。
この改正により、複数の保険会社の商品を取り扱う保険代理店(乗合代理店)は、より適正な方法で保険募集を行うことが求められるようになりました。具体的には、新しい保険募集ルールが導入され、保険代理店に適正な保険募集を行うための体制整備が求められることになりました。
この改正によって、保険を選ぶ方々にとっては何が変わったのでしょうか。
■改正保険業法の2つの柱
改正保険業法では、新しい保険募集ルールとして、保険募集人に、①顧客の意向を把握し、②顧客に適切な情報を提供することが義務付けられました。保険販売の実務面において特に重要となるのが、この①「意向把握義務」と②「情報提供義務」という2つの柱です。
【意向把握義務】
「意向把握義務」とは、今回の改正で新たに追加されたもので、顧客が保険の加入を検討する際にどんなご要望があるのかということを正確に把握する、すなわち「意向を適切に把握する義務」です。
保険募集人は、最終的な顧客の意向が確定した段階において、その意向と当初把握した主な顧客の意向を比較し、両者が相違している場合にはその相違点を確認するなどの対応をとることが求められます。
【情報提供義務】
情報提供義務とは、保険募集人が販売・勧誘する具体的な保険商品の内容の説明に関する規定です。従来の保険業法では、虚偽説明の禁止、誤解を与える比較表示の禁止といった禁止規定が中心でしたが、改正保険業法では、積極的な情報提供義務が保険募集人に課されています。そのひとつとして、複数の保険会社の保険商品を販売する保険代理店(乗合代理店)は、それぞれの商品について比較・推奨販売を行う場合には、顧客に対して適切に説明を行うことが求められています。
また、保険商品の説明はもちろんのこと、重要な付帯サービスについての説明も義務付けられています。
■保険契約の手続きでは何が変わる?
まず、「意向把握義務」の制定により、保険ショップや、自宅に来訪する保険募集人に、保険について相談する際に、最初にアンケートなどへの回答を求められるようになります。保険募集人は、それらを証跡として保存する必要があるため、口頭での質疑応答だけでなく書類作成への協力が求められます。そのため、従来よりも手続きに時間がかかるようになると予想されますが、その分確実性が高くなるといえます。
また、過去に保険相談に行ったとき、同じ保険代理店なのに「担当者(保険募集人)によって説明のプロセスや保険の選び方・すすめ方が違う」と感じた方がいるかもしれません。しかし、改正保険業法では、複数の保険会社を取扱う保険代理店(乗合代理店)では、比較可能な商品を明示したうえで、推奨理由を説明することが義務化されました。この「比較・推奨販売」において、保険代理店は、商品を推奨する基準や記録について、一定のルールを設けることが定められました。そのため、保険募集人個人の個性や考え方に左右されにくく、保険代理店が定めたルールに基づいた対応や手続きが受けられるようになることが期待できます。
■保険選びにおいて
「情報提供義務」の制定によって、保険募集人から受ける説明は質量ともに増えることになります。
特に前項でお話しした比較・推奨販売においては、各保険代理店のルールにもとづき適切な説明をすることが求められています。また、前記のように、付帯サービスについても丁寧な説明が行われます。
保険を選ぶ側にとってより選ぶ時間がかかることになるかもしれませんが、より広い視野をもった保険選びが可能になったといえるのではないでしょうか。
※この記事は弁護士監修の元、2016年10月時点の法律・情報にもとづきニッセンライフが作成したものであり、将来、法令や税制等が変更される可能性があります。
お金に関する不安・お悩みを解決! ファイナンシャル・プランナーへの相談はこちら
監修者
吉田 桂公(弁護士・公認不正検査士)
今般の保険業法改正の目的は、「顧客保護」「消費者保護」にあります。改正により、従前よりも、お客様のご意向の把握や商品比較の説明等に時間を要することになるかもしれませんが、お客様が適切な商品に加入するために必要なプロセスですので、ご理解を頂ければと存じます。 (所属事務所:のぞみ総合法律事務所 )