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1,000万円貯金するには何年かかる?最短で貯めるための方法とは

1,000万円貯金するには何年かかる?最短で貯めるための方法とは

「貯金1,000万円」と聞くと、多いと感じますか?少ないと感じますか?
毎月20万円・年間240万円生活費として使う場合、約4年で1,000万円を使い切る計算になります。
そう考えると、意外と少ないかもと思った方は多いのではないでしょうか。

使うのはあっという間でも1,000万円を貯めるのは難しそう、そんなことをできるのは年収が多い人だけなんじゃないか、と思われがちですが、実際にはそんなことはありません。
収入が多くなくてもコツさえつかめば1,000万円を貯めることは可能です。
そこで今回は、世代別の平均貯蓄額や1,000万円貯めた人の割合、貯金1,000万円を達成する方法を紹介します。

貯蓄が1,000万円以上ある人は二人以上世帯で41.9%、単身世帯で32.4%

株式などを含めた金融資産の保有額が1,000万円以上ある世帯のうち、1,000万円以上1,500万円未満の割合は、二人以上世帯で10.8%、単身世帯で7.3%です。

金融資産保有額の平均値は二人以上世帯で1,698万円、単身世帯で1,348万円となっており、そのうち預貯金での保有額は二人以上世帯で739万円、単身世帯で572万円という結果になっています。
預貯金以外では投資信託をはじめ、保険や財形貯蓄などがあり、年代や年収によって保有する項目の割合に違いが見られます。

それでは、年代別・年収別の金融資産保有額をみてみましょう。

年代別にみた貯蓄が1,000万円以上ある人の割合

平均値はかけ離れた数値が集計値に影響しやすく、現実的な数値とかけ離れる可能性があるため、中央値でみていきます。

金融資産保有額の中央値は二人以上世帯では60代と70代、単身世帯では70代で金融資産保有額が1,000万円を超えています。
二人以上世帯・単身世帯共に、50代以降は3,000万円以上保有している人の割合も高いため、お金を持っている人と持っていない人の差が、20代から40代と比べると大きい傾向があります。

【年代別】金融資産保有額1,000万円以上の割合

 世帯主の年齢

二人以上世帯

単身世帯

1,000万円
以上の割合

金融資産保有額
中央値

1,000万円
以上の割合

金融資産保有額
中央値

20代

5.4%

200万円

4.0%

110万円

30代

21.3%

390万円

20.1%

270万円

40代

28.9%

500万円

31.2%

374万円

50代

43.4%

810万円

37.1%

610万円

60代

54.8%

1,270万円

47.5%

950万円

70代

56.3%

1,200万円

49.8%

1,000万円

金融資産の保有割合は全年代において預貯金が最も高くなっています。
二人以上世帯と単身世帯の大きな違いは、預貯金以外の項目の割合です。
二人以上世帯では、預貯金の次に株式、その次に生命保険となっているのに対して、単身世帯では預貯金、株式、投資信託となっている年代が多いです。

万一に備えつつ貯蓄機能がある保険を二人以上世帯は選ぶ傾向があり、単身世帯は保障よりも運用をして積極的にお金を増やしたいという傾向が見られます。

年収別にみた貯蓄が1,000万円以上ある人の割合

金融資産保有額の中央値は二人以上世帯では年収が750万円以上、単身世帯では年収500万円以上で金融資産保有額が1,000万円を超えています。
二人以上世帯は年収が高くても単身世帯よりも支出も多い分、金融資産保有額や割合が単身世帯よりも低くなっています。

【年収別】金融資産保有額1,000万円以上1,500万円未満の割合

 

二人以上世帯

単身世帯

1,000万円
以上の割合

金融資産保有額
中央値

1,000万円
以上の割合

金融資産保有額
中央値

収入はない

9.1%

200万円

24.4%

310万円

300万円未満

27.2%

330万円

28.0%

320万円

300~500
万円未満

38.0%

601万円

29.9%

410万円

500~750
万円未満

40.3%

700万円

50.0%

1,050万円

750~1,000
万円未満

53.9%

1,134万円

73.5%

1,950万円

1,000~1,200
万円未満

56.9%

1,275万円

86.6%

3,600万円

1,200
万円以上

70.5%

2,100万円

80.0%

5,500万円

金融資産の保有割合は全年収帯において預貯金の割合が最も高いものの、年収が増えると預貯金の割合が下がっていく傾向があります。
実際に、500万円~750万円の単身世帯では、預貯金よりも株式の割合が高くなっています。

年代別と同様に年収別であっても、二人以上世帯では、預貯金の次に株式、その次に生命保険となっているのに対して、単身世帯では預貯金、株式、投資信託となっています。

 

1,000万円を貯めるために必要な年数は金利によって大きく変わります

1,000万円の貯金を達成するためには、具体的にどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

毎月同じ額を積み立てるとして、金利が年0.002%の積立定期預金(銀行)と、積立投資信託が年3%の利回りで運用できた場合では、どれくらい金額に違いがあるのか見ていきましょう。

金利0.002%の積立定期預金の場合

経過年数

毎月3万円

毎月5万円

毎月7万円

毎月9万円

5年後

180万50円

300万99円

420万146円

540万196円

10年後

360万243円

600万438円

840万627円

1,080万822円

15年後

540万580円

900万1,015円

1,260万1,443円

1,620万1,878円

20年後

720万1,061円

1,200万1,832円

1,680万2,594円

2,160万3,365円

25年後

900万1,685円

1,500万2,888円

2,100万4,079円

2,700万5,283円

30年後

1,080万2,452円

1,800万4,183円

2,520万5,899円

3,240万7,630円

金利0.002%の積立定期預金の場合、月々3万円の積立で、1,000万円が貯まるには30年かかります。

しかし、月々3万円なら、収入が高くない人でも無理なく着実に貯めることができるのではないでしょうか。
少しゆとりのある方なら、月々9万円の貯金で10年あれば1,000万円を貯めることができるので、ゴールは近いでしょう。
さらに、ボーナスなどの臨時収入も貯金にまわせば、もっと短い期間で貯金1,000万円を達成することができます。

現在は金利が低いため利息に期待をすることができませんが、景気が回復して金利が上がればもう少しゴールが近づく日が早くなるでしょう。

積立投資信託が年3%の利回りで運用できた場合

経過年数

毎月3万円

毎月5万円

毎月7万円

毎月9万円

5年後

193万9,401円

323万2,336円

452万5,270円

581万8,204円

10年後

419万2,243円

698万7,071円

978万1,899円

1,257万6,728円

15年後

680万9,181円

1,134万8,634円

1,588万8,088円

2,042万7,542円

20年後

984万9,060円

1,641万5,100円

2,298万1,140円

2,954万7,180円

25年後

1,338万235円

2,230万391円

3,122万548円

4,014万704円

30年後

1,748万2,107円

2,913万6,844円

4,079万1,582円

5,244万6,320円

投資信託は利回りが高くなると価格変動リスクも高くなりますが、年利3%だと毎月5万円で15年経つと1,100万円の貯金ができる計算になります。

毎月9万円を30年間積み立てる場合、金利0.002%の積立定期預金では3,240万9,695円、一方利回り3%の積立投資信託では5,244万6,320円なので、約2,000万円以上も差が出るという結果になります。

 

効率よく1,000万円を貯めるために有効な方法3選

毎月決まった額を銀行に入れるだけではなかなか貯まらないので、積極的に運用をして増やすことも重要です。
具体的にどんな運用方法があるのかをメリット・デメリットとあわせて紹介します。

NISA(ニーサ)

積立投資信託を検討しようと考えている人には、NISAを利用することをおすすめします。

NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度のことで、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に税金がかからなくなる制度です。
一般NISAとつみたてNISAがありましたが、2024年につみたて投資枠と成長投資枠に変わりました。

表:2024年以降NISAの概要

出典:金融庁「新しいNISA」よりニッセンライフ作成

成長投資枠は、投資信託はもちろん上場株式などの幅広い商品があり、目的やニーズに応じて商品を組み合わせられます。
つみたて投資枠は、長期の積み立て分散投資を目的としており、金融庁が認める一定の投資信託から選びます。
少額から始められる商品もあるので、投資が初めての方は、つみたて投資枠で投資を始めてみてはいかがでしょうか。

なお、NISAを利用できる投資枠は決められていること、NISAはすべての金融機関を通じて1人1口座しか持つことができないため、口座のない金融機関が取り扱う金融商品に投資することはできません。金融機関の変更はできますが、変更できる期間が決まっている・手続きに時間がかかることから、NISAを始めるなら金融機関選びも重要なポイントになります。

確定拠出年金(企業型・個人型[iDeCo])

確定拠出年金とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。
確定拠出年金には、企業年金の一つで事業主が掛け金を拠出する「企業型年金」と、個人で加入して本人が掛け金を拠出する「個人型年金(iDeCo)」があります。
確定拠出年金は定期預金や保険商品、投資信託などから運用商品を選び、掛金でどの運用商品をどれだけ購入するかの配分を決めて運用していきます。

確定拠出年金には3つの税制優遇措置があるのが特長です。

1つ目は、運用益が全額非課税になるところです。
通常、金融商品を運用すると運用益に約20%課税されますが、非課税で再投資が可能です。

2つ目は掛け金が全額所得控除されるところです。
企業型の場合、企業が拠出するお金とは別に従業員も拠出することができ、これを「マッチング拠出」と言います。
マッチング拠出の掛け金や、個人型に加入している方の掛け金は、全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。

3つ目は、年金資産を受け取ったときに控除の対象になるところです。
確定拠出年金は原則60歳以降に一時金または年金形式でお金を受け取りますが、どちらの形式を選択しても税制優遇が受けられます。
一時金であれば「退職所得控除」、年金であれば「公的年金等控除」が対象になり、税金が軽減されます。

ただし、確定拠出年金は原則として60歳まで運用した資産を引き出すことができませんので留意しましょう。

外貨建保険・変額保険

外貨建保険は、保険料をアメリカドルやオーストラリアドル、ユーロなどの外貨で支払い、死亡保険金や年金、解約返戻金を外貨で受け取る保険です。
メリットは、金利の高い外貨で契約すれば、円建ての商品よりも保険料が安くなる・利回りが高くなる傾向があります。
デメリットは、保険金や年金を外貨で受け取るときの為替相場によって損益が出る「為替リスク」があります。

変額保険は、株式や債券を中心に資産運用を行い、運用実績によって保険金や解約返戻金が変動する保険です。
メリットは、死亡・高度障害保障を備えつつ、特別勘定の運用実績は市場の影響を受けるためインフレリスクに強く、保険金額や年金額が増える可能性があります。
デメリットは、死亡保障などの費用がかかるため投資信託などの純粋な投資商品と比べると運用コストが高くなります。

外貨建保険と変額保険は、生命保険料控除の対象になるので、一定の条件を満たせば所得税と住民税の負担が軽減されます。

 

1,000万円貯めるための費用を捻出するには固定費の見直しがキモ

貯金をしようと決めたら、多くの人が食費を節約することや、交際費を削ることを考えます。
もちろん、食費の無駄を減らすことや会社帰りの飲み会を減らして節約をすることも大切ですが、節約のために知っておきたいポイントがあります。

先取貯金をする

確実に貯金するためには、先取り貯金をおすすめします。
余ったお金を貯金するのではなく、収入があった時点で先に貯金をすることを先取り貯金といいます。
生活費として使ってしまわないように、給料が入ったら別の口座に移したりする方法が一般的です。
デメリットとして、手間がかかることや、生活費が足りなくなって結局使ってしまうということがあります。

NISAのつみたて投資枠や確定拠出年金、保険なら、毎月口座やクレジットカードなどで引き落としできるので、手間がかからないことや貯金が苦手な方でも自動的に貯まっていく仕組み作りがしやすくなっています。

ほかにも、勤務先に財形貯蓄制度がある場合は、活用することもよいでしょう。
財形貯蓄とは、勤め先の会社が福利厚生の一環として導入している制度のひとつで、毎月の給与やボーナスから一定の金額が自動的に貯蓄されます。

ただし、急にお金が必要になったというときに、払い出すのに所定の手続きが必要なこと、運用に保険や投資信託を利用する財形貯蓄の場合は元本割れする可能性があるので、流動的に使えるお金もある程度準備したうえで併用するといいでしょう。

固定費の見直し

まず住居費や通信費など毎月かかる固定費の見直しをしましょう。実は固定費こそ、節約できる可能性が高いのです。
毎月必ず支払っている費用を見直すことで、貯金1,000万円に近づくことができます。

賃貸マンションの更新が近いという方は、思い切って引っ越しを考えてみてはいかがでしょうか?
今お住まいの家賃が10万円の場合、8万円のマンションに引っ越しをすると、1か月2万円も貯金にまわすことができます。1年間で24万円はかなり大きい節約です。

また、スマホをキャリア契約から格安SIMに変更すると、月々約5,000円の節約になります。また、スマホでの通話が中心で固定電話の使用が減っている場合は、固定電話の解約を検討しても良いでしょう。

ほかにも保険料の見直しや電気やガスの契約変更など、固定費を見直すことで貯金1,000万円達成に近づくことができます。

クレジットカードを上手に使う

1つクレジットカードを決めて、普段の買い物はなるべくカードを使うとポイントを貯めて活用することができるので、節約につながります。
またカードの利用明細を見ると、「いつ」「何を買ったのか」がわかるので家計簿代わりにもなります。

ただし、クレジットカードを使う際には、気を付けたいことが2つあります。
1つ目は、現金と違って残金が見えにくく、つい使い過ぎてしまうことがあるため、使った金額を把握しながら利用するようにしましょう。
2つ目は、必ず1回払いにするというルールを守ることです。リボ払いやキャッシングを利用すると金利を払わなければならなくなります。クレジットカードはできる限り1回払いで利用しましょう。

1,000万円貯まったら終わりではありません

目標にした貯金1,000万円を達成したあとも継続していただきたいのは、達成するために続けてきた習慣です。
1,000万円を貯めるためには、今までの生活で当たり前だったことを変えて、節約をしたり無駄をなくしたりしなければなりません。
せっかく無駄のない生活を習慣化したのであれば目標を達成しても続けましょう。
子供の教育費、老後の生活費、いざという時の蓄えとしてなど、お金が必要となる場面は多々あります。
無駄をなくして本当に必要なものや、やりたいことにお金をかけることができれば、より充実した人生を送ることができます。

貯金1,000万円を達成するためにはどうしたらよいのか、自分で考えて、実行することが難しい人は、お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談しましょう。
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※この記事は2024年2月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

出典

金融広報中央委員会「令和4年(2022年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/
 
金融広報中央委員会「令和4年(2022年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/

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