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【大学生の国民年金】子供の保険料を親が支払う場合のメリットと注意点

【大学生の国民年金】子供の保険料を親が支払う場合のメリットと注意点

子供が20歳に近づいたら考えなくてはいけないのが、子供の「国民年金」の加入について。

この記事では学生の国民年金について、手続きの詳細や保険料の支払い方などを解説します。
結論としては、学生であっても20歳になったら国民年金への加入が義務付けられているため、保険料の支払いは必須。
保険料については以下いずれかの方法で対応します。

  • 子供が自分で保険料を納付する
  • 学生のうちは親が保険料を立て替える、または親が保険料を負担する
  • 学生納付特例制度を使い、子供が就職したら追納する

子供の国民年金について知りたい方、子供の将来の資産形成について考えてみたい方、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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20歳になったら国民年金への加入が義務

日本国内に住んでいる人には、20歳の誕生日を迎えた時点で「国民年金」に加入し、年金保険料を支払う義務が発生します。
加入の義務は、学生であっても同じで、20歳の学生は国民年金の「第1号被保険者」にあたるのです。
なお「第2号被保険者」は会社員や公務員のこと。
そして「第3号被保険者」は第2号被保険者に扶養されている、20歳以上60歳未満で年収130万円未満の配偶者が該当します。

通知が来るまでに何をすべきか、通知が来たらどのように対応したらよいのかを知っておけると安心。

なお2023年時点で、第1号被保険者の保険料は月額1万6,520円です。

 

国民年金の加入通知とは?通知が来る時期と内容について

20歳の誕生日を迎えた後2週間以内に国民年金(第1号被保険者)に加入したことを知らせる通知「国民年金の加入通知」が届きます。
加入通知には以下の書類も同封されます。

  • 基礎年金番号通知書
  • 国民年金加入のお知らせ
  • 国民年金保険料納付書
  • 国民年金の加入と保険料のご案内(パンフレット)
  • 保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書
  • 返信用封筒

基本的に強制加入なので、加入の手続き自体は不要です。
国民年金保険料を払い込むか、学生納付特例制度を利用して保険料の納付を猶予してもらうかの二択になります。

学生納付特例制度は、大学・短大に限らず、高校・特別支援学校・専修学校など所定の学校に在学している人が対象です。
夜間・定時制課程や通信課程も含まれるので、ほとんどの学生が対象になります。


もうすぐ20歳の誕生日。国民年金の加入にむけてすべきこと

20歳になったら国民年金の加入者になります。
国民年金の加入通知が届く前に準備・決めておくべきこと。
そして加入通知到着後にすべきことを、順序立てて説明していきます。

 

  1. 加入通知が到着するまでに保険料払込方法の方針を決める。
    ・子供が保険料を支払う
    ・親が保険料を立て替える、または保険料を負担する
    ・学生納付特例を利用して、社会人になってから子供自身で追納する
  2. 国民年金の加入通知を受け取る。
    ※もし20歳の誕生日を迎えて2週間程度経過しても届かない場合、窓口に問い合わせてみましょう。国民年金の問い合わせ先は、管轄の年金事務所市区町村役場の年金課です。
  3. 子供または親が保険料を納付する場合
    加入通知に同封されている「国民年金保険料納付書」で、納付期限までに保険料を納付する。
    学生納付特例を申し込む場合
    学生納付特例制度の申請書を返信用封筒で返送する。または年金事務所窓口に提出する。

学生納付特例を選択する場合、加入通知が到着次第できる限り早く手続きをする必要があります。
20歳を迎える前までに保険料支払い方針を家族で話し合っておきましょう。

子供が国民年金保険料を払えないときの対応

本来は加入者自身が国民年金保険料を負担するもの。しかし学生が月2万円近い保険料を負担するのは、現実的に考えても厳しいものがあるでしょう。

子供自身が毎月保険料を支払うことができない場合、代わる手段は大きく分けて2つ。
「親が保険料を立て替える」か、「学生納付特例を使って保険料の納付猶予期間を取得する」かです。

厚生労働省がまとめた「国民年金被保険者実態調査」によると、学生の国民年金保険料納付状況は「学生納付特例」を選択している人は約64%。納付者の割合は約25%であり、約9%は納付も学生納付特例の申請もしていない「未納者」となっています。

親が保険料を立て替える場合のメリットや注意点について、国民年金保険料を支払わずに放置した場合のリスク、学生納付特例の概要について解説していきます。

親が立て替える方法

親が子供の国民年金保険料を立て替えるには、日本年金機構から送られてくる「納付書(国民年金保険料納付案内書)」を使用して親自身が保険料を支払えば問題ありません。保険料の納付は、コンビニエンスストアや金融機関の窓口で行えます。

<親が立て替える・負担するメリット>

  • 社会保険料控除が利用できるため、保険料を支払った年に税制上の優遇を受けられる
  • 前納を選択すれば、保険料が割り引かれる

<親が立て替えるときの注意点>

  • 子供がどのように立て替えた保険料を親に返済していくのかを明確にし、家族で話し合っておく必要がある
  • 納付し忘れると子供の将来の年金や障害年金の受給に影響するため、クレジットカード払や口座振替扱にするなどで忘れずに管理する必要がある

親が保険料を支払う最も大きなメリットは、親が子供の国民年金保険料を支払うことで税制上の優遇を受けられる点です。所得控除のひとつ「社会保険料控除」が適用され、払い込んだ保険料分が所得から控除されます。
社会保険料控除を受けるには、日本年金機構から送付される「国民年金保険料控除証明書」を添付して年末調整や確定申告をしましょう。

なお、可能であれば保険料の割引がある「前納」で払い込むことをおすすめします。
半期前納、1年前納、2年前納のいずれかを利用でき、前納期間が長いほど割引率が高くなる仕組みです。
2年前納で払い込むと、月々の払い込みと比較して2年間で約1万5,000円も割引になります。

保険料を払わずに放置するのは絶対にNG

親が保険料を立て替えるつもりだったのに、保険料の納付を忘れていた場合は保険料の「未納」扱いになります。
未納状態だと、被保険者である子供にもしものことがあり身体に障害を負ったときに障害年金が受けられない可能性があります。

保険料を納付すると決めたら、必ず納付期限までに保険料を支払うこと。
学生納付特例を利用する場合は、加入通知が到着したらすぐに手続きをしましょう。

学生納付特例制度とは

学生納付特例制度を利用すると、大学や専門学校、大学院など20歳以上の在学中の学生は保険料払込の猶予期間を取得可能に。そして後から追納することで、将来的に満額の年金が受け取れます。
学生納付特例を利用するには、学生本人の所得が一定の基準以下であることが条件です。

<学生本人の所得基準>
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

追納をする場合は、保険料の免除もしくは納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
また、追納できる期間は10年間で、その期間にあたる20代から30代は結婚や妊娠・出産といったライフイベントがありお金が必要になることが多いです。
通常の年金の支払いに加えて追納分も必要になるため、費用負担が増えると追納せずにそのままという方もいるでしょう。
追納しなければ将来受け取れる年金額は少なくなります。

親が保険料を払ってあげると税制優遇も受けられるので、長い目で考えると贈与するよりもお得かもしれません。

 

国民年金をきっかけに子供と将来のお金について話し合おう

20歳になったら国民年金の第1号被保険者です。
国民年金の加入通知が届いたら、親だけで対処せず当事者である子供と一緒に考えましょう。
保険料の払い込みはどうするかについて話し合い、手続きは本人にさせることで「年金」に対する当事者意識を持たせることが大切です。

国民年金の加入通知を「将来のお金」について考えるきっかけにし、以下の事柄について話すこともおすすめします。

  • 親の加入している保険について
  • 老後のための資産形成の知識「公的年金」と「私的年金」など
  • 親の老後の予定について

今後はますます自助努力での資産形成が必要になる時代がやってきます。
子供には早い内から「お金」に対する知識を付け、老後への備えをしていってもらいたいですね。
まずは身近な「年金」から、じっくりと話し合ってみてください。

 

まとめ

大学生の国民年金の加入や保険料の払い込み方について解説していきました。
以下に大切な内容をまとめます。

  • 学生であっても、20歳になったら国民年金の加入は義務
  • 保険料は親が支払うか、学生納付特例を利用する方法がおすすめ
  • 親が支払う場合、払い込んだ保険料は社会保険料控除として税制上の優遇が受けられる
  • 学生納付特例を利用する場合、速やかな手続きが必須
  • 保険料を払わないで放置すると、子供が万が一障害状態になったときに障害年金が受給できない可能性がある

お金のこと、将来のことについて考えるときは、公的年金制度や社会保障制度についてしっかり理解する必要があります。
しかし、独学では難しい・理解するまでに時間がかかることがあるので、専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談することをおすすめします。

FPは、税制、保険、年金制度、投資など幅広い知識を持っています。お客さまが抱えるお金の悩みを解決するために、収入や支出、資産、負債などに関するデータをおうかがいし、改善方法を提案、実行できるようにサポートを行います。

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【記事のまとめ動画】

※この記事は2024年2月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

出典

「令和5年4月分からの年金額等について」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2023/202304/0401.html

「令和2(2020)年 国民年金被保険者実態調査 結果の概要」(厚生労働省年金局)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/140-15a-r02-01.pdf

執筆者

pomoco

pomoco

元金融会社勤めのフリーランスライター/2級FP技能士資格保有
FP資格の知識を生かし、金融全般や家計といったジャンルを中心に執筆活動中。
会社員のときに感じていた「ワーママの毎日に楽しい!を増やしたい」というテーマで、日々情報を発信しています。

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