家計

100万円以上かかることも! 始める前に知っておきたい、不妊治療とお金のハナシ (2)

100万円以上かかることも! 始める前に知っておきたい、不妊治療とお金のハナシ (2)

■知らないと勿体ない!不妊治療の助成制度

前回の記事で家計を圧迫してしまう不妊治療費の実態についてお話ししましたが、年々進行する深刻な少子化に歯止めをかけるべく、国でも積極的に不妊治療を支援する助成制度を設けています。助成制度は大きくわけて2種類あり、【1】市区町村(各自治体)が独自に内容を定めて実施している助成制度と、【2】国が制度を定めて都道府県が実施している体外受精・顕微受精(特定不妊治療)に対する助成制度とがあります。

【1】市区町村(各自治体)が独自に定めて実施している助成制度 【2】国が制度を定めて都道府県が実施している体外受精・顕微受精(特定不妊治療)に対する助成制度
タイミング法や人工授精などの「一般不妊治療」と呼ばれる治療も含めて各自治体が独自に助成の内容を定めているため、住んでいる地域により受けられる内容が異なる。 生殖補助医療(特定不妊治療)のみ限定して助成する制度で、全国共通でどの地域に住んでいる者も対象条件を満たせば受けることができる。
※2016年4月より対象条件が一部変更


【1】の制度は地域によって内容が異なります。たとえば同じ東京都でも、港区では国の制度に上乗せして初回の助成額を拡充する取り組みを実施、対して品川区では「一般不妊治療費助成事業」と称して医師が必要と認めた不妊の検査、タイミング法・薬物療法・人工授精などの一般不妊治療にかかる医療費の自己負担額の2分の1を助成しているなど、自治体によってその内容はさまざまです。地域によっては実施していない場合もあるためまずはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

【2】の助成制度は特に家計を圧迫する要因となってしまう特定不妊治療に対する助成で、1回につき約20万円~60万円と高額になりがちな治療費のうち15万円を限度に助成されてきました。

しかし、この特定不妊治療の助成制度。2016年4月1日以降助成内容が変更になり、対象年齢に制限が設けられるなど条件が厳しくなってしまったため注意が必要です。
※上記制度内容は2016年9月時点の調査にもとづくものです。

■特定不妊治療の助成対象が2016年4月から変更に

2016年4月から変更になった最大のポイントは、助成対象の年齢に制限ができ、43歳以上の方は助成を受けることができなくなってしまったことでしょう。年間の実施回数に制限がなくなったことはありがたいことですが、通算の限度回数も以前より少なくなり、現在、アラフォーで結婚・子作りを考えている人にとっては、不妊治療を続けるうえで厳しい条件になってしまったと言えます。

【特定不妊治療助成制度・旧制度と新制度の比較】

対象年齢 助成金額 年間助成金額 通算助成金額
旧制度 限度無 1回最大15万円 年間2回 通算10回
新制度 43歳未満 1回最大15万円 限度無 初回40歳未満通算6回

初回40歳未満通算3回


※治療のステージごとに助成金額は異なります。お住まいの都道府県に問合せください

※助成制度の利用には夫婦合算で730万円までの所得制限があります
「自分たちはアラフォーになる前に子どもをつくる予定だから大丈夫」と考えている方は、たとえ1人目が比較的早く授かれたとしても、2人目がなかなかできず気付いたら40代で2人目不妊ということになるかもしれません。結婚したものの、仕事が忙しくつい子作りのタイミングを逃したままずるずると40代にさしかかっていた、ということもありえます。ほしいと思ったタイミングで、子どもが必ず授かれるという保障はどこにもありません。せっかくの助成制度を有利に活用できるように、あらかじめ子どもを産もうと思う年齢はいつなのか、ライフプランを立てておきましょう。

■妊娠するまでと、子どもが生まれてから。両方あわせたマネープランを



子どもをもつことは人生のライフイベントの中でも特に重要なことの一つですが、結婚や住宅の購入などと違い、自分ではコントロールしきれない要素もあるのが「妊娠」です。だからこそ、もしも不妊治療をすることになった場合はお金を「どこまで」かけるのか、「いつまで」継続するのかを夫婦でしっかり話しあっておくことが必要です。
そして、もっとも重要なのは、妊娠はゴールではないということです。予定どおり妊娠できたとしても、妊娠・出産のあとには長い子育て期間が待っており、更に多くのお金が必要になることでしょう。マネープランを立てる際には、子どもができるまでではなく、産まれてからの子育て費用、教育資金の準備もあわせて長期の視点で考えることが大切です。
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