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【投資初心者向け】分散・長期・積立投資でリスクを減らして賢くお金を増やそう

【投資初心者向け】分散・長期・積立投資でリスクを減らして賢くお金を増やそう

人生100年時代になり、ゆとりある老後生活を送るには公的年金のみでは不足する可能性があることから、自助努力による資産形成が推奨されています。

「投資をしてお金を増やしたいけど、何から始めたらいいかわからない。」
「増やそうとしたのにお金が減ってしまったらと思うと、なかなか投資を始める勇気が出ない。」
といった方は多いのではないでしょうか。

このコラムでは投資をこれから始めてみたいけどリスクが心配という方向けに、投資のリスクにはどんなものがあるのか、投資のリスクを下げる方法、おすすめの金融商品を紹介します。

投資の主なリスクとは

投資について詳しくなくても、投資にはリスクがあり貯めてきたお金が減る可能性があることは何となく知っているという方は多いでしょう。
どんなリスクがあるのかを知っておくことで漠然とした不安が少なくなります。

なお、投資においてリスクというのは単に損をするという意味ではなく、価格が変動しリターン(収益)が不確実であるということ言います。
主な投資のリスクは5つあり、株価変動リスク、信用リスク、流動性リスク、金利変動リスク、為替変動リスクがあります。

  • 株価変動リスク
    株(株式)の価格が上がり下がりする可能性のこと。
    株価は政治・経済情勢、発行企業の業績、市場の需給などによって変動します。

  • 信用リスク(デフォルト・リスク)
    株式や債券を発行している企業や国が財政難や経営不安などによって、債務不履行に陥る可能性のこと。
    国や企業が破綻するケースだけではなく、その可能性が高くなり債券や株式が下落することも信用リスクに含まれます。

  • 流動性リスク
    金融商品を売却あるいは購入しようとする際に、買い需要がなく売却不可能、あるいは売り供給がなく購入不可能などになる可能性のこと。
    例えば、現金は極めて流動性リスクがゼロに近く、不動産投資は金額が高く売却に時間がかかるため流動性リスクは高めです。

  • 金利変動リスク
    金利の変動により資産の価値が変動する可能性のこと。
    一般的に市場金利が上昇すると債券価格が下落し、市場金利が下落すると債券価格が上昇します。

  • 為替変動リスク
    金融商品そのものの価値が下がらなくても、為替の変動が資産運用に影響する可能性のこと。
    例えば1ドル100円で購入した金融商品は、1ドル120円(円安)になった場合は資産価値が上がり、1ドル80円(円高)になった場合は資産価値が下がります。


投資方法の王道である分散投資、長期投資、積立投資とは

投資方法には、分散投資、長期投資、積立投資があります。
3つの方法をうまく組み合わせることによって、5つの投資リスクを減らすことが可能です。
どんな方法なのか具体的な例をあげながら解説します。

分散投資とは株式や債券など、投資の対象商品を複数組み合わせること

投資の収益(リターン)と収益の振れ幅(リスク)は比例しており、リターンが多いほどリスクも高くなります。
分散投資は、リターンとリスクの特性が異なる商品を組み合わせて強みや弱みを補填し、収益を安定化させる効果があります。

投資では「たまごは一つのカゴに盛るな」という格言がよく用いられます。
持っているすべてのたまごを一つのカゴに盛っていると、万が一そのカゴを落としたときに、たまごが全部割れてしまう可能性があります。
もし、いくつかのカゴに分けてたまごを盛っていれば、全部のたまごが一気に割れるリスクは少なくなります。

投資で考えてみると、高リスク・高リターンの商品のみに投資していると下落したときの損失は大きくなりますが、低リスク・低リターンの商品を組み合わせて保有することで、損失を抑えることや補うことができます。


長期投資とは10年や20年など、長い期間投資し続けること

価格が変動する金融商品は、5年などの短期間でみると上昇・下落の幅が大きく、損益に差が発生しやすくなります。
最低でも10年以上保有・投資し続けることによって、一時的に価格が下落した場合でも収益が安定しやすくなります。

また、長期投資をすることで複利効果が得られるところもポイントです。
複利とは、運用で得た利益を次の投資にも組み入れて運用し、どんどん元本を増やす運用方法のことを言います。
長く投資すればするほど複利の恩恵も受けられるので、収益の安定化につながります。

積立投資とは、月1万円など毎月決まった額で継続的に投資をすること

投資の難しさを感じるところは、「値動きを予測して、価格が下がったときに購入し上がったときに売却する」という投資タイミングの見極めではないでしょうか。

積立投資をすることで、自然と購入するタイミングを分散することができるため、投資するタイミングを見極める必要がなくなります。

毎月一定額で購入すれば、価格が低いときに多く購入し、高いときに少なく買うことになり、トータルでみると平均購入額を低く抑えることができます。




投資初心者の方におすすめの金融商品3選

投資リスクを減らす方法である分散・長期・積立投資がしやすく、初心者の方もチャレンジしやすい3つの金融商品を紹介します。
貯めて増やしたお金を、いつ・どのように使いたいのかなど目的に応じて商品を使い分けるといいでしょう。

NISAを活用した投資信託

NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度のことで、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に税金がかからなくなる制度です。
つみたて投資枠と成長投資枠があり併用することが可能で、2つの枠あわせて1,800万円まで無期限・非課税で保有ができます。※成長投資枠は1,200万円(内数)
投資ができる商品は、つみたて枠と成長投資枠で違いがあります。

  • つみたて投資枠
    長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託。
    販売手数料はかからず信託報酬(運用中の手数料)は一定水準以下など、金融庁が認めた商品に限定されているため、投資初心者の方におすすめの投資枠です。
  • 成長投資枠
    日本や海外の上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、投資信託など。※整理・管理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などを除外。
    多くの商品の中から自分のニーズに合わせて選びたい、積極的に投資をしたい方におすすめの投資枠です。

投資信託は1,000円など少額で始められる商品があります。
資金に余裕がある場合は一括で購入することも可能です。
運用中でも途中で引き出す(運用商品を売却する)ことができるので、流動性が高い金融商品です。

しかし、売却する商品やタイミングによっては、信託財産留保額がかかる、値下がりしていて利益が落ちている、複利効果がなくなるなどのデメリットもあるので、慎重に検討しましょう。

確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)

確定拠出年金とは、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。
掛金を事業主が拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)と、加入者自身が拠出するiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。
運用商品は、投資信託、保険商品、預貯金などの中から加入者自身で選んで運用をします。

会社員の場合、会社が福利厚生や退職金制度の一部として企業型DCが導入されているケースが増えています。
この場合、掛金は企業が拠出していますが、「マッチング拠出」という仕組みを利用すれば加入者本人も掛金を上乗せして拠出することができます。

確定拠出年金のメリットには、運用中の運用益が非課税になること、年金として受給した場合は公的年金等控除、一時金として受給した場合は退職所得控除といった税制優遇措置があります。

注意しなければならない点として、年金資産を受け取るタイミングは原則60歳からとなっているところです。
もし、急にお金が必要になり引き出したくてもできないので、手元に流動的に使えるお金を残したうえで活用するようにしましょう。

変額保険

変額保険は、株式や債券を中心とした「特別勘定」で運用を行い、運用実績によって保険金や解約返戻金が変動する生命保険です。

特別勘定は主に投資信託が使われており、複数の特別勘定が用意されていることが一般的です。
契約者自身で運用する特別勘定を選ぶことができますが、運用は保険会社が行います。
特別勘定の運用実績は市場の影響を受けるためインフレリスクに強く、保険金額や年金額が増える可能性があります。

また、変額保険は生命保険料控除の対象になるので、一定の条件を満たせば所得税と住民税の負担が軽減されます。

投資信託や確定拠出年金と大きく異なるのは、死亡保障がついているところです。
例えば子育て世代の場合、教育資金や住宅購入資金の貯金もしながら自身の万が一に備える必要性があり、それぞれの費用を捻出するのが難しいケースがあり、変額保険であれば資産運用も行いつつ死亡保障を備えられます。

一方で、投資信託と比べると死亡保障などの保障コストが保険料に含まれている分利回りが悪くなるので、死亡保障が不要で、運用のみ行いたい方にはあまり向いていない商品です。


まとめ

投資のリスクにはどんなものがあるのか、投資のリスクを下げる方法、おすすめの金融商品を紹介しました。
投資・資産運用を始めるにあたって大切なことは、自己資金のすべてを投資にまわさないこと、短期間で利益を出そうとしないことです。
万が一に備えたお金や保障を準備したうえで余剰金の範囲で投資を行うこと、価格の上がり下がりに左右されず許容できるようにしましょう。
リスクを許容できそうにない場合は、投資をすることはやめておいた方がいいでしょう。

投資を行う上で、どの金融商品を選べばいいのかなど不安がある場合は、お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談がおすすめです。

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※この記事は2024年1月時点の法律・情報に基づき作成しているため、将来、法律・情報・税制等が変更される可能性があります。

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