FPとの相談をより分かりやすくお伝えするために、架空の人物を設定して相談事例を紹介するコーナー。
今回は30代 、第二子と住宅購入を考えている共働き夫婦の相談編です。
吉沢圭吾(30歳)、涼子(30歳)夫妻は、第一子を妊娠・出産。初めての育児で四苦八苦しつつも充実した日々を送っています。
第二子と住宅購入を検討しているため、頑張って貯金をしているものの、家計のやりくりに不安があるようです。
二人は家計についての情報収集中に、FPナビを発見。FPに教育費や住宅購入資金の相談をすることにしました。
吉沢夫妻の不安・相談内容
- 収入減があったので、家計を見直したい
- 子ども二人、住宅購入が実現できるかシミュレーションしたい
- 教育費の準備方法が知りたい
FPに相談して解決したこと
家計の改善
客観的な目線から家計を見てもらうことで、気づきにくかった改善点が見つかった。
家庭に合った貯金の仕方
いつ・どれくらいのお金が必要になるかを算出することで、貯金計画が立てられるようになった。
必要な保障の確認
教育資金以外に必要な保障について考えられるようになった
面談日当日
吉沢さん、初めまして、FPの田中です。
この度はご相談にお時間をいただきありがとうございます。お二人のお役に立てるよう努めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
吉沢です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします!
あまりお金のことは詳しくないので、不安がたくさんあるんです。今回の相談で聞きたいことをまとめて来ました。
吉沢夫妻の相談内容
- 1.共働きで現在育休中・復帰後は時短勤務予定なので収入減で家計がまわるかが心配
- 2.教育資金の準備方法が知りたいことと、第二子誕生を含めて家計のシミュレーションをしてみたい
- 3.住宅購入を検討する場合、頭金はどれくらい準備しておくべきか、購入のタイミングが知りたい
事前に相談内容をまとめていただきありがとうございます。吉沢さんの場合まずはライフプランニングで全体の流れをつかんでから、家計、教育資金の準備方法をみていくといいかもしれませんね。順にみていきましょうか。
ライフプランニングですか…聞いたことはあるけどやったことはないです。
もちろん、考え方などはアドバイスさせていただきます。将来のお金の流れが分かりやすくなりますよ!
長期的なお金の収支を把握する「ライフプラン表」と「キャッシュフロー表」
ライフプランニングでは、ライフプラン表とキャッシュフロー表を作成します。まずはライフプラン表を作って、どのタイミングでお金が必要になるかを整理してみましょう。
ライフプラン表の例
ざっくりですけど、理想は34歳で第二子が欲しいです。第一子の小学校入学までには家を買いたいので、37歳頃までにある程度お金は準備しておきたいですかね。
ざっくりで大丈夫ですよ。ライフプランは変わるものなので、変わったタイミングでまた見直しをすればOKです。次に、キャッシュフロー表を作って収入・支出・貯蓄の流れをみます。
お子さまの進路や住宅の購入予算などは、吉沢さんご夫婦の希望から算出するので、しっかりヒアリングさせてもらいますね。
キャッシュフロー表の例
point
大学進路別 教育費用の目安
- 私立短大2年間総額約362.5万円
- 私立大学 文系4年間総額 約717万円
- 国公立大学4年間総額 約499.4万円
- 私立大学 理系4年間総額約821.7万円
このようなデータを用いて、いつ・どれくらいお金がかかるのかをキャッシュフロー表に反映させます。
1.教育費の支出状況(1)入学費用(2)在学費用(3)高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用 私立大学文系・国公立大学別
3.自宅外通学にかかる費用(2)自宅外通学者への仕送り額
教育資金の準備方法は学資保険だけ?
教育資金を準備するのに学資保険がいいかなと思って調べていたんですけど、結局どれがいいのかわからなくなってしまいました。
あんまり増えないんだなというのが正直なところです。
おっしゃるとおりで、現在販売されている学資保険の多くは昔ほど戻り率が良くないという印象があると思います。ですが本来の学資保険の目的は、親に万が一のことがあっても子どもに教育資金を残せることです。
保険と貯金の違い
貯金
保険
保険は加入直後から必要な備えをすることができる!
なるほど。保障面は考えたことがなかったなあ。確かに万が一があっても子どもには進路をあきらめてほしくないです。ちゃんと残してあげたいですね。では効率よく運用しながら貯めるのは難しいのでしょうか。
運用して貯めたい場合、NISAやつみたてNISAなどがあります。ほかにも、終身保険を活用して死亡保障を備えながら教育資金を貯めるという選択肢もありますね。
学資保険以外にもいくつか方法があるんですね。
それぞれメリット・デメリットがあるので、比較・検討することが大切ですよ。
住宅購入資金の予算の決め方とは
将来、住宅を購入したいというご希望がありましたが、どこで・どんな家に住みたいなどの条件はお考えでしたか?
まず家を買えるかどうかわからなかったので、あまり具体的には考えていないんです。
一戸建てで子どもがのびのび過ごせる環境がいいなと思っています。
ライフスタイルや家族構成によって住みやすい家は変わると思うので、ぜひじっくり検討してください。
あとは、共働きなので、浴室乾燥や食洗器などの生活が楽になるような設備も、できればつけておきたいですね。
いいお家を見ていると、あれもこれもつけたくなって予算オーバーしてしまうこともありますよ。事前に購入予算は決めておくといいですね。
point
融資限度額=購入予算ではなく、返済できる金額にしましょう
転職や病気やケガの療養などによる収入減など、現在の状況がずっと続くとも限りません。返済ができなくなるという事態を防ぐためにも、ライフプランを考慮した予算にすること、リスクに備えることが重要です。
返済期間中に考えられるリスクの例
返済者が亡くなった場合、住宅ローンや生活費の支払いが困難になる。
転職や病気やケガの療養などによる収入減。
教育資金の支出増加のタイミングでの資金ねん出、住宅ローンなどの支払いが困難になる。
家計を見直すときは、収入・支出・貯蓄のバランスをみましょう
2人目の子どもが欲しいし、家を買いたいので、できるだけ貯金するようにしています。削れるところは削っているつもりです。もっと改善できるところがあれば、ぜひアドバイスを頂きたいです。
吉沢夫妻の家計
手取り収入 40万円
- 住居費11万円(28%)
- 食費5万円(13%)
- 光熱費1.8万円(5%)
- 通信費2万円(5%)
- 自動車関連費4.5万円(11%)
- 生活用品費0.5万円(1%)
- オムツなどの
生活用品1.5万円(4%) - 教育費1.2万円(3%)
- 医療費0.5万円(1%)
- 保険0.8万円(2%)
- 貯蓄6万円(15%)
- それぞれの小遣い4万円(10%)
- その他1万円(3%)
- 支出合計39.8万円
- 手取り収入40万円
- 残金2,000円
分かりました。家計の収支内訳を具体的に見ていきましょう!
- 通信費2万円(5%)
通信費は、プランの見直しやインターネット回線とセットで契約することで、費用を抑えられる可能性があります。
- オムツなどの
子ども用品費1.5万円(4%) - 教育費1.2万円(3%)
初めての子どもなので、つい服やおもちゃなどを買ってしまっているかもしれないです。ベビースクールにも通っています。
大切な費用ですがライフプランを考慮して上限を定め、お下がりをもらうなどでやりくりを工夫してみてはいかがでしょう。
- 保険0.8万円(2%)
それぞれ、社会人になったときに加入した医療保険を継続しています。
死亡保障など、必要な保障が不足している可能性があるため、見直しをした方がいいかもしれませんね。ご要望があれば提案させていただきます。もちろん提案させていただいたとしても、必ず加入しなければならないというわけではありません。ご安心ください。
入りっぱなしの保険を見直すいい機会かもしれないですね。
よろしくお願いします。
そうですね、お願いします。
私たち夫婦に考えられるリスクと、リスクに備える保険を聞いてから、家計を考慮しつつ検討してみたいと思います。
その後
吉沢さん夫婦はFP田中さんのアドバイスをできるところから実践。家計の見直しに成功し、住宅購入にむけて今まで以上に頑張って貯金をしています。
その後、待望の第二子を授かったお二人。
必要な保障の確認やこれからのライフプランを再設計するため、再びFP田中さんをたずねることにしたようです。
※この相談事例はフィクションです。実在する人物・内容ではありません。このコラムの監修者
- 監修FP條 武尊
- 保有資格:2級FP技能士
FPナビを中心にライフプラン相談などを行っており、長く寄り添える情報提供を心がけている。一児のパパで、人当たりがやわらかく話しやすいと評判。
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