FPとの相談をより分かりやすくお伝えするために架空の人物を設定して、相談事例を紹介するコーナー。
今回は30代、フリーランスで働く単身男性編です。
松本 剛(35歳)さんは、フリーランスになって2年目。仕事と生活には慣れてきたものの、社会保障や今後のお金のやりくりなどで少し不安を感じています。
友人の後藤さんから「FPに家計や将来のライフプランの相談をしてみたらよかった」と聞き、FP相談に興味を持った松本さん。さっそく紹介してもらったFPナビで相談予約をしました。
折角だから知りたいことは全部教えてもらおう、と相談内容を考えつつ、当日を迎えます。
松本さんの不安・相談内容
- 働き方が変わり社会保障が変わったため、自分に必要な保障が何かを知りたい
- 住宅購入予算の決め方を相談したい
- 老後資金がどれくらい必要なのか・準備方法が知りたい
FPに相談して解決したこと
無駄のない保険加入
就業状況に合わせた保障を考えることで、ムダなく備えられるようになった
お金、家計のやりくり方法
将来のライフプランに合わせた老後資金や住宅購入資金の予算設定が作れた
現状を踏まえての貯金方法
自分にピッタリの貯蓄・運用方法がわかった
面談日当日
松本さん、初めまして、FPの田中です。
この度はご相談にお時間をいただきありがとうございます。後藤さんのご紹介ということで、しっかりお役に立てるよう努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
松本です。今日はよろしくお願いします。さっそくですが…フリーランスって年金などの社会保障が少ないですよね。どのように対策をするべきなのかをメインに知りたいです。
松本さんの相談内容
- 1.会社員からフリーランス(個人事業主)になったことで社会保障内容が変わったため、手厚くしたい
- 2.終の棲家として住宅を購入したいと思っており、購入予算の決め方を知りたい
- 3.老後資金の準備方法が知りたい
事前に相談内容をまとめていただきありがとうございます。そうですね…まずは、松本さんが将来どんな風に人生を歩みたいかをおうかがいします。その内容に合わせて必要な保障をお伝えするのがいいかなと思っています。
なるほど、まずはライフプランをはっきりさせるんですね。田中さんにお話ししながら明確にしていけたらと思います。
長期的なお金の収支を把握する
「ライフプラン表」と「キャッシュフロー表」
フリーランスで保障が心配とのことですが、他にも家族構成やライフイベントなどによって準備すべき内容が変わってくるんです。まずはライフプラン表を作って、起こりそうなライフイベントや将来やりたいことをまとめてみましょう。
フリーランスになるという夢は実現できました。このまま事業継続させながら少しずつ大きくしていきたい、というのが次の目標ですね。
仕事面以外では何か生活のご希望はありますか?
基本的に一人が好きで結婚する予定はないです。老後に頼れる人がいなくてもなんとかできるようにお金を準備しておきたいです。
松本さんのライフプラン表
分かりました、お聞かせいただきありがとうございます。次に記入いただいた内容をもとにキャッシュフロー表を作って、収支がどうなるかを算出してみましょう。もしここでマイナスになったとしても大丈夫です。家計を見直すなどで改善できるように、私からアドバイスさせていただきます。
松本さんのキャッシュフロー表
point
老後の平均月収と必要な老後資金の目安
このようなデータを用いて、いつ・どれくらいお金がかかるのかをキャッシュフロー表に反映させます。
出典:生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)から未婚の平均値を参照総務省「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」フリーランス(個人事業主)と会社員の社会保障の違いとは
(老後の平均月収データを見て)…やっぱり老後のお金はしっかり残しておきたいですね。
老後資金の準備方法はさまざまです。iDeCoやつみたてNISA、個人年金保険などがありますね。
私の場合、約10年は会社員をしていたので厚生年金でした。その期間の年金はどうなるのかが気になるところです。
これからは国民年金なので、受け取れる金額が少ない分、カバーできるように資金を準備していきたいです。
準備方法のそれぞれにメリット・デメリットがあるので、比較・検討してご自身に合ったものを選ぶことが大切です。後は…そうですね。フリーランスと会社員では、年金制度以外に健康保険や雇用保険なども変わりますよ。備えておく必要があるかもしれません。
フリーランスに必要な備え
確かにそうですね。頭にありませんでした。
老後のことが一番気になるポイントだったけど、フリーランスは働けなくなったら収入が途絶えてしまうし、万が一に備えておくのもひとつですね。
同じフリーランスであっても、最初に作ったライフプランによって、考えられるリスクや必要な保障も変わります。
後藤さんならどんな保障が必要なのかの洗い出しをしましょう。そのあとに対策を提案しますので、ぜひ検討してみてください。
助かります。自分に必要な保障をじっくり考えてみます。
わからないことが出てきたら、いつでも質問してくださいね。
住宅購入資金の予算の決め方とは
終の棲家として住宅を購入したいということでしたね。
予算を決める前にどこに・どんな家に住みたいかをお伺いしてもいいですか?
できるだけ叶えられるようにアドバイスできればと思います。
フリーランスになってから職場が自宅になっていて。通勤がなくなったし、郊外の自然が多いところに住みたいですね。仕事用のスペースが確保できれば、一戸建てでもマンションでもどちらでもいいです。ただ、広すぎると掃除が大変そうですね。掃除苦手なんです(笑)それを考えるとマンションの方がいいかな。
今のところはマンションがやや優勢でしょうか?
一戸建てとマンションでは維持費が違います。毎月の生活費が増減することがあるので、考慮した上で検討するといいかもしれませんね。
維持にかかる費用例
一戸建て
- ・外壁や給湯器などの修繕費
- ・固定資産税などの税金
マンション
- ・管理費、修繕費積立
- ・固定資産税などの税金
- ・車を所有する場合駐車場代
維持費が変わってくるんですね。購入予算以外にも考えるべきところがありそうです。
また、住宅購入予算は融資限度ギリギリにはせず、しっかり返せる金額が望ましいですよ。返済中に何かしらのリスクが発生する可能性もあります。
借りられる額で家を買うのではなく、返済できる額で買うんですね。きちんとシュミレーションしておかないと。
おっしゃる通りです。お手伝いしますので、一緒に住宅購入予算を考えていきましょう。
その後
松本さんは提案をもとに不足している保障と老後資金の準備を始め、無事に住宅購入のめどがつきました。
その後、事業規模を拡大した松本さん。必要な保障が変わっていないかを確認するため、何度かFP田中さんの元を訪れているようです。
※この相談事例はフィクションです。実在する人物・内容ではありません。このコラムの監修者
- 監修FP條 武尊
- 保有資格:2級FP技能士
FPナビを中心にライフプラン相談などを行っており、長く寄り添える情報提供を心がけている。一児のパパで、人当たりがやわらかく話しやすいと評判。
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